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振り返り、書いて向き合う ~人事異動の内示にモヤモヤしたら「春の人事異動準備ワークシート2024年版」~

今日の記事は、人事異動の内示にモヤモヤするひとのための記事です。

人事異動が内示されて感じているモヤモヤと向き合い、4月以降の仕事への不安や今の仕事への無念や後悔を軽くする作業をご紹介したいと思います。

ちなみに記事で紹介している作業は、私が制作している「春の人事異動準備ワークシート」(旧:モヤモヤと向き合いワークシート)で実際に手を動かして取り組んでいただけます。

PDFファイルを無償配布しているので、ご興味がありましたら問い合わせフォームから「ワークシート希望」とご連絡ください。




はじめに

3月になりました。
私たち地方公務員も、早い職場では3月の今頃には内示の話をチラホラと聴くようになります。かくいう私の職場は、来週3月18日の週あたりが本命のようです。

地方公務員の人事異動にはこんな事情があります。

①今の職場と関係のない部署への《転職のような》異動
②どうしてそこに異動するのか組織からは説明されない
③内示されてから異動(4月1日)までの期間が短い

このあたりのこと、特に②については、こちらの記事を多く読んでいただいています。

もちろん所属する組織や部署や上司などの要素によって多少は変わります。
また、民間でもJTC(伝統的な日本企業)だったり古い体質の業界には、近しい事情があるかもしれません。

そんな事情もあってか、この時期は人事異動の内示にモヤモヤするひとも多いようで、SNSでも様々なコメントが流れてきますし、キャリアコンサルティングも関連するご依頼が多くなります。

そりゃそうですよね。

理由も事情も狙いも期待も説明されないまま(②)に、望んだわけでもなく転職のように大幅に業務が変わると一方的に通告され(①)、そのための現職場の整理も次の職場の準備も1週間あまりで済ませて新職場で即時戦力にならなくてはならない(③)。

本当ならキャリアコンサルタントとして、モヤモヤを感じる多くの皆さんのキャリアコンサルティングができればいいのですが、私も市役所職員と並行してボランティアで取り組んでいるものですから、ご支援できる人数にも限界が。

ということで、2022年の春に制作したのが「人事異動の内示のモヤモヤと向き合うワークシート」でした。


【作業1】まずは事実の確認

ここからは、人事異動の内示が出て、モヤモヤしているときに取り組めることをいくつかご紹介します。モヤモヤの処方箋になれば幸いです。

先に、私の経験についてお伝えします。

2021年の春の人事異動内示に、私はひどく動揺しました
初めて係長になること、未経験の保健衛生分野への異動であること、しかも部の筆頭課筆頭係長。
さらには当時、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受ける部署だったこともあり、思うように情報も取れない状況でした。

あまりにテンパった私は、前任者との引継ぎの日程を1日間違えて、前日に先方事務所を訪ねてしまいました。

「知らない」って「不安」につながります。
逆に考えれば、「知る」ことは「不安の解消」につながります。

なので、人事異動の内示が出てモヤモヤするようでしたら、まずは事実情報の収集から手をつけることをお勧めします。
ひとによっては内示された異動先に知り合いがいたりすると、連絡を取って様子を訊ねたりしますよね。それも方法の一つです。

事実情報として収集できそうなのは以下のような情報でしょうか。

①部署名
②課の事務分掌
③課の事業[知っている・知らない]
④事務所の位置[変わる・変わらない]
⑤通勤手段[変わる・変わらない]
⑥上司ⅰ(課長/管理職)[残留・転入]
⑦上司ⅱ(係長/監督職)[残留・転入]
⑧課内の知人[いる・いない]

②③はホームページなども参考になりますが、おススメは総合計画や予算関係の公表資料です。気持ちがザワザワしていても、一度落ち着いてこのあたりを確認するのは重要です。
私も以前、部署名からすっかり「あの事業を担当するんだろうな」と思っていたら、その事業は全く別の部署の事業であることが分かって驚いたことがあります。

