【キュート×残酷=混沌?】映画『ユニコーン・ウォーズ』感想
魔法の森を舞台に繰り広げられるテディベアとユニコーンの仁義なき戦い。
「キュートな見た目に騙されるな」というキャッチコピーに偽りなし。可愛い見た目とは裏腹に繰り広げられる残酷絵巻。
監督はスペイン出身の漫画、アニメーション作家のアルベルト・バスケス。
自らが2013年に手掛けた短編アニメ『Unicorn Blood』を長編アニメーション化したものとなる。本作は第37回ゴヤ賞で最優秀長編アニメーション映画賞を受賞した。
人が可愛いものを見るとイジメたくなる衝動を「キュートアグレッション」と呼ぶらしい。
日本ではここ最近、こういう作風の作品が流行っていると思う。
本作もキュートアグレッションを意識してるかどうかは分からないが、そうした作品が好きな人に特にお薦めしたい。
本作で特に驚かされたのが主人公アスリンのキャラクター。
兄のゴルディに対する歪んだ気持ちなど、ここまでコンプレックスの塊というか人格破綻者なかなか見たことない。
特におねしょの場面はひど過ぎて「げ、外道…」って気持ちになった。製作
者は一周回ってアスリンが大好き過ぎるだろう。
※8月6日追記:上記の「おねしょの場面」、公式がショート動画を挙げていたのでリンクを貼っておきます。気になる人はチェックしてみて!
物語はアスリンたちテディベア部隊がユニコーン討伐に向かうというあらすじだが、この討伐もほぼ自分たちのせいで自滅していくという混沌っぷり。
本作のテーマは「"分断をもたらす争い"がいかに無意味であるか」。
男と女、兄と弟、父親と母親、ルッキズム…混沌に満ち溢れた物語だが、物語の至るところに分断の要素が飛び交っている。
ラストは意表を突かれたが、これはもう最高の皮肉だろう。
残虐でブラックで悪趣味、だけどとても面白い。
予告編を観て気になった人は是非ともチェックしてみては。
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