無門関第二十五則「三座説法」現代語訳

公案現代語訳

本則
 仰山和尚は、以下のような夢を見た。
 弥勒の居るところに行って、第三座についた。
 ある尊者が槌を打ち鳴らして「今日の説法は第三座の番です」と言った。
 仰山は立ち上がり、槌を打ち鳴らして言った。
「かの摩訶衍も説いた大乗の仏法は、四句を離れ百非を絶した先にある。
 さあ、よく聞け。よく聞け」

評唱
 さあ言ってみろ。
 仰山は、説法しただろうか。しなかっただろうか。
 口を開けば失われ、口を閉じてもやはり喪われる。
 開けず閉じず、十万八千。


 からりと晴れ渡った空の下
 夢の中で夢を説く 
 怪しい話 怪しい話
 聞く者を誑かす


注釈
 第三座は「上から三番目の位」というような意味かと思います。
 十万八千というのは、中国で「とてつもなく遠い距離」を示すのに用いられる表現だそうです。

 摩訶衍(まかえん)は、唐代の禅僧です。
「不思不観の禅」を説いたとされています。

「四句百非」というのは、古代インドの僧侶、竜樹が作り上げた論理だそうです。竜樹、世界史にちらっと名前が出てくるくらいには有名人です。
 どのような理論なのかは、解説をさっと読んだくらいでは全然わからなかったので、ここでは割愛。
 ざっくり言うと、「四句を離れ百非を絶す」というのは、「ありとあらゆる言葉や論理を超越する」という意味だと思っておけば、それほど外れてないみたいです。
 非は否定するというような意味でしょうね。

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