【今度は合宿だ!】映画『グリーンバレット』感想【国岡続編】
8月26日から公開されている映画『グリーンバレット』。
プロの殺し屋を目指す6人の女の子たちが訓練合宿を通じて成長する姿を描いており、殺し屋の日常を撮った『最強殺し屋伝説国岡 完全版』の続編にあたる作品だ。
主人公の女の子たちを演じるのは、ミスマガジン2021に選ばれた和泉芳怜、山岡雅弥、天野きき、辻優衣、大島璃乃、内藤花恋の6人。彼女たちのインストラーの国岡を演じるのは伊能昌幸。監督は『ベイビーわるきゅーれ』、『ある用務員』の阪元裕吾がつとめる
本作は前作を観ていなくても内容の理解に困ることはない。ただ、『最強殺し屋伝説国岡 完全版』を鑑賞しておくと、その世界観と前作に引き続き登場するキャラクターたちの理解にも繋がるので、なるべく観ておくことをお薦めする。
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阪本監督の作品は『ある用務員』、『ベイビーわるきゅーれ』、『黄龍の村』など、全てではないが、これまでに何本か観てきた。阪本監督作品には「安定して面白い作品」という印象を抱いていたが、本作を観てその信頼度はより確固たるものに変わった。
映画の種類が色々あるように、観る側の姿勢も色々ある。「今回のはどうなのかな?」と構えて観る作品もあれば、さぐりさぐり様子をうかがうように鑑賞するタイプの作品もある。だけど、阪本監督の作品は何も考えずに身を任せられる、そんな安心感があるのだ。
正直、本作を鑑賞するときも不安が無かった訳ではない。ヤングマガジンの企画から始まった作品ということで、主演6人の演技経験がない点はかなりの不安要素だった。なぜなら「スクリーンデビュー!」、「演技初挑戦!」という見出しの作品は、経験上とんでもな映画になっている印象が強いからだ。
だが、その心配は杞憂に終わった。一度、始まってしまえばアトラクションのように時間を気にすることなく楽しめる作品だった。Filmarksでも初日満足度1位を獲得していることから、多くの人が本作を楽しんで観たことが分かるだろう。
なぜ阪本監督の作品は面白いのか?映画を思い起こしながらそんなことを考えた。もちろん主演6人の努力もあるのだろうけど、阪本監督の作風や演出が作品の題材とハマっていることが大きいと思う。まず、登場するキャラクター全員が魅力的。阪本監督の作品全般にいえることだが、阪本監督は主演から脇役に至るまでキャラ付けが本当に上手い。
主演6人はそれぞれ分かりやすいキャラ付けがされてるし、映画自体がアイドルが合宿で奮闘するという企画モノっぽいノリもあるので、観ていくうちに特に応援したくなるキャラが出てくると思う。
脇を固めるキャストも板尾創路さんは安定感が凄いし、今作では大坂さん演じる大坂健太のキャラがなかなか強烈。ところどころ登場して本作の良いスパイスになってて面白い(最初、大坂が国岡たちのゆるさ加減に切れて何かしでかすのかと思ってた)。
コミカルで笑いを散りばめられている脚本も魅力の一つ。強烈なキャラクター達による掛け合いはまるでコントのようで何度も笑った。ストーリー展開もテンポが良いからサクサク見れてしまう。
阪本監督の作品は良い意味で漫画的なんだと思う。だからこそ普段映画を観ないという人達にもお薦めし易いし、そのポップさが人気の高さに繋がっていると思う。
アクションパートも前作からさらに迫力を増していて、ラストの伊能さん演じる国岡と中村龍介さん演じるフォックスハンターのボスとのタイマンバトルは特に熱い。主演6人のアクションも想像以上に仕上がってて格好良かったな(天野さん演じるはるかの銃裁きが特に格好良かった)。
前作であれだけダメダメだった真中が今作で、ここまで活躍するとも思わなかったし、終盤の頑張りっぷりは成長を見守る親のような気持ちすらあったよ。前作の国岡の心情吐露みたいなグッとくる場面はなかったけど、最初から最後まで楽しく観れて満足。
阪本監督も伊能さんも、今後、国岡をシリーズ化していきたいようだし、いずれは『ベイビーわるきゅーれ』とのユニバース化もあるかもしれないので、そうした展望も含めて追いかけていきたいシリーズだ。
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