会う前に好きになっておく!という攻略法
わたしは基本的に初めての人と会うのが苦手だ。
かなりの人見知り。
そうは見られてないみたいだけど。
そしてかなりのあがり症。
とにかく緊張する。
会うだけでも基本緊張する。
話すのはもっと緊張する。
知らない人と会って、話す。
もう、これ、ストレスがハンパない。
話すこと自体が苦手かというと、意外にそれは違っていて、話すこと自体は嫌いじゃない。というか、調子に乗ってしゃべりすぎる。しゃべりすぎて落ち込む。
緊張を隠すために話続けたり、少しでも楽しませようと思ってつい言わなくていいこと言ってしまったり、とにかく落ち込むことが多い。お酒を飲むと、さらにそれが加速する。
ずっと、そうだ。
新聞社にいたときは、取材に行くというのが苦手だった。
とにかく苦手だった。
でも取材で人に会いにいく場面がたくさんあった。
作っていたのが20世紀をまとめる本だったので、当時活躍していた人たちの証言を聞きに行く。
名前を知ってる人もいれば、初めて聞く人もいる。もちろん無名のでもすごい人もいる。
たいていはすごい人ばかりだった。
とにかくド緊張する。
それが相手にも伝わるのか、はじめたばかりの頃は失敗ばかりだった。
だいたい、取材のしかたなんか誰も教えてくれない。
アポの取り方から、連絡先の調べ方も教えてもらえなかった。
最初から全部自分で考えてやらないといけなかった。
まだインターネットが普及してなかったから、依頼はまず封書の手紙を書いて申し込んで、あとで確認の電話をする形だった。
知らない相手に電話をするのもキツかった。
そして取材だ。
聞くべきことの内容をある程度調べて、質問項目作って会いにいく。
でも結局、全然浅い下調べだった。
知らない話を聞きに行くんだから、知らない事を相手に聞けばいいと思っていた。
これがあまりよくなかった。
ようは話がふくらんでいかないのだ。
うまく取材ができなくて、会話もうまくまわらず、何度かトラブルも起こしたし、相手を怒らせたこともあった。
これじゃまずいなと思って、あるときからやり方を変えた。
徹底的に調べてから行くようにした。
会いに行く人が書いてる本があれば読み、その人が取り上げられた新聞記事を読んだり、雑誌の記事も読んだり、背景にある時代のことや業界のことも調べ、図書館でも古本屋でもネットでも何でも使って調べられるものは全部調べてから行くようにした。
最終的に話を聞きに行かなくても記事をかけるくらい調べ尽くしてからいくようにした。たった1ページ程度の記事のために。とにかく時間をかけた。
もう別に話なんか聞かなくても書けるんじゃないかってくらいに知識はあって、でも何も知らない感じで話を聞く。
これですごくうまくいくようになった。
そうやってその人を徹底的に調べてから会いにいくようになって気づいたことがあった。
それは、会いに行く頃にはその人の「ファン」になってるってことだった。
その人の本を読んで、記事を読んで、背景を知って、その人を調べていくうちにその人に興味をもって、好きになっていくのだ。
そうすると、会いに行くのが「緊張」を超えて「楽しみ」になる。
それがわかった。
あんまり好きじゃなかった取材が、「憧れの人に会いに行く」楽しみになった。
「わー、本物だ!やっと会えた!」そんな感じで取材が始まる。
そうするとものすごく良好に話が進むのが肌で分かった。
まだ当時わたしは20代で、取材に行く人はかなり年上の人も多かったので、「よくそんなこと知ってるね」と言ってもらえて、次々と裏話を教えてくれたりした。ようはこれ、その背景がわからなければ、「こいつに言ってもわからない」で、してもらえなかった話だ。さすがにそれは書けないですよねってこともたくさん聞かせてもらった。
1時間のつもりが3時間くらい話してくれることもあったし、取材のあと自宅に呼んでいただいて一緒にお酒を飲んだりする仲になった方もいる。