④⑤は生活の質に直結するので、すぐに調べるひとが多いかもしれません。一緒に、通勤経路上で立ち寄りたいお店なども調べておくと、ちょっと気分があがります。私だったらカフェとか書店とか調べるかも。

⑥⑦は単純にお名前とともに、自分と同じタイミングで異動してくるひとなのか、前年度から継続して着任しているひとなのかを確認します。
継続であれば頼りにすればいいですし、新規着任であれば親しみを感じればいいと思います、同じタイミングの転入同期として。

最後の⑧は新しい職場での大切な《資源》ですので要チェックですが、だいたい人事異動の内示があると皆さん真っ先にチェックしますよね。

これらの①~⑧を書き出して眺めるだけでも、だいぶ落ち着くと思います。

この作業の最大のポイントは「事実情報なので調べればわかる」ということです。

不安を感じているときに黙々と調べて、分かって、書き留めるという作業自体が心を落ち着かせますし、揃った情報により知らないことが減って知っていることが増えるので不安も軽くなります。


【作業2】今の気持ち

事実情報の調査がある程度進んだら、そろそろ自分の気持ちを確認しましょう。
異動の内示を見て「モヤモヤ」している自分の気持ちを言葉する作業です。

例えば、こんな質問に答えるのはいかがでしょうか。

⑨異動先の印象は?
⑩異動先で不安なこと、心配なことはありますか?
⑪異動先で楽しみなこと、期待することは何ですか?

⑨は、異動先の部署についてどんな印象を抱いているのかを自分の心の中に確認します。
職員の雰囲気であったり、仕事の厳しさや難しさであったり、やりがいの有無であったり。例えばこんな感じです。

・決められた業務を繰り返す。
・あまり残業が多いわけではない。
・市民向けの啓発はやりがいがありそう。

【作業2】は、【作業1】の事実情報とは異なり正しい情報というものはありません。自分自身が感じていることに集中して、浮かんだ言葉を書き留めます。

⑩は不安なので、仕事の内容や働き方、職場の人間関係、対応するお客さんのことなどが浮かびやすいでしょうか。

・苦情の電話が多そう。苦情処理は正直、怖い。
・年代も職種も多様な職員がいて、人間関係が難しそう。

⑪は楽しみなことや期待です。ここは【作業1】で集めた事実情報を活かします。
仕事の内容の中で(多少勘違いがあってもいいので)やってみたい仕事や楽しみな仕事、さらには通勤や働き方が変わるならプライベートでの新たな楽しみも挙げられるかもしれません。

・環境と教育をかけ合わせる業務や市民向けの啓発事業を経験したい。
・最寄りのB駅の近くに大きな本屋があるので、仕事帰りに立ち寄りたい。

⑩と⑪は、挙げるものに好い悪いはないので、挙げられるものはどんどん挙げて、もし書けそうならできるだけ具体的に書く方が、不安は軽く楽しみはイメージが明確になるのでおススメです。

とはいえ、きちんとした文章である必要はありません。今の気持ちを表す単語やキーワードが思い浮かんだら何でも書き出してみます。


【作業3】今の部署の振り返り

続いて、異動して転出することになった今の部署でのことについて振り返ります。人事異動の内示のモヤモヤの一部には、今の部署での心残りなども関係しています。

ここでは以下のような2つの質問でお訊ねします。

⑫今の部署でできたことは何ですか?
⑬今の部署で心残りなことは何ですか?

⑫の「できたこと」は、仕事の中で成し遂げたことですが、小さくても大きくても構いません。大切なのは「私が」できたことだと認めてあげられることを思い出すことです。
別の言い方では、同じ部署のひとから「感謝された」「頼られた」「ほめられた」といったことも「できたこと」になります。

「○○さん、ありがとう」
「さすが○○さんですね」
「○○さん、すごいなー」

謙遜せずに洗い出すのがポイントです。

⑬の「心残り」は、業務のことでも人間関係のことでもかまいません。たくさんあれば自分にとって印象の強いものを書き残してください。

もう少し関わりたかった○○の事業
本当は仲良くしたかった