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【AgileJapan2024】及川さんの講演を聞いて「よし、もう一度プロダクトづくりをやってみよう」と決心した話

Agile Japan 2024に参加してきました!

「参加してきました!」って勢いで書いたんですが、正確に言うとこれを書いているのは2024/11/22の早朝なので、まだこの後もDay2があります。
ただ、Day1で既に思うところがあったので思いの丈を書こうと思います。

結論を先に言うと、及川さんの講演を聞いてプロダクトに対する情熱がむくむくと湧いてきて「もう一度プロダクトづくりをやってみよう」と決意した、という話です。

Keynote 基調講演「生成AI時代における人間の情熱とプロダクト志向」

Day1の一発目のKeynoteは及川さんによるご講演でした。

Agile Japan 2024 公式ページより抜粋

及川さんのお話は主にプロダクト開発における情熱についてのお話でした。

  • プロダクトマネージャというのはプロダクトの最大のエバンジェリストであり、ある意味(いい意味での)詐欺師のようなもの。自分のプロダクトの教祖でなければならない。

  • プロダクト開発でも生成AIが使われてきているが、一方で生成AIだけでは出来ないものがある。それは「プロダクトの意思決定」。マイケル・ポーターも「戦略とは何をしないかを決めることだ」と言っている。

  • 人が動くときは外発的動機内発的動機がある。情熱は内発的動機のおおもとになる。

  • 外発的動機から内発的動機・情熱に火が付くこともある。

  • 「愛する」というのは技術である。

  • いま日本に必要なのは「情熱」。プロダクトづくりはめちゃくちゃ大変で面倒。成功には幾多の苦難があるが、その苦難を乗り越えられるのは情熱。乗り越えるには人から頼まれなくてやる。

  • 情熱駆動開発

  • 情熱とは本質に向き合うこと。ビジョンの実現、事業価値の最大化、顧客価値の最大化

この話がもうドンズバで良すぎて、私はDay1午前中から「ああ、もうAgile Japan最高だった」などと思ってました。同僚と一緒にお写真も撮らせていただいておりました。

その後ランチを食べながら同僚と話をしたり他の方の講演を聞いたりブースを見て回ったりしていたのですが、私は一番最初の及川さんの講演をずっと思い出して考えていました

そして帰り際にこんなことを思いました。

もともと関わっていたプロダクト

少し話が前後するのですが、私はほんの1年半前ぐらいまでプロダクトづくりの最前線にいました。小売店舗におけるショッパー行動解析を行うものやマーケティング分野におけるデータサイエンスに関するものです。

私はこのプロダクトを誰よりも愛していました。何が面白いって、このプロダクト自体が仮説検証をテーマにしているところなんですね。している、というかそういうプロダクトの世界観を作りました。

それまでの小売・マーケティングってわりと勘と経験がものをいう世界でした。一方でこのプロダクトはそこに「サイエンス」の要素を入れたことが画期的だったのかなと思います。

私はあまりにこのプロダクトが好きすぎて、勝手に解説動画集を作りました。この動画、すべて自分一人で構成して動画を撮影して編集して公開しています。一人YouTuberみたいな感じです。

その後このプロダクトを題材としてマーケティングデータサイエンスの講義をつくり書籍にもしていただきました。

そして、このプロダクトづくりをしているときに及川さんから声をかけて頂いたんですね。
曰く「このGo Insightが全国のスーパーマーケットやドラッグストアに導入されて、友人や家族に『これが俺の作ったプロダクトなんだぜ』って言えたら最高じゃないですか」と。
この言葉をかけて頂き感動したことを今でも覚えています。

なぜ「プロダクトづくり」をやめたのか

その後いろいろ事情があって私はこのプロダクトから離れるのですが、いまでもこのプロダクトのことは好きですし、たぶん私以上に好きな人はいないと思います。
私がプロダクトづくりから少し距離を置いたのはいくつか理由があります。

広く還元しようと思ったから

いまはもともと所属していた大手老舗製造業でAgile CoEとして活動しています。これはプロダクトづくりのマインド・知見・経験をもっと多くの方に広くしってもらいたいと思ったからです。

アジャイルの全社的な普及や啓蒙活動がメインで、日々研修・講座などを開いたりコミュニティ活動をしたりしています。

相手が変わると語り口調も変わりますので、手を変え品を変え様々な方法で「伝える」ことを考えています。いわば「エバンジェリスト」と言ってもいいかもしれません。

自分がこれまでやってきたことを形式知として伝えていくというのは、自分の性に合っているように思っています。

自分の技術力にコンプレックスを持っていたから

もうひとつは、自分の技術力に対するコンプレックスです。
別のスライドでも書いたのですが、私は20代の頃に「化け物みたいな人」にたくさん出会って「技術ではとても一番になれない」と思って別の道を探しました。

もちろんその後もものづくりの楽しさを忘れられずにPythonを覚えたりC#を覚えたりするのですが、少なくてもいわゆる凄腕エンジニアではないと思っています。

管理職になったから

さらにプロダクトづくりを躊躇していた理由が、管理職になったことです。
私の所属している会社では、管理職は自分が手を動かすことよりも部下に仕事をうまくわりふり、部下をエンパワメントすることが良しとされていました。
以前自分が手を動かす目標を立てたら、「それは一般職相当の仕事だから」と言われて評価を下げられたこともありました。
そのこと自体にはいろいろ思うところはあるのですが、会社がそうならしょうがないか、と思うところもありました。