取材とは別の原稿を読んでわざわざファックスで編集部に感想を送ってくれる人もいたな。あれは嬉しかった。
会う前に好きになっておくと、いきなり世界が変わる。
だから人に会う前には、その人のことを知っておく。
最低でも本は読んでおく。
これが基本になった。
先日、ラジオの生放送に呼ばれた。
「山崎玲奈の誰かに話したかったこと」という番組のゲストコーナー。
山崎玲奈さん、元乃木坂46の人。
ドキュメンタリー映画などは観ているので、おそらく見たことはあるんだろうけど、申し訳ないことに詳しく存じ上げてなかった。
ラジオ、生放送…。
もともとが緊張しいなので事故しか起こさない気がして、断ろうかなと思いつつ、今年の指針「慣れないことをやる」を思い出し受けることにした。
知らない人に会う。しかも生放送で話す。
どうしようと、思いつつ。
まずは番組の顔である山崎怜奈さんを知ろうと思って調べたら、2冊本を出していた。
1冊は歴史の本で、もう1冊はフォトエッセイ。
放送まで何日もなかったのでとりあえず2冊ともすぐに買った。
読めたのは会いにいくギリギリ前。
歴史の本は、どうせアイドル本でしょってなめて読み始めたら、すみません!だった。めちゃくちゃ面白かった!
そんなに歴史に強いわけじゃないけど、とにかく知らない事ばかりで、しかもそこ突いてくる?っていうマニアックさがすごくて、歴史の面白さを知るきっかけになる1冊だなと思った。
もう1冊のフォトエッセイも、アイドルから、そこを離れて自分の道を踏み出すまでの記録として、誠実に言葉と向き合ってることが伝わる1冊だった。写真が多いけど、きちんとした文章の本だった。
2冊読んで、乃木坂時代からのバックグランドなどを解説してるポッドキャストがあったので、それを聞いたり、ラジオの放送もタイムフリーで聴けるだけ聞いた。
数日ですかりファンになってしまった。
1週間前まで知らない人の知らない番組だったけど、行く頃にはすっかりファンで、憧れの番組になっていた。
極度の緊張を超えて「ついに、ここにこれた」で迎えた当日。
始まった瞬間、見事に飛んだ。
「こんなことを話そう」なんて頭でいろいろ考えていたことが、きれいさっぱり真っ白に。反射的に出てくる言葉を必死に口から出しているいうちに、あっという間に時間が終わってた。
いや、楽しかったですよ。
でも「楽しかった」「嬉しかった」という事以外何も覚えてない。
でも、とにかく、憧れの番組に出れた!
そんな最高の気持ちで終えることができた。
結果はどうあれ、そう思って終われるなんて最高じゃない?!
とにかく1週間前まで知らなかったものを知った。
そして世界にひとつ「好きなもの」が増やせた。
これって意外にすごいことだと思う。
世界がひとつ確実に増えたんだから。
会う前に好きになっておく。
そのためにとことん時間をかける。
これは人見知りで、緊張しいの自分にとって、
やっぱり最高の攻略法だと思っている。
そのラジオですが、勇気を振り絞ってラジコで聴いてみました。
うん、てっぱってる!
ま、それはいい。最初から何でもうまくできてしまったらつまらない!
でも短い時間で話すならここを話した方がよかったとか反省点も見えた。
また、今月別のラジオ番組のお声がかかっていて、そちらも出させていただこうと思っているので、少しずつ、少しずつ、やっていきます。
ラジオ、木曜まではタイムフリーで聴けると思います!
お知らせ
友人とやってる映画ポッドキャス続いてます!
第2回 井上新八 2023年映画ベスト 1位〜5位発表
第3回 大河内喜夫 2023年映画 洋画ベスト3+優勝枠
その他、2023年その他の気になった映画、2023年のワニ映画についても
続けるラジオも続いてます!
結局、続いてます。
これを話したのがきっかけで今回のnoteを書いたので同じような内容です。