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10~11月に観た映画のまとめ【全6本】

このアカウントは基本、1本ごとの映画感想記事を挙げるようにしてるんですが、11月は忙しいこともあって映画感想がすっかり溜まってしまいました。

なので、ここでは10~11月に観た映画6本分の感想をまとめて挙げたいと思います。


【キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン】

2023年製作/206分/PG12/アメリカ

206分という長尺に少し込みするものの、観てみると安定のスコセッシ節。強烈なオープニングからぐんぐん引き込まれた。スコセッシ監督は安心して身を任せてられる。

本作の目玉は何といってもロバート・デ・ニーロとレオナルド・ディカプリオの共演。役柄的にもこの2人の場面が多いのだけどここだけでも見応え抜群。ディカプリオの顔芸も健在(笑)

この映画、これまでのスコセッシ作品では主人公にならなさそうな優柔不断なキャラクターが主人公になっているというのが目新しい。
というのも、当初はジェシー・プレモンス演じる捜査官役がディカプリオだったらしいがディカプリオ自身が役柄の変更を望んだとのこと。

これは作品の意図的に賢明な判断だったのではないだろうか。
本作は1920年代にアメリカで起きた先住民族の連続殺人を題材にしているが、もし捜査官をディカプリオが演じてたら「白人の物語」に終始してたと思う。

先住民族の大量虐殺という点で東京国際映画祭で観た『開拓者たち』と対になっている点も興味深かった。いつか池袋の新文芸坐辺りでセットで上映して欲しい。重厚感に圧倒されて見終わった後は大満足でした。

恐らく劇場での公開はほぼ終了したと思うけど、Apple TVでは配信も始まっているので気になる方はチェックしてみては。

【ABYSS アビス】

2023年製作/105分/R15+/日本

去年観た『逆光』の須藤蓮監督&脚本が渡辺あやさんということで鑑賞。
70年代の尾道を舞台にした前作とはうって変わり、今作は現代の渋谷が舞台となっている。

兄を忌み嫌いながらも兄に執着するケイ。愛憎含んだ関係性は家族あるあるだ。

劇中で何度も繰り返される「海の目」という言葉。最初観た時は「渋谷」のことを指していると思ったけど、振り返ってみるこれは「渋谷」でもあり「兄」のことかもしれない。

束の間の逃避行で変われるほど現実は甘くない。ケイは既に海の目を見つめていただろう。

須藤監督の映像センスは好きだが、話や演出にはそこまでハマれず。
個人的に沸点が分からない職場の先輩が怖すぎた。

【スーツ】

2003年製作/92分/ロシア・ウクライナ・ドイツ・フランス合作

『少年、機関車に乗る』、『海を待ちながら』のフドイナザーロフ監督が2003年に公開した作品。『ルナ・パパ』が大変面白かったので観に行ったけどこれも面白い。大好きな作品だった。

物語は港町に住む3人の少年(青年?)の物語。ブロマンス好きな人なら好きなタイプの作品だと思う。

本作はタイトル通りスーツが作品通してのキーアイテムとなっている。グッチのスーツとはいえ、あそこまで憧れる気持ちは少し分からなかったが、スーツを「勝負服」として扱っているのは日本でも同じかも(就職した時、上司にスーツは戦闘服って言われたな)。

『ルナ・パパ』もそうだったんだけど、登場人物たちが常に走り回っていて映画自体からエネルギーがほとばしっている。終盤の唐突な展開と一気に切なくさせる展開も似てる。フドイナザーロフ監督、まだ2作しか観てないから何とも言えないが、「今ある場所からの離脱」というのがテーマの一つにあるのかな。

愛知では大須シネマでフドイナザーロフ監督の作品を上映しているようなので、時間が合えば行ってみたい。

【PHANTOM ユリョンと呼ばれたスパイ】

2023年製作/133分/G/韓国

1933年、日本統治下のソウルを舞台に抗日組織のスパイ「ユリョン」を主人公とした物語。

密室ミステリーから本格アクションへと移行していく展開が面白い。常に引き付けられるし本当エンターテイメントとして良く出来ている。

ということで作品としては素晴らしかったのだが、そこまでハマれず。イ・ヘヨン監督の作品を観るのは初めてだが、相性が悪いのかもしれない。

中盤からのシスターフッド的展開も熱いのだが、個人的にはもっと刹那的な雰囲気の方が好きかな。観終わった後で『パラサイト 半地下の家族』のパク・ソダムが出演していることに驚き。

【SISU】

2023年製作/91分/R15+/フィンランド

作品情報を見かけた時から楽しみにしていた作品。事前にムビチケまで買って楽しみにしてた筈なのにいざ行こうとなったらその気がなくなる。映画に限らずこういうこっとってありません?

こういう現象って何て呼べばいいんだろう…
そんなこんなで気付いたら上映終了間近となってて、上映最終日に行ってきました。

ムビチケと特典のステッカー。

映画には「舐めてた相手が実は殺人マシーンでした」と呼ばれるジャンルがあるが、本作はまさしくそれ。

ストーリーもシンプルで余計な味付けなし。ビジュアルがいちいち格好良くてポストカードにしたいくらい構図がバッチリ決まったシーンがいくつもある。作り手が「こういう映画を作りたかったんだな」ということが良く分かる。

不死身という看板に偽り無しで途中から「逆にどうやったらコイツ死ぬんだ」って気持ちになって観ていた(笑)。最後の章のタイトルも弾けててすきだな~

終わり方も洒落てて好き!このビジュアルや予告編に惹かれた人なら概ね満足するのでは?

【ザ・キラー】

2023年製作/113分/PG12/アメリカ

『セブン』、『ファイト・クラブ』で知られるデビッド・フィンチャー監督の最新作。Netflixオリジナル映画として製作されたが、期間限定で劇場上映された。

フィンチャー監督の作品を劇場で観たのは『ドラゴン・タトゥーの女』以来(『ゴーン・ガール』は観ていない)。実に11年振りというのは感慨深い。

本作は暗殺依頼をしくじった殺し屋が、報復として身内を襲撃されたことにより逆襲に向かうというあらすじ。マイケル・ファスベンダーが主演ということで間違いない筈なのだが、予想に反してそこまでハマらず。

フィンチャー作品に共通する「持続する緊迫感」は今作でも健在。キレッキレな映像含めて「ああ、フィンチャー作品だ」と感じるのだが、主人公の殺し屋のキャラクターがいまいち乗れない。

目的を淡々と推敲していく姿はまさしく「プロフェッショナル」なのだけど、冷静沈着過ぎて感情が乗ってこない。しかし、フィンチャーは『ゾディアック』や『ゴーン・ガール』といいサイコパス気質なキャラクターを題材にするのが好きだな。

ちなみに観たのは愛知県の伏見ミリオン座。

内容はともかくフィンチャー作品を久し振りに劇場で観れて良かった。『ザ・キラー』はNetflixにて配信中。
気になった人は是非チェックしてみてね。

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ヴィクトリー下村
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