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「ありがとうございます!よろしくお願いします!」
新入社員が三人入ってきて、僕の部に配属になったとき、「若手チャットルーム」というものが作られた。
先輩一人一人が「これからよろしく!なんでも聞いていいよ」みたいなことをちょっとずつ文体を変えながらチャットする。
それに続き、僕もしょうがなく、同じような文章を送る。
すると一人目の新入社員から、「ありがとうございます!よろしくお願いします!」と返ってきた。
次に、二人目の新入社員から、「ありがとうございます!よろしくお願いします!」と返ってきた。
最後に、三人目の新入社員から、「ありがとうございます!よろしくお願いします!」と返ってきた。
僕はこういう挨拶が嫌いだ。
同じ挨拶を送ってきていることが嫌いなのではない。
一切の感情も含まない文字の羅列を送る文化が嫌いなのだ。
他にも嫌いな言葉に、「頂戴いたします」がある。
サラリーマンなら誰しも一回は言ったことがあるであろう名刺を受け取るときの言葉だ。
会社の研修で初めて言ったとき、馬鹿馬鹿しくて思わず笑ってしまった。
このとき僕は「コント:社会人」の一因になったのだなと感じた。
「コント:子供時代」「コント:青春時代」「コント:大学生」ときて、最後は「コント:社会人」か。
永遠に周りのルールに縛られたまま、僕はコントを演じ続ける。
いつになったら、コントから抜け出して自分の人生が始まるのだろうか。
そんなことを思いながら、誰かがチャットした、「こちらこそよろしく!」という文字をコピペしてチャットに打つ。
こんな作業のような挨拶をすることへの嫌悪感も、社会人になりたての頃より薄れてきている。
着実に「コント:社会人」の演者となっている自分を少し寂しく思った。