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【狂気はアナタのすぐ傍に】映画『Chime』感想
これは怖い!!
映画『Chime』は『蛇の道』、『スパイの妻』、『散歩する侵略者』など幅広いジャンルの作品で知られる黒沢清監督が手がけた中編作品だ。
「チャイムの音がきこえませんか?」
料理教室で講師を務める主人公はある時、生徒にそんな質問を投げかけられる。耳を澄ますがそんな音は聴こえない。
しかし、その日を境に主人公の周辺は徐々に不穏な出来事に侵食されていき…というあらすじ。
SNSでも周囲の友達の間でも「とにかく怖い」と評判の作品でずっと気になっていた作品。9月8日の日曜日に名古屋のシネマスコーレで鑑賞してまいりました。
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劇中で起こる数々の惨劇。
そこに理屈や説明はない、不条理を煮詰めまくったような世界観を味わうことになる。
まるでTVドラマの『トリハダ』シリーズや「禍話」を読んだ時のような質感。黒沢監督がそういう題材で撮ったと言われても納得してしまう。
ホラーは好きだけどジャンプスケアが苦手な自分にとっては大好きなタイプの作品だった。
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ただでさえ不気味な内容なのに黒沢監督の演出がこれまた素晴らしい。
料理教室の壁に映る光と影の演出は美しくて怖いし、主人公が振り返る時の追いかけるようなカメラワークには背筋がゾクッとした。
恐怖との相乗効果が最高。
狂気は壁で隔たれてるんじゃなく、日常のあらゆる所に潜んでいて、気付いたら呑まれている。抗う術はない。キッカケがあったのか、元々狂気の中にいたのか、主人公も徐々に呑まれていく。
逃げ場のない映画館で観たからこそ余計怖い。これ45分の中編で良かった。2時間だったら耐えられない…
ということで『Chime』めちゃ怖くてお薦め!まだ上映してる劇場も多いので興味ある人はチェックしてみてね。
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