お笑いにハマって考えたこと

2023年の12月に、お笑いの沼に足を突っ込んだ。ずっと下書きに入れていて忘れていたけど、せっかくなので今更公開してみる。
感じたこと、驚いたことを散漫に書いている。



(お笑いにハマる前の経験値)
M1の仕組みはわかってる。チャンピオンが翌日の朝の番組にいるので「へーこの人が」と見る。有吉の壁は見てるけど、かといって出演者の寄席やネタは…?くらい。実家の立地と親の好みで、子供のころ新喜劇は毎週見てたし、中川家や海原やすよともこといったやたら大御所は知っている。サンドウィッチマンのネタも見たことある。全国に劇場がどれだけあり、どんな仕組みかはよくわかってない。昔一度だけ、NGKに親と行った記憶がある。友近さんだけ覚えている。

2023年12月
21日に休職することになった。仕事でいじめを受けつつも、だれも信用できず相談もせず溜め込んだ結果、それまでの多忙も合間って適応障害と診断。夜も寝られず心身ボロボロのまま、休職して3日目の夜、たまたまM1を頭から見る。
びっくりした。みんな面白いから。10組もいたら、つまらない人もいる(?)だろうと思ってたら、全部違って全部面白い。優勝が決まるまで、ずっと笑ってた。特に、ヤーレンズの一本目がすごかった。ボケが頭の処理能力ギリギリ上限くらいのテンポ。ヒィヒィ言いながら笑った。令和ロマンは「上手いなぁ」という謎の上から目線で呟いてしまう。上手い。彼らの計算の中でテレビも視聴者も客もころがされてる感じ。さや香の見せ算、意味わからない。けど、意味わからない笑いが、あのステージで繰り広げられるには、彼らはどんなネタを積み重ねてきたのだろう。
とにかく、面白かった。よく見たら、エントリーが8500組くらいいるとあった。面白く無い訳がない。甲子園準々決勝か?そら全員化け物みたいなもんじゃないか。
休職前後はテレビに集中できず、笑ってるのか笑ってないのか、自分でもわからないくらいの凪の感情、もしくは身が裂けるような怒りと悔しさでがんじがらめだったけど、この日本当に久しぶりに涙が出るほど笑った。お笑い芸人って、どんな仕事なんだろう。彼らのことが知りたくなった。

2024年1月
地震の影響でネタ番組が変更になったり、録画ミスでことごとく特番を見過ごした。不甲斐ない。その代わり、なぜか唐突に「大阪にお笑い見に行こう」という気持ちがむくむく湧いてきた。東京にいるくせに大阪にしたのは、行ったことのある大きな劇場が、NGKだけだったからだ。一度行ったあの大きな劇場なら、なんとなく、安心できると思ったのだ。今なら「いやいや東京の劇場もすごいことになってるから!お笑い=大阪っていう固定概念はやめろ!」と言えるけど、その時は劇場という仕組みもイマイチ分かってなかった。
FANYというアプリがあることを知り、検索してみると、こんな出番の公演があった。↓

豪華すぎやしないか。いや、そんな豪華とかそうでないとか区別すること自体失礼やけども、さすがに私も名前知ってる人ばかり。すごくないか。この時点で名前を知らないのは桂かい枝、金属バットのみ。YouTube等でチェックすることにした。
この時もうYouTubeは視聴履歴によってじわじわとお笑いに侵食されていた。だから金属バットは検索をかけるまでなく、おすすめに出ていた。M1決勝で披露するはずのネタ、を見た。え、これで決勝出れないんですか!?ってびっくり。コメントでもたくさん書かれていた。ここで初めて、リニューアルしたM1は結成からの年数でエントリーが制限されることを知る。もしかして、準決勝の時点でもう面白いのでは…と気づき始める。桂かい枝さんのYouTubeは、英語や柔らかい日本語で誰にでも落語が分かるようにしている技術がありがたかった。声も聞きやすい。なんで安心できるんだろう。
25日当日は、弾丸日帰り旅行とした。1人1人の感想書いていたらキリないので、初めて知ったこと箇条書きで。
出囃子というシステムがある。しかし、生まれて初めて聞いた出囃子が運悪く金属バットの「拍手の音」であったため、「え?なぜスピーカーから拍手が?これ、私たちはするべき?」と戸惑っている間にヌーッと金属バットが出てくるというハプニングがあった。なんて挑発的なコンビなんだ。でも漫才は滑らかで優しい声が心地よかった。
テレビに出てる芸人さんのネタが見られるって、すごい。コメントや食レポである(もしかして滑るかも?)みたいな不安がない。面白い。やっぱり、ここが一個の原点というか、軸なんじゃないかと思う。
関西での海原やすよともこの人気がすごい。拍手に加えて歓声があがる。みんな手を振る。ご本人たちも手振ってくれる(可愛い)。上京してから彼女たちをテレビで見なくなったのではなく、私が彼女たちの管轄外に出ただけだったと知った。駅の至る所にやすともさんはいた。

そして何より、劇場で見た方が同じネタでも数倍面白い。お客さんの反応を見て、芸人さんが少しずつチューニングしてくれてるからなのか、心をぐっと掴まれる。聴いてるのと同じ曲でもライブに行こう!となる感覚は、お笑いでもあるんだ。絶対、また劇場に来ようと決意して帰った。


劇場に加えてもう一つの進歩は、芸人さんのラジオを聴くようになったことだ。これは休職中運動をせねばということで、ウォーキングのお供にラジオを選んでみた。M1でみた彼らのことを知りたいと思う気持ちが愚直に現れている。令和ロマンのご様子と、マユリカのうなげろりんがとくにお気に入りだ。あ、マヂラブのオールナイト0も。
30分や1時間という尺の中で、2人だけでずっと面白いのって奇跡だ。しかも毎週面白い。そんなに喋ったら来週面白いこともう無いんじゃないかと心配になるけど、次の回もちゃんと面白い。どういうことなんだ。そしてラジオを聴くことで、「テレビやネタ中はわからない彼らの生活、背景」が知れてしまう、ちょい沼としては危ないものであるとも自覚した。ダメだぞ、これだって仕事だ。彼らの本性を知ったみたいな錯覚が怖い。

ここまでが2023年末〜2024年初めの記録。
その後私は新宿ルミネというあまりにアクセスの良い劇場を知ってしまい、「あ、今日まだ空席ある〜、予約しちゃお」ってノリで通うことになる。
テレビスターも寄席の達人も皆等しく数百人の前で喋るあの距離感がクセになってしまった。

そして何とか復職した後は思いついた時に劇場に通うのは難しくなったけど、イベントなどの配信やさまざまなな媒体で楽しむことができている。
高比良くるまさんと、石田明さんの本も読んだ。2024年のM-1はなんと妊娠中の入院でリアタイできないという予想外の出来事があったけど、後から準決勝含めて全部見た。劇場を知っているとまたM-1ならではの熱気や戦い方が感じられて楽しい。

色々あったけどやっぱり、2023年に「M-1やテレビスターだけがお笑いじゃない」を知れたことが私の人生の財産だ。
たくさんのお笑い芸人の方々、私のどん底人生を救ってくれて、本当にありがとうございました。こんなすごい仕事があるなんて知らなかった。これからもささやかではありますが、自分なりにたくさん応援します。

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