脳を外して洗浄する
頭は重く、思考は鈍い。常に脳に布か何かを被らされているようで、脳だけ外して丸洗いしたくなる。シワのところにも言葉のゴミが、細かくちぎれて張り付いている。ティッシュごと洗濯したような気分だ。シワの汚れを、目の細かい柔らかいブラシで丁寧に落としていく。排水溝に流れていくクソのような文字。ざまあみろ。永久にさようなら、戻ってくるなよ?
悪態をつきながら、脳みその掃除は続く。表面についた細かい泥をきれいに拭き取る。どこまでもソフトな、天鵞絨のような布でそっと拭っていく。汚れの小さな悲鳴が響く、ざまあみろ。消滅しろよ?きっちりと。
油断はならない、目を凝らしてよく見つめる。ブラシから、布から逃げおおせた汚物がシワの奥で震えてる。みーつけた。先ほどのブラシより、さらにヘッドの小さい精密機器用ブラシで優しく掻き出す。優しいのはブラシだけだ、使っているのは、私だ、絶対に駆逐してやる。悲鳴を上げながら、脳にこびりついた言葉たちがようやく一掃できた。さあ、寝るか。
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![霜林 穂](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/30278800/profile_1387990d45fb76cfb87f389a0734c814.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)