【地獄を見た】映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』感想
面白いより恐ろしい映画だった。
まず自分の苦手なジャンプスケアが多いのがキツかった。静かな場面からいきなり大きい音や突入シーンのハラハラ感。
しかも、ちょうどスピーカーの真下の席だったので音響もヤバかった…
ホラーとかジャンプスケアが苦手な人は心して観た方が良いと思う。
映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』は内戦が勃発したアメリカを舞台に、大統領にインタビューを行うために旅するジャーナリストたちの姿を描いた作品だ。
監督・脚本は『エクス・マキナ』、『MEN 同じ顔の男たち』のアレックス・ガーランド。A24が史上最高の製作費を投じ、全米の映画ランキングで2週連続1位を獲得したことでも話題となった。
この映画、自分に限らず怖いと言っている人が多いんだけど観て納得。
これは起こり得る未来かもしれない、と自分の身に置き換えて想像してしまう。最も身近に感じられるタイプの恐怖を感じるからだ。
誰かを敵とみなした瞬間から人はどこまでも残虐になる。自分が殺した死体の前でも満面の笑みを浮かべれる程に。
そしてこれは映画だけでなく現実でも起きていること、その事実に打ちのめされる。
ジャーナリストたちが体験するのはまさに地獄巡り。観客は彼らの視点を通じて内戦の現状、奪う側、奪われる側を観ていくこととなる。
「ジャーナリスト」という当事者ではない、傍観者といえる役割を観客に重ねているのが巧みであり面白い。
悲惨な場面で明るい曲を流したり、慟哭する後ろで兵士が行進したり無常感を感じさせる演出も良い。戦争の残酷さをより浮き彫りにする。
リーをたちを観ながら気になることがあった。
それは「彼らの倫理観ってどうなってるんだろう?」ということ。
目の前で人が死んでいく、無残に殺されることに対しどこまで傍観者で居続けられるんだろうか?
そうした疑問は監督も感じていたんじゃないだろうか。
その回答こそがリーが序盤で見る悪夢であってラストのあの行動にも繋がってるんだと思った。
もしかしたら最後にリーの頭をよぎったのは安堵だったのかもしれない。
日本でも週末映画動員ランキングで1位を獲得したということで話題となっている本作。地獄を体験したい人は是非。ただしジャンプスケアやホラーが苦手な人は気を付けて。
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