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Newton2025年4月号で「アレルギーの新常識」を書きました
2月26日発売の科学雑誌Newtonで「アレルギーの新常識」という記事を書きました。30ページにわたってイラスト満載の大作です。
花粉症の子どもが増えたり、食物アレルギーの人も増えています。また、詳しい診断や分析技術の発展によって意外なアレルギーの存在もわかってきました。花粉症の人でりんごアレルギーが多いとか、赤系のアイシャドウをする人が明太子を食べたら目の周りが腫れたりとか。
あと、昔は口から入ったものの中からアレルギー反応が始まると言われていたけど、少し前から「アレルギーの始まりは皮膚」ということがわかってきて、赤ちゃんのころからスキンケアが大事という認識が広まっています。そもそもなぜアレルギーが起きるのか、なぜ増えているのか、免疫細胞のしくみにまで今回の特集では迫ります。
誌面でも出てきますが、最近のアレルギー研究や治療の転換点となったのが、2008年にイギリスの小児科医であるギデオン・ラック氏が提唱した「二重アレルゲン曝露仮説」です。この仮説は、口から入ってきて腸で認識される物質は無害と認識して、皮膚に接触したものはアレルギー物質であると認識するというものです。実際、腸にはアレルギー反応を抑える免疫細胞が、皮膚にはアレルギー発症のきっかけをつくる別の免疫細胞があり、細胞や分子レベルの研究でも裏付けが進んでいます。
https://www.jacionline.org/article/S0091-6749(08)00778-1/fulltext
少しさかのぼり、衛生環境がよくなってことが原因でアレルギーが増えているという衛生仮説は1989年にイギリスの疫学者であるデビット・ストラッチャンが提唱しました。
衛生仮説を支持するデータとして、モンゴルで農村部と都市でアレルギー患者を比較したという調査があります。
今回の記事は、藤田医科大学のの矢上晶子先生に監修いただきました。取材でいろいろ教えていただきましたが、細かい裏付けのために論文を探すときはPerplexityを活用しました。かなり専門的な細かい質問でもリンク付きで回答してくれるので一次ソース探しに役立ちました。もちろん、リンク先が適切かどうかは結局自分で判断することに変わりはありませんが。
花粉症のコップ理論は正しい?妊娠中に母親の食べたものが赤ちゃんのアレルギーになるの?とか、アレルギーでよく聞く噂のウソホントもあるので、アレルギーの人もそうでない人にもおすすめです。
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