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ヤング嶋仲
2021年10月12日 01:49
本町通りにある老舗の店「ゼー六」は、時折無性に行きたくなる。ここはアイス最中と珈琲の店で、元々の菓子店ゼー六は大正時代からあるという。栄えた大通りにぽつんと立つ古い一軒家はそこだけ戦時中から時間が止まっているかのような佇まいである。店先販売のアイス最中は、店主が小窓越しにアイスクリームをよそって白い最中で包んでくれる。暖簾をくぐると激シブの狭い店内には小さな机が3つだけあり、5人も入ればもう満
2021年10月7日 00:59
夕刻、靱本町あたりを一人で歩いていた。この辺りは微妙に駅も遠く、これといった特徴の無い上品な街である。猫背の自分は、ズンズンズンズンこぶたがズンズン、などとマスクの中で呟きながら、アテも無くうろついていた。幹線道路を車が行き交い、そろそろ日も暮れかけて、買い物帰りの主婦や仕事終わりのサラリーマンなどが歩いている。自分は、どうしようもなく腹が減っていた。普段から食事に執着が無いため、こうした場合は大