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アジアとヨーロッパが接するイスタンブールが、コロナ禍の境界だった
バンコクには4泊した。そのうち隔離は1日。続いてローイクラトン、カオサンなどからのライブと時間はばたばたとすぎていった。11月22日。夜の飛行機でトルコのイスタンブールに向かうことになっていた。そこからアテネ、エーゲ海のパロス島⋯⋯。世界一周の旅が本格的にはじまる。
東京からバンコクに向かったのも、世界一周の一部だが、そこは勝手がわかるバンコク。入国規制などの情報も正確に入ってくる。
しかしここから先は頼る知人もいない。自分で調べた情報だけが頼りの旅になる。
コロナ禍では検査や書類チェックの関門が多い。入国時のチェック内容はさまざまなサイトで公表されていることも多いが、この旅にはトランジットも何回かある。そこでの通過条件の情報は一気に少なくなる⋯⋯。
ひとつ、ひとつ前に進むしかない。
今回はイスタンブール空港でのトランジット、そしてギリシャ入国と進む。ギリシャの空港では抜き打ち検査があるというのだが。
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旅の期間:11月22日
※価格等はすべて取材時のものです。
バンコクからアテネまでは中東経由かイスタンブール経由が安かった
(旅のデータ)
バンコクからアテネへ。直行便はなかったが、乗り継ぎ便でいくつかの飛行機が就航している。安さで絞っていくと、中東の航空会社でアテネに入るルートと、トルコ航空でイスタンブール経由になった。この日、いちばん安かったトルコ航空にした。バンコクからイスタンブールまでの片道は約11万円、イスタンブールとアテネ間は往復にして約2万5400円。アテネとパロス島往復はフェリーもあったが高く、約半額の飛行機にした。約1万800円だった。
気分はどんどん萎えていくスワンナプーム空港とトルコ航空
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なめるようにチェックする⋯⋯。こんなタイ人をはじめて見た。トルコ航空のチェックインカウンター。航空券やパスポートではない。ワクチン接種証明書、ギリシャ政府に登録し、発行されたPassenger Locator Form。きっと上司からきつくいわれているのだろう。Passenger Locator Formはギリシャ入国前に、ワクチン接種や健康状態を報告し、ギリシャ政府がらの返信をプリントしたもの。QRコードもついている。最初にアクセスしたとき、利用できないという表示が出て焦ったが、くちゅくゅやっているうちに、なぜかできた。
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バンコクのスワンナプーム空港は相変わらず沈んでいた。免税店や飲食店は青いフェンスで隠され、その間の通路を延々と歩く。その様子はYouTubeで。今年の3月に見たときは、陳列棚がビニールで覆われる無残な休業風景の間を歩いた。それよりフェンスのほうが少しは⋯⋯という発想? そして乗り込んだイスタンブール行きのトルコ航空。ん?⋯⋯。乗客がいない。搭乗率は1割? 気分はどんどん萎えていく。
到着口からトランジットゲートまで徒歩30分。イスタンブール新空港。でかすぎ~
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バンコクからイスタンブールまでは約11時間。機内はがらすきだから、中央の4席を占領し、体を長々とのばして寝ることができる。少ない乗客に気分は落ち込んだが、熟睡すると、なんだか復活してしまう僕は、ホント、極楽とんぼだと思います。ギリシャの入国でトラブルがあるかもしれないというのに。飛行機はイスタンブール上空。まだ夜は明けていなかった。
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イスタンブール空港は新しい空港になっていた。黒海に沿った土地に建設され、2018年に開港。とにかく大きい。到着口からこのトランジットゲートまで30分近く歩いた。機内でじっとしていた運動不足をこうして解消? そんな皮肉を口をつくほど巨大。大きければなんでもいいというわけではないと思うが。ただしイスタンブール市街まではバスで2時間近くかかる。気が重い。
年間2億人利用をめざす新空港。トルコ式大風呂敷?
