【気持ちが舞い踊る】映画『リトル・ダンサー』感想
映画『リトル・ダンサー』は1980年代のイギリスの炭鉱町を舞台に、バレエダンスの楽しさに目覚めた少年と周囲の大人たちによる人間ドラマを描いた作品だ。
2000年に公開された本作は全世界で1億ドルを超える大ヒットを記録し、世界中の映画祭でも高い評価を受けた。日本でも2001年に公開され、20年以上経った今再び全国の劇場でリバイバル上映されている。
今回初めて劇場で観たのだが、改めてその素晴らしさに感動した。
何よりビリーの踊りが良い。子供でレッスンも受けてない(という設定)から良い意味で型にハマってない。だからこそビリーの気持ちがより伝わってくる。
ザ・ジャムの『Town Called Malice』をバックに踊る場面は劇中でも一番好きな場面だ。
ビリーのやるせない感情が伝わるし、何より動きと曲のシンクロ具合が気持ち良い。この場面を台詞だけで演じていたらここまで印象に残らなかったと思う。
物語も良い。
劇中で描かれるのは今にも通じる「格差社会」とジェンダー問題。今回観て、ビリーの友人のマイケルやビリーのヤングケアラー問題など先進的な題材を扱っていたことにも気付かされた。
時代は80年代、都会じゃないから価値観も保守的だ。バレエも「男らしくないから」という理由だけで反対される。ただ踊るのが好きなだけなのに。
前回の鑑賞から年齢を経たこともあって、ビリーだけではなく大人側にも感情移入しながら観ていた。
特にビリーの父親は前回は怖いという印象しかなかったが、今ならビリーを心配する気持ちが理解できるし一生懸命息子を応援する姿はグッとくる。
ビリーの兄が最後にバス越しに向かって言う「I miss you. 」にも泣かせられる。お父さん、兄貴とも荒々しくて不器用だけど良い人達なんだよね。根っからの悪人がいないのもこの映画の好きなところだな。
ビリーの家族にバレエのウィルキンソン先生、本来交わらないであろう人たちがビリーを通じて繋がり彼を応援しようとする。そういう意味で本作は人情劇なのかもしれない。多分、この良さはこれから先も色褪せないんだろう。
ということで映画『リトルダンサー』素晴らしかった!
誰にもお薦めできる傑作なので気になった方はこの機会を逃さないよう是非。