歯からのメッセージ
風邪をこじらせた。咳が止まらない。
ふらっと入った近所の病院。
スターウォーズのヨーダみたいな風貌のおじいちゃん先生。
20分くらいゆっくりと時間をかけてみてくれる。「君は金属がたまっているねぇ」と一言。見たこともない医療器具を使い、薬を処方され、数日後に風邪は治った。
だが、その後も繰り返し気管支炎に。
別の病院の風邪薬だけではなかなか治らない。
再びヨーダ先生のところへ。ヨーダ先生は、「銀歯を除去しないとねぇ」と何度も語りかけてきた。
当時、私の口内には10本以上の銀歯があった。甘い物が大好き。仕事の忙しさにかまけて、ダラダラ食い。歯を磨かずに寝落ちすることもしばしば。
試しに近所の歯医者に尋ねてみた。
銀歯から金属を使っていないセラミックという詰め物に替えるには、1本7万円だそう。
7万円✖️10本=70万円
激震だ。
正気の沙汰ではない。
そう判断し、ヨーダ先生の銀歯除去論は素通りすることにした。
が、しかし、繰り返す気管支炎が辛くなってきた。ヨーダ先生は、変わらず「銀歯を除去しないとねぇ」と囁く。
いよいよ観念して歯医者の門を叩くことに。季節は真冬。カードの支払いをする手が震える。
銀歯除去して半年。朝の身体のだるさが格段に減った。
身体の調子が良いことを自覚せざるを得ない。
それからの私は変わった。朝も昼も夜もせっせと歯を磨く。甘いものやダラダラ食いはなるべく控える。
何しろ虫歯になってしまったら1本7万円の出費になってしまうのだ。痛すぎる授業料であったが、結果、食生活が正されていった。
喉元過ぎれば熱さを忘れる。にんげんだもの。
5年ほど経過し、第2子産後半年たった頃。定期的なクリーニングのため歯医者へ赴いた。
「ありますね。虫歯。2本」
頭の半分でクラクラと衝撃を感じる。もう半分でお金の算段をしている自分がいる。我ながら器用である。
心当たりはありすぎた。
夜間の授乳や日中の子どもたちの世話。増える家事。
産後の身体は疲れていた。その疲れを打ち消すために甘いものやダラダラ食いが習慣が復活していたのだ。
これを機に、再び自分の健康に気をかけている現在である。
私にとって、歯は食生活の鏡。
ひいては健康状態の鏡。おかしな習慣が続いているならば、教えてくれる存在だ。
口内・メンタル・懐に痛みを伴わせて。