【わき道に逸れてからが本番です】映画『マンディブル 2人の男と巨大なハエ』感想
2人の男が仕事の途中で巨大な蠅を見つける。
『マンディブル 2人の男と巨大なハエ』は『ラバー』、『ディアスキン 鹿革の殺人鬼』のカンタン・デュピュー監督の2020年製作の映画だ。
これまでに『地下室のヘンな穴』、『タバコは咳の原因になる』とカンタン・デュピューの作品を見てきたが、本作がこれまでの作品の中で一番見やすく感じた。
物語は主人公のマヌがある男にスーツケースを届けるという怪しい仕事を引き受けたところから始まる。
親友のジャンと盗んだ車で目的地に向かおうとする最中、車のトランクから物音がするので開けてみるとそこには巨大なハエが閉じ込められているのを発見して…というあらすじ。
あらすじだけ聞くと、この巨大なハエを巡る話になるのかと思うところだが、そこはやはりカンタン・デュピュー。どんどん予想外の方向へ物語が動き出していく。
今作を観て彼の作品の特徴が少し分かったような気がする。
彼の作品では劇中で起きる奇妙な出来事(物語のフックにもなっている)の原因や背景は掘り下げられない。ハエも少し変わったペットくらいの扱いである。
そして彼の作品は題材よりわき道に逸れた話の方が盛り上がっていく。
本作ではマヌを高校時代の友人と勘違いした女友達の家に行くという展開になるのだが、そこで出てくる女友達の1人が強烈。
ハエよりも彼女とのやり取りがメインともいえるし笑える場面にもなっている。
しかも、日本ではまずやらないようなブラックなジョークを効かしてくる。こういう演出が出来るのはフランス映画という感じ。
ハエも初見こそ驚くものの、見てる内にとどんどん可愛く見えてくる。後、マヌとジャンの2人がことあるごとにするサインも微笑ましい。
ラストも軽快で爽やかな雰囲気。カンタン・デュピューに興味ある人ならまずこの作品から観てみてることをお薦めする!
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興味ある人はチェックしてみては。
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