DEARDORFF8x10をお迎えした話。
夢のカメラって、皆さんありますか。僕の場合、このディアドルフというカメラでした。唯一ひと目惚れしたカメラの話です。
今回購入したのはディアドルフの中でも特に有名な8x10のモデルです。とても美しいメリケンカメラです。
多少カメラ好きな方ならご存知の方も多いはず。
憧れ続けたカメラでした。
8x10界のライカとまでは言いませんがその一歩手前といった感じの機種です。
ちょっと前までタチハラのフィルスタンドを使っていましたが急にディアドルフの話が舞い込んできた為乗り換えました。
僕の通う学科の先生がディアドルフユーザー。このカメラが比較的身近な存在でした。
ディアドルフ自体はそこそこ昔からあるカメラメーカー。
そのまんま、ディアドルフさんの会社です。
ここで少しディアドルフの歴史をば。
創業者ラベン・F・ディアドルフ氏は1862年大晦日生まれ。オハイオの農場で育った方だったようです。農業に関連する工場に従事した彼ですが1870年代には業績が悪化、20歳にしてシカゴに渡り紆余曲折、写真店の下で働くように。
その後この業界に深く根ざすこととなるラベン氏。1909年にはコダックに雇われ3年間の修理工場経営。しかしコダックはその後修理業務を停止。ここでディアドルフの会社は生まれます。
顕微鏡などの光学製品まで事業を広げ、1917年には息子も事業に加わります。
のちにプロからのカメラ制作要望があり、カメラの製作を画策。1920年代初頭、息子たちが労働力をかき集めどうにか最初のロットの10台が完成。
その後戦時中、戦後ともに軍などからの注文を受け不況ながら生きながらえたようです。
ラベン氏は1952年に他界します。
1970年代にもなるとビューカメラの市場は急拡大してゆき、広告時代に突入していくのです。
錚々たる有名写真家らが愛用していましたが、現在Deardorff & sons Inc. は活動していません。5x7や8x10、11x14が非常に有名ですが、4x5(Baby Deardorff),5x7から8x10,8x20,11x14,16x20更に特注サイズまでいろいろと作っていたよう。販売当時はラインナップが多いことがウリの一つであったようです。
ディアドルフ製カメラにも世代があり、私が購入したのは一般的なモデルのシカゴ時代のもの。長い間シカゴで製造されていましたが、後にテネシーに移りその後生産規模を縮小しフェードアウトしていきます。テネシー製とシカゴ製では別のかっこよさがあります。
撮れる写真は、ただの箱ですから、ディアドルフであろうが何であろうが変わりません。大判カメラは腕と、見つける力の世界。
この時代の8x10、アメリカ製とは言え手作りでよく作られているカメラです。乾いたマホガニー材を使用し組み立てられます。木製のため、同様のスペックの機種と比べ数キロ軽く作られています。操作において重要なパーツは堅牢なステンレススチール。初期から基本的な作りは殆ど変わらず、長年のブラッシュアップにより高い完成度になっています。
勿論、ビューカメラと比べると構造の簡略化が見られムーブメントに不足感はあります。この点は事実なので他の8x10を使っている方には苦手な方もいる様です。
現在の相場感としては本体のみ3、40万円〜という感じ。綺麗だとどんどん値段が上がっていきます。他の高級8x10に比べると少し安いですが、本体だけでこの値段ですから少し勇気の要る買い物です。たまーーーーにまじで安いやつが見つかるらしいですが運です。知りうる中で一番安く買ってる人は10万円。(NYのジャンク屋に転がっていたらしい。)
8x10用レンズは3万円くらいから手に入ります。240と300揃えればライカで言う35mmと50mmの枠。8x10限らず大判はレンズ依存というより寄るか引くかで印象がだいぶ変わると思います。ディアドルフは蛇腹が大きいので普通に使う分にはそこまで気にしなくて良い、と思っています。
8x10、気になってる方は今のうちに!!!
気づいた頃にはフィルムさえ手に入らなくなってしまうかも。
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