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【しまね女子ブログ】秋の味覚とご近所さん
こんにちは。大田市五十猛町在住の西原貴美です。
今回は、我が家の「秋」と素敵なご近所さんをご紹介したいと思います。
みなさんは、秋といえば何を思い浮かべるでしょうか。
食欲の秋、文化の秋、読書の秋。色々とありますが、我が家では、もっぱら「収穫の秋」です。
敷地内の畑には、富有柿の木が5本と西条柿が5本、大きな栗の木が1本あり、秋になると、いつ収穫を始めようかと家の中がそわそわし始めます。そして天気と相談しつつ、脚立を持ち出してきて家族3人で賑やかに収穫が行われるのです。ちなみに、スダチとビワとハッサクの木もたくさんあるので、初夏から冬までずっと果物が収穫できるありがたい環境です。
ですが、今年は猿害がひどく、富有柿と栗は熟す前にすべて猿に食べ尽くされてしまいました。こちらに越してきて4回目の秋。毎年少しの被害はあったものの全部食べられたのは初めてで、ただただ悔しいの一言です。本当に悔しい。
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唯一の救いは、猿は渋柿である西条柿は食べないということ。
しかし。食べないけれど、悪戯はします。一口かじって投げ捨てるのです。渋くて食べられない腹いせかのように、いくつもかじっては投げ、かじっては投げ。これがまた食べ尽くされるよりもはるかに腹が立つのです。全部食べるならまだ諦めもつくけれど、「食べもので遊ぶな!」と。
猿には決して届かない人間の勝手な思いであることは承知の上ですが、今年は何度も去って行く猿の群れに向かって叫びました。
引っ越してきた年は、富有柿が5kg ほど、栗も3kg 程度、西条柿は300個超を収穫。西条柿は全て干し柿にして、食べきれない分は大阪の実家に送ったりして楽しみました。
2年目は、富有柿が大豊作で40kg 超、栗は初年度と同程度、西条柿は裏年だったのか100個には届かず。富有柿は都会の友人10人くらいに小分けにして送り、とても喜ばれました。
3年目は、富有柿はほとんど猿に食べられて人間の口に入ったのは3つのみ。栗は大豊作で10kg 程度収穫、西条柿は200個弱でした。
そして、今年。富有柿0、栗0、西条柿は残された綺麗なものだけを選んで 150個。ちょっと早い気もしたけれど、猿にこれ以上悪戯されたくないので雨が降る前に収穫し、せっせと干し柿を作りました。
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干し柿と栗は私が運営している食堂でも使用しています。柿はデザートに使ったり、猪肉と合わせてテリーヌにいれてみたり。栗の渋皮煮も、期間限定の栗のみの贅沢なポタージュも秋の定番メニューです。
なのに、今年は栗がない。と嘆いていたら、いつも本当によくしてくださるご近所の K さんが、「うちの畑で採れたから。ちょっとだけど。」と栗を2kg ほど持ってきてくださいました。
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なんとありがたい!しかも大きくて立派な栗。大事に使わせていただきます。
K さんはお花にとても詳しくて、我が家の中庭にあるムラサキシキブとハナモモは、K さんから枝をもらってきて挿し木で増やしたものです。さらに畑ではいろんな種類の野菜を育てられていて、犬との散歩で家の前を通るたびに採れた野菜をもらったり、苗をもらったり。
先週は分葱(わけぎ)の苗を分けてもらいました。本当にありがたい。
こちらに越してきてから、Kさんには本当にお世話になりっぱなしです。
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お世話になりっぱなしのご近所さんといえば、お隣の M さんも。
M さんも私たちが散歩で家の前を通るたびに、畑で採れた野菜や育てているお花を分けてくださったり、とても仲良くさせてもらっています。
そして M さんもまた、お花が大好きな方で、我が家の中庭にある様々な植物は、アジサイ、モッコウバラ、ヒペリカム、紫蘭など、実はそのほとんどが M さんから株分けしてもらったり枝から挿し木で増やしたもので構成されています。年々、自分の好みに育っていく中庭を眺めるのはとても幸せです。
そして、もうひとつ。私が毎年密かに楽しみにしているのが、イチジク。
一番好きな果物=イチジク、と言っても過言では無い私が、毎年勝手に心待ちにしているMさんのイチジク。Mさんの畑には大きなイチジクの木が2本あって、毎年秋になると収穫したてのイチジクのお裾分けを頂くのですが、これがとんでもなく美味しいのです。
今年は猿と鳥の被害で、実がほとんどついていないと聞いていたので諦めていたのですが、先日、「ほんの少しだけだけど。」と、ほとんど採れなかった中でも大きいのを選んで持ってきてくださって感激しました。嬉しい。美味しい。ありがたい。
本当にご近所さんに恵まれているなあと実感する日々です。
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Kさんにしても Mさんにしても、いつも驚くほど惜しげなく様々な物を分けてくださいます。私たちはいつも頂くばかりで、何もお返しをできていないのがとても心苦しいのですが、「たくさんあるから。食べきれないから。貰ってくれるとありがたい。」と言ってくださるので、心から感謝して本当にありがたく遠慮なく頂いています。
お礼に私たちにできることは何だろうか、といつも考えていますが、答えはまだ出ていません。自分の親よりも年上のご近所さんたちにこんなにも仲良くしてもらって、本当にありがたい毎日です。
最後に。我が家の秋の香りといえば、金木犀と柊の花。
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自宅の畑では柿や栗が採れ、ご近所さんからは美味しい野菜や果物をたくさん頂き、庭にはご近所さんから分けていただいたお花がたくさん咲いている。
こうして改めて振り返ってみると、しみじみ良い暮らしをさせてもらっているなあと実感します。冬が来るまであと少し。恵みの秋をまだまだ堪能したいと思います。
今月も読んでくださってありがとうございました!
▼過去の記事
《vol.1》江戸末期に建てられた古民家と出会う
《vol.2》引越しと改修 床を貼り壁を塗る
《vol.3》とある夏の日 食堂店主の朝から晩まで
《vol.4》私の好きな場所
◆◇◆━━━━━━◇ プロフィール ◇━━━━━━◆◇◆
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【名前】西原貴美(にしはらたかみ)
【居住市町村】大田市五十猛町
【UターンorIターン】Iターン
【移住前の居住地(都道府県)】岡山県
【年代】40代
【お仕事】料理人 / フレル食堂店主
【好きなこと】犬、植物、本、ごはん、煎茶道、着物
【Love shimaneとしてひと言】
海と山との距離、町の大きさ、気候。その全てが、私にはちょうどよくて住みやすい。特別なことはないけれど、季節ごとの五十猛での日々の暮らしを綴ります。