「口を出す」ことのジレンマ

さて、そんな感じで自分でプロダクトをつくることから、プロダクトづくりについてアドバイスをするような立場になりました

1年ほどやってみて、ジレンマを感じるようになりました。それは、どこまでいっても自分の口出し可能な範囲は限界がある、ということです。
変化の世の中であり私たちは常に変わり続けないといけないんだ、
意図が抜けたプロセスに振り回されるよりも現場の状況に適応するのが大事なんだ、
早くからソフトウェア人材を育てなければ未来が無いんだ、
そういった話をいくらしても、なかなか聞いてくれない人は多いです。中には懐疑的に思って反論してくる人もいます。
そして、そういう人を相手にすると、とても虚しい気持ちになってくるし、疲れてくるのです。

また、アジャイルコーチ・スクラムマスターといった形で活動をしていると、できるのはチームづくりやプロダクトづくりの間接的なアドバイスだけだったりします。
プロのアジャイルコーチはそうじゃないのかもしれませんが、どこまでいっても自分がそのプロダクトに愛情を持って「自分でなんとかする」という感覚を持てないままでいて、とてももやもやしていました。

私は、生殺与奪の権は他人に握らせたくはありませんでした。

結局はどれも「言い訳」だった

よくよく考えみたら、「プロダクトづくり」をすることと「プロダクトづくりの啓蒙活動をすること」は別に相反する活動でもないので、どちらかしかできない、ということは無いんですよね。
また、技術力は少ないかもしれないけど、今からでも勉強するのに遅くはない
さらに管理職の話については、自分自身がプロダクトを手掛けることでもし誰かが「そういった管理職もいるんだ」と思ってエンパワメントされてくれれば、結果的にいいんじゃない?と思うようになりました。実績さえ出せば評価するほうも理解するはずです。
つまり、結局はどれも「プロダクトをつくらない言い訳」だったんじゃないか?って思うようになりました。

病気になって考えた残りの人生の過ごし方

実はこのAgile Japan 2024に参加する1週間前に原因不明の病気にかかりました。40度以上の熱が連日続くというもので、検査したもののコロナでもインフルエンザでもマイコプラズマでもありませんでした。
大げさかもしれませんが、「あ、もしかしたら死ぬかもしれないな」と感じました。そこで高熱にうなされながら考えたのが、残りの人生の過ごし方です。

今はどちらかというと「口を出す」仕事をしているように思います。
でも、本当にこのままでいいのか?と自問自答したときに、やっぱり自分は何かを「つくりだす」「生み出す」人間でありたいな、と思いました。

全然関係ないけど、このあたりの思考をしてる時にITプレナーズさんのブースでチキンカレーを頂きました。カレーってなんか元気出ますよね!

思い出した後輩の一言

後輩の一言も思い出しました。
ちょうどGo Insightから少し離れAgile CoEとしての活動を始めた頃の飲み会の席だったのですが、彼はこんなことを言ってました。

「アジャイルの普及ですか?向いてるかもしれないけど似合ってないっす笑!shimitakaさんにはプロダクト作ってもらいたいんっすよ~。ていうかまじで作るべきっすよ~。ほんと!ほんとに!いつかやってくださいね!!」

その時は、おもろいことをいう奴やな、ぐらいにしか思ってませんでしたが、今思うと彼は本質を見抜いていたのかもしれません。

もう一度プロダクトづくりをやってみよう

さて、そんなわけで話は現在に戻ってきます。
及川さんの講演を伺って、上記のようなことを一気に思い返して、

「よし、もう一度プロダクトづくりをやってみよう」

と決意しました。

プロダクトって何?

ここで私が言っているプロダクトとは、「誰かに何かの価値を届けるもの」というぐらいのイメージです。形態は問いませんが、たぶんソフトウェア的ななにかだと思います。
また、「すごいもの」は作らないようにしようと思ってます。
他の人が見たら「え、そんなもの?」と思うようなものでいいかなと思ってます。「なんかちょっと便利になったかな」「なんか面白いな」と思ってくれる人が一人でもいればOKです。

パッと思い浮かんだのはこんな感じです。

  • PowerAutomateによる自動化アプリ(例・Outlookのスケジュールのタイトルを拾ってきて自分がなににどれだけ使ったかを整理してくれるアプリ、Teamsの投稿を拾ってきて良い感じに分類してくれるアプリ、など)

  • 何かに特化した生成AI(例えば、「やけにアジャイルに精通してる松岡修造Bot」とか「アジャイルに関するブログを私の文体っぽく作ってくれるやつ」とか)

  • ゲーム(なにか簡易的に遊べてUnityで作れるもの)

  • 動画(なにかを紹介するものエバンジェリスト的なもの)

今はザックリし過ぎててよく分からないですが、喜んでくれる「誰か」と「価値」を明確にしながら始めてみようと思ってます。
敢えてもう少し自分勝手に生きてみてもいいかもな、とも思いました。

さて、今日はこれからDay2が始まります。
Day2も様々な講演が目白押しで楽しみです!

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