【奇妙な町の奇怪な事件】映画『スライス』感想
幽霊と共存する町キングフィッシャー。
ある日、ピザの配達員が仕事中に殺される事件が起きる。
犯人は久しぶりに町に返ってきたオオカミ男なのか、それとも…
映画『スライス』は現在公開中の『A24の知られざる映画たち』の1本だ。
人気ヒップホップアーティストのチャンス・ザ・ラッパーが主演をつとめているほか、共演に『デッドプール2』、『ブレットトレイン』に出演してるザジー・ビーツも出演している。
キングフィッシャーという田舎町で起きる連続殺人事件。
ただし普通の殺人事件と違うのは、幽霊やオオカミ男に魔女、悪魔と人と人外の者達たちが共存している世界ということ。
小さな町で起きた事件を新聞記者、警察、オオカミ男がそれぞれの視点で事件を追い求めるという群像劇なのだが、これがかなりゆるめのホラーコメディ。
田舎町の雰囲気やカラフルな色使いなど70年代、80年代のアメリカ映画を思い起させる。全体的な雰囲気はかなりポップ。
例えるなら『ゴーストバスターズ』を何倍もゆる~くしたような作品。
正直、緊迫感は皆無といっていい(一応ホラー描写はあるが怖くない)。
構えて観るような映画じゃなく深夜にお酒を飲みながらダラダラ観るのに向いてそう。
ただ、このゆるさ、演出が失敗してるというよりは多分敢えてなんじゃないかな。狙って外しにきてるように感じた(じゃなきゃ幽霊の存在とかあんなゆるゆるな設定にしないと思う)。
監督は本作が長編デビュー作となるオースティン・ヴェセリー。
主演もつとめてるチャンス・ザ・ラッパーのMVなどを撮っている。
風変わりな設定だが話自体は王道。
世界観は好きだが、これだけ多くの登場人物を出すならドラマにするか時間を長くするとかした方が自分は好きだったな。
正直人には勧めないけど、癖になりそう妙な味わいはある。
嫌いになれない、それどころか一周回ると好きになりそう、そんな作品だった。
『スライス』は現在劇場公開中。1月26日からはU-NEXTで配信も始まるとのことなので気になる人はチェックしてみてはどうだろう。