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トランジットゲートに離発着便の掲示があった。東京やバンコクの空港の寒々しい掲示を目にしてきた身には、眩しいほどの便数だ。最終的には年間2億人が利用する世界一の空港をめざすらしい。そんな大風呂敷広げて大丈夫? と思ったが、イスタンブールの巨大バスターミナルが脳裡をよぎり、妙に納得。トルコ人は本気かも。
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日本から海外に出、トイレに入ると、つい目についてしまう。ハンドドライヤーだ。エジプト・エチオピアの旅でも、普通に使われている光景を紹介した。それを見た人から、いろいろな連絡をもらった。ハンドドライヤーがウイルスを飛散させるとはいい切れないようだ。たしかに洗った手を乾かすわけだから⋯⋯。でも、日本は徹底して使用禁止。イスタンブール? もちろん使用可でした。
アジアと欧州の境界のトルコで、コロナ禍の旅も劇的に変わる
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トランジットのセキュリティーチェックを受けて搭乗フロアーへ。足が止まってしまった。なんなんだ、これは。朝7時というのに、このきんきらぶり。呆然と見あげていた。湖の底に沈んだような日本やバンコクの空港を利用してきた身には、刺激が強すぎます。たぶん、コロナ禍前と同じ光景なのだろう。もうトルコはそんな状況?
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空港はキラキラでも、航空会社はやはり気を遣っています。搭乗するたびに、マスクとアルコール消毒セットが配られる。マスクも2枚、3枚と⋯⋯。日本を出発するとき、多めにマスクを持参したが、減るどころかかえって増えていった。これがコロナ禍の旅? 海外消毒用アルコールは強い。ツンとくる。中毒になるんじゃ⋯⋯わけないか。
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イスタンブール空港でアテネ行きに乗り込んだ。次々に乗客が乗り込んできてほっとした。コロナ禍前は、乗客が多いと鬱陶しかったが、東京から空席だらけの飛行機を乗り継いでくると、さすがに救われる。「これが普通なんだよな」。座席でひとり呟いてしまう。アジアと欧米。トルコはその境。コロナ禍の旅の境界もここだった。
アテネ国際空港では無作為抜き打ち検査があるといわれていた
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イスタンブールからアテネまでのフライト。機内の朝食にギリシャを感じてしまう。羊のチーズ、オリーブ、トマト、キュウリ⋯⋯。バンコクを出発してからパロス島まで、ほぼ丸1日。機内食から伝わってくる旅もある。さて、アテネ。この空港で無作為抜き打ち検査がある。アテネからパロス島まではLCCとフェリーがあった。LCCは乗り継ぎ時間が1時間半。フェリーは夕方。抜き打ち検査を考えるとフェリーが安全なのだが、船賃はLCCの倍。僕はLCCに賭けていた。もし検査に当たると、飛行機代が無駄になってしまうのだが。
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アテネ国際空港に着いた。Passenger Locator Formを提示。続いてワクチン接種証明書とチェックは続く。やがてイミグレーション。ひょっとして検査対象にはならなかったのかも⋯⋯。綱渡り入国で、到着フロアーに出ると、正面にPCR検査センター。抜き打ち検査になると、ここで検査だったのかも。
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アテネ国際空港のなかを、国内線のチェックインカウンター向かって急ぐ。この空港はイスタンブールの空港に比べるとずっと小ぶりで助かった。乗るのはスカイエクスプレスというギリシャのLCC。チェックインカウンターでまずいわれたのがワクチン接種証明。それも原本。僕は東京の区役所から受けとった証明書を鞄から出した。ギリシャでは毎日、頻繁にこの原本をとり出すことになる。ギリシャ人はスマホでQRコードを見せていたが、この頃、日本人はまだ紙の世界だった。
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アテネとパロス島を結んでいたのは、ATR42というプロペラ機だった。チケットには40分のフライトになっていたが、実際は25分ほど。予定通り、飛行機を乗り継ぐことができた。ほっとひと息といったところだが、ひと息の間にエーゲ海の上を飛んでパロス島に着いてしまう感覚。イスタンブールからは慌ただしい旅だった。
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LCCだからどうなのかな⋯⋯とは思ったが、スカイエクスプレスは、無料で座席指定に応じてくれた。いつもは通路側だが、窓際の席に。明るい太陽に輝くエーゲ海の島を眺めたかった。しかし11月のオフシーズン。雨が多く、曇り空が続く。飛行機から見たパロス島がこれ。第一印象⋯⋯よくありません。
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パロス島では中心の街、パリキアに1泊3000円ほどの宿をとってあった。宿を決めずに現地に入ることが多いが、コロナ禍では宿を明記しないと入国許可がおりない。ターミナルを出ると、冷たい風に晒された。ときおり雨も混じる。しっかりとオフシーズンの意味を教えられ、ふと見ると、パリキア行きのバス停がぽつんと立っていた。島の空港ですな。次のバスは1時間半後。さてどうしよう。
【次号予告】次回はエーゲ海の小島、パロス島の休日。(12月31日公開予定)
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