初めて娘に触れた話
娘は産まれてそのままNICUと呼ばれる治療室へ運ばれた。
日付が変わったばかりだっただろうか。
嫁ちゃんは出産を終え憔悴しきっていたため、一人で娘のいるNICUへ行くこととなった。
そこには色々な管に繋がれている娘が。管を外さないように腕も固定されていた。注射の後も何箇所かある。吸引分娩で頭も変形しており、見ている自分が辛くなるような姿であった。顔は泣いていても、声は全く出ない。不安が募る中、担当の先生から、病状の説明を受けた。
「新生児一過性多呼吸です」とのこと。
”一過性”の名の通り、早ければ明日にも呼吸器の管は外れること、吸引分娩でできた頭の変形もいずれは元に戻るとの説明を受けた。
そのほかにも色々な説明を受けたが、最悪の自体は免れたようだ。とりあえず、この病院には娘を助けてくれる設備は十分整っている。一安心すると一気に眠気が襲ってきた。
一通り説明を終えると、先生は娘と触れ合う機会を与えてくれた。
弱々しい呼吸の娘と初めてのスキンシップ。
新生児に触れるのも初めてだったので、おそろおそる手を近づけた。
可愛い。柔らかい。あったかい。弱々しい。
これが自分の娘か。やっぱり可愛い。自分の子どもってこんなに可愛いのか。このまま連れて帰ってあげたい気持ちが爆発しそうになる。
いつまでも娘のそばに居たかったが、コロナ禍なので面会時間は1時間に限られた。面会の機会も週に2回までとのこと。
娘に会えるのは週にたった2時間…
でも、退院できればいつでも会えるので、早く元気になってねと声をかけ、病室を去る。
きっと私の子だから、すぐに元気になるよね。