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【思い出のウェス・アンダーソン】映画『ムーンライズ・キングダム』感想&紹介

1960年代のニューイングランド島を舞台に、12歳の少年と少女の駆け落ちから始まる騒動を描いた映画『ムーンライズ・キングダム』。

監督は『ダージリン急行』、『犬ヶ島』のウェス・アンダーソン。日本では2013年に公開されたが、公開10周年を記念して4月21日から1週間限定でリバイバル上映されています(一部劇場のみ)。

今回はリバイバル上映の感想と『ムーンライズ・キングダム』を紹介する内容の記事となっています。ウェス・アンダーソンを知ってる人も名前を初めて聞く人も是非目を通していってください。

まず初めに「ウェス・アンダーソンって誰?」という人のために簡単な説明を。

ウェス・アンダーソンはアメリカ出身の映画監督。
ポップで可愛らしい色彩とミニチュア的世界観が特徴で、これまでに多数の作品を世に輩出している。

実写だけではなく動物を主人公としたストップモーションアニメ映画も撮っており、その作品は世界中から高い評価を得ている。その卓越したビジュアルから映画好きの中でも数多くのファンを持つ。

ウェス・アンダーソン監督作品の場面集。このビジュアル良いね!と思った人は作品を観ることをお薦めしたい。本当にこの画のままの世界が広がってるから。

自分も新作が公開されたら劇場に必ず観に行くと言っていいくらい好きな監督です。

その中でも『ムーンライズ・キングダム』は自分が初めて観たウェス・アンダーソン作品なので特に思い入れも深い。

鑑賞したのは映画館じゃなくGEOかTSUTAYAのレンタルDVDで。
監督の名前で借りたとかではなく、DVDのジャケット(下のポスター)に惹かれて借りたのが最初の出会いだったと記憶している。

2012年製作/94分/PG12/アメリカ

初めて見た時は、世界観の可愛らしさと完成度に驚いたし感動もした。
ウェス・アンダーソンの作品を初めて観る人にもお薦めしやすい内容だと思う。

そこから『ダージリン急行』、『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』など過去作を観て『グランドブタベスタホテル』を映画館に観に行って…という風に気付いたらウェス・アンダーソン監督にハマっていた。

リバイバル上映の情報を知って「DVDだけで劇場で観たことなかったな」と思い観てきたという次第です。

自分が特に好きなのはこの3作品。貴方のお気に入りとか是非聞かせてください。

鑑賞当日、観客は20~30人ほどで男女比は4:6ぐらい。ウェス・アンダーソンは女性ファンが多い印象がある。

映画が始まったが、やはり没入感が違う。

何度も観返した作品なので、あらすじはほぼ覚えているが面白さは変わらない。特に大きいスクリーンで観たことで改めてその映像美に魅せられた。

ポップでカラフルな色使い、ミリ単位で計算されているであろう構図。可愛らしい登場人物たちの衣装に小道具…

おもちゃ箱を覗き込んたような世界観が拡がっている。


物語は12歳の男の子サムとスージーが駆け落ちするというシンプルなあらすじ。そこに周囲の大人や子供たちも巻き込まれていく。

鑑賞当時もそうだったが、スージー役のカーラ・ヘイワードが子供とは思えない色気を放っている。スクリーンでアップを観た時はドキッとしてしまった。

カーラ・ヘイワードの眼力にやられる。

見た目こそ可愛らしい世界観だが、サムもスージーも取り巻く環境は決して穏やかではない。

サムは両親を早くに亡くし引き取ってくれた義父母にも愛想を尽かされるし、スージーは問題児として腫れ物を触るように扱われている。

孤独を感じてる2人が惹かれあったのは当然ともいえるだろう。

「孤独者同士の逃避行」という監督にによってはシリアスな作品にもなり得る題材を、ウェス・アンダーソンのフィルターを通すと可愛らしい恋物語になるのが凄いというか流石。

スージーの母とシャープ警部は浮気をしているが、そこをシリアスに捉えないのも監督の作風。

ボーイスカウトの子供たち、スージーの三兄弟。少し抜けた警部と主役2人だけでなく彼らを取り巻くキャラクターたちも魅力的。

児童書のような物語と魅惑的なビジュアルは、まるで絵本をめくっているかのよう。

特にボーイスカウトの面々は全員キチンとキャラ付けされていて可愛い!

ウェス・アンダーソン監督の作品は登場するキャストが豪華なのも特徴的。

今作でいえば、スージーの両親にビル・マーレイとフランシス・マクドーマンド。警部役のブルース・ウィリスにボーイスカウトの隊長のエドワード・ノートン、福祉職員のティルダ・スウィントンと映画好きなら「おおっ!」となる面子ばかりだ。

初鑑賞の時は、そこまで映画に詳しくなかったこともあって気にしてなかったが、こうした豪華キャスト目当てで観ても楽しい。

特に先日、俳優引退を発表したブルース・ウィリスの元気な姿を見ると切なくなるものがある。

後、この作品、ハッピーエンドで終わるのが凄く好き。

観るたびに「この2人を絶対引き離さないで欲しい!」って気持ちで観てしまうので、最後の終わり方にほっこりする。
ウェス・アンダーソン作品はたいがい優しい終わり方をしてくれるところも好きだ。

ということで『ムーンライズ・キングダム』。ウェス・アンダーソンの作品を知らない人には入門作としてもお薦めしたい。
興味ある人は是非ともチェックしてみてね。

劇場様子。『ウェス・アンダーソンすぎる風景展』のコラボチケットも貰った。

※現時点での最新作『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』
これまでの作品が絵本だとしたら、今作は名実ともに「雑誌」をイメージした作品。こちらも面白いよ。

※こちらは公開が待たれる新作『Asteroid City』。
50年代のアメリカの砂漠の町で行われる天文観測大会を舞台に、学生と親たちが様々なドラマを繰り広げるストーリーとのこと。

キャストはトム・ハンクス、マーゴット・ロビーはじめ豪華キャストが集結。本国では6月16日から公開とのこと。

ちなみにこの後の新作も既に予定済み。ウェス・アンダーソン監督の凄いところはコンスタントに新作を撮っているところ。

※こちらは4月5日から5月26日まで開催中の『ウェス・アンダーソンすぎる風景展』。

現実の中で偶然出会ったウェス·アンダーソン監督の映画に登場しそうな場所を写真に撮りインスタグラムにアップしたことをキッカケにして開催された展示会。こちらも気になるな。


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