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【誰にでもやらなきゃいけない時がある】映画『おんどりの鳴く前に』感想
『ミッドサマー』、『ガンニバル』、『黄龍の村』、『犬鳴村』など「イヤな村映画」というジャンルが定着しつつあるが、これもおおまかに言えばイヤな村映画に属する作品かもしれない。(といってもこの作品の場合、嫌なのは一部の人だが)
物語の舞台はルーマニアの片田舎。
のどかな村で斧で頭を割られて死んだ男の死体が発見される。村に駐在する警察官イリエは捜査を始めるが…というあらすじ。
監督はルーマニア出身のパウル・ネゴエスク。
長編3作目にあたる本作はルーマニアのアカデミー賞にあたるGOPO賞で作品賞・監督賞・主演男優賞など6冠を獲得している。
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小さな村で流されて生きてきたイリエ。村民の態度を見ても彼が普段どんな風に思われていたか何となく分かる。
そんな彼がある事件によって自身の正義感と向き合わなければいけなくなる。
サスペンスというよりは人生の岐路に立った男が己を見つめ直す映画だと感じた。
「見て見ぬフリ」をするのはルーマニアも日本も変わらない。
特に同調圧力が強いと言われてるこの国ではなおさらなんじゃないかな。ちょうど今話題のフジテレビの一連の騒動とも重なる部分もあった。
他の方の感想を見るとイリエがポンコツとか駄目男とか言われてるけど、けっこう皆イリエ側なんじゃないか?
少なくとも自分がイリエと同じ立場なら最後のあの行動がとれるか分からない。だからこそイリエの覚悟には胸を打たれたし尊敬もする。
実際イリエは死を覚悟していただろうし。
そもそもイリエ自身も新人警官があんな目に遭ったり果樹園の事情を知らなければ、あのままだったんじゃないだろうか。
さまざまなものが積み重なり彼の眠っていた正義感に火を付けた。自分にはそう見えた。
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人生、誰にでもやらなきゃいけない時がある。
イリエにとってはあの瞬間がそうだったんだろう。
派手さこそないが自分に置き換えて考えてしまう良い映画だった。
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