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【ハードボイルド過ぎる高校生活へ】映画『BRICK ブリック』感想【ようこそ】

『BRICK ブリック』は学園モノとハードボイルドを掛け合わせた異色の青春映画だ。監督は『LOOPER ルーパー』、『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』のライアン・ジョンソン。主演は『500日のサマー』、『50/50 フィフティ・フィフティ』のジョセフ・ゴードン=レビットがつとめている。

今やすっかり有名監督となったライアン・ジョンソンだが、長編デビュー作である今作もサンダンス映画祭で審査員特別賞を受賞するほか多数の映画賞を受賞・ノミネートされており、既にその才能を発揮させている。

筆者も今は無き愛知のゴールド・シルバー劇場のレイトショーで鑑賞したが観終わった後に「面白い!」と興奮しながら帰ったことは懐かしい思い出だ。

今回、久し振りに見返したが、改めて観ると面白さだけじゃなくライアン・ジョンソン監督の手腕と熱量を感じられる作品だった。万人に勧められるタイプの作品とは思わないが興味がある人にはお薦めしたい。

2005年製作/110分/アメリカ

【感想】

高校生のブレンダンが、別れた彼女のエミリーの死体を見つけるところから映画は始まる。ブレンダンは2日前にエミリーから助けて欲しいと連絡を貰ったばかりだった。ブレンダンはエミリーの死の真相を解明しようとするが、その背後には想像を超える闇が広がっていた…

学園ミステリーと呼ばれる作品はいくつもあるが「学園×ハードボイルド」という組み合わせが異色であり斬新。恋人を何者かに殺されたブレンダンがハードボイルドな探偵ばりに活躍をしてくという物語となっている。

高校生とハードボイルド、相性の悪そうな題材だが、雰囲気作りが徹底しているため違和感を感じることはない。ライアン・ジョンソン監督は1930年代のアメリカの探偵小説から影響を受けスタイルを引用したいうことで、小道具から演出、音楽に台詞の一つ一つまでハードボイルド風な演出がされている。

ライアン・ジョンソン監督が影響を受けたとされているのが、ハードボイルドの生みの親でもあるダシール・ハメットの著作とのこと。

その雰囲気ゆえ好き嫌いは分かれるタイプの作品だと思うが、ハードボイルド作品が好きな人なら観て後悔はしないだろう。

映像や音楽などからは、監督の強いこだわりが感じられる。特に映像の強度は凄い。誰もいない校舎、闇の中に不良が佇む地下室、駐車場での度胸試し…一つ一つのショットが格好良い。構図も考え抜かれて撮られたことが分かる。

SWファンからは賛否両論の『最後のジェダイ』だけど、こういう滅茶苦茶格好良い画を作り出せるのが、この監督の強みの一つだと思う。

正直、台詞廻しとか若干クサさもあるのだが、雰囲気が統一されているから浮いてない。監督が作品をキチンとコントロールできている。『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』もそうだが、個人的にライアン・ジョンソン監督は完璧主義者なんだろうな。

そして本作はジョセフ・ゴードン=レビット好きにもお薦めしたい作品だ。

ジョセフ・ゴードン=レビットといえば、青春映画の傑作『(500)日のサマー』で多くの映画ファンにその存在を知られることになったが、その前に出演してたのが本作。

ゆるふわパーマと前髪を下したジョセフの容姿がかなり珍しい。ナードな見た目ながら、まあまあ腕っぷしが強い(それでいて未練がましい)ブレンダンを熱演している。

ジョセフ・ゴードン・レヴィットといったら左の髪型の印象が強いだけに右の髪型は新鮮!

今のジョセフとは、またひと味違う瑞々しさがあるので、そういう点でもファンの方には是非観て欲しい。

張り巡らせれた嘘に突発的な暴力、どこか空虚なのにヒリつくような痛みを感じさせる。ハードボイルドだが青春映画でもある。

にしても、こんな学校怖すぎるわ。仮に日本を舞台にリメイクしようと思っても違和感があることを考えると、文化の違いも実感させられる(日本の高校も荒れてたとしても、ここまでスケールはでかくない。いや自分が知らないだけか…)。

話が通じない&神出鬼没なタグは初めて観た時はめちゃくちゃ怖かった。


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