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映画『アット・ザ・ベンチ』感想

一つのベンチから見る人間模様。
東京、二子玉川の川沿いに実在するベンチを舞台に人々の日常を描いた映画『アット・ザ・ベンチ』

ワンシチュエーションの会話劇でエピソード毎にそれぞれ異なる脚本家が担当している。(ただし、エピソード1と5は同じ脚本家)

2025年最初に観たのがこの作品だったがとても良かった。
気楽に観れて笑ったり切なくなったりと色んな感情を揺さぶられる。それでいて鑑賞後も重くない。正月の気分に合っていた。

監督は写真家であり数々のアーティストのMVなどを撮ってきた奥山由之がつとめている。鑑賞後に知ったが『ぼくのお日様』の奥山大史のお兄さんなんですね。

出演は、広瀬すず、仲野太賀、岸井ゆきの、岡山天音、荒川良々、今田美桜、森七菜、草彅剛、吉岡里帆、神木隆之介らと豪華な顔ぶれが並ぶ。

コンセプト的にジム・ジャームッシュの『コーヒー&シガレッツ』を連想したし、監督も意識してるんじゃなかろうか。

2024年製作/86分/G/日本

エピソード毎に感想をまとめておく。

【エピソードⅠ】
今回のエピソードで一番王道。
お互いの気持ちに気付いてる筈の幼なじみの日常会話。脚本は『silent』、『いちばん好きな花』などの生方美久がつとめる。出演は広瀬すずと、仲野太賀。
ベンチに座る間隔が2人の心の距離を表していたりと、ベタだけど観ててホッコリする。

【エピソードⅡ】
コミカル。
どのエピソードが好きかと言われたらこれが一番好き。
脚本家はお笑い芸人の蓮見翔。岸井ゆきの、岡山天音、どちらも演技が巧いから安心して観れるし、荒川良々の役どころがまさに皆が望む配役だった。

この3人の並びがもう楽しい。

【エピソードⅢ】
それまでのユルい雰囲気から一変、一気に空気が引き締まった。
ヒステリックな演技は苦手だけど一番引き込まれたのはこれ。しかし奥山監督、キャスティングがけっこう王道というか直球。

空が曇り空なのも雰囲気を煽り立てる。

エピソードⅡの荒川良々もそうだったけど、このエピソードも今田美桜と森七菜という若手俳優に演技でぶつかり合わせて反応を見るという…分かりやすいキャスティング。脚本家は劇作家、脚本家、女優など多岐に渡る活躍する根本宗子。

【エピソードⅣ】
ここにきての変化球、転調に次ぐ転調。こういう話に展開していくとは。
このエピソードは奥山監督本人とのことだけど、こういう系が好きな人なのかな。(バランスを考えてもあると思うけど)
草彅剛、吉岡里帆、神木隆之介、とエピソードの中でも一番豪華なキャストだと思う。後、やたら存在感のあるADはネバヤンの人か。

【エピソードⅤ】
エピソードⅠのその後の2人の続き。
その後の進展具合が微笑ましい。ベンチの間隔の近づき具合も嬉しい。
脚本違うから仕方ないけど、他のエピソードのキャラクターたちのその後も見たかったという気持ちも。しかし広瀬すずの横顔は美しい…

全体通して観ると、EDの演出や曲のセレクトとか含めて全体的にお洒落。恋人とデートで観るならこういう映画をお薦めする。

役者陣が豪華だから観てるだけで楽しいし、観終わった後は「どのエピソードが良かったか?」なんて会話にもつながるし、ミニシアターで観るというのも良いかも。 

次は『秒速5センチメートル』を担当するということだけど、どんな雰囲気になるんだろう。とりあえず映像はかなり期待できそう。


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ヴィクトリー下村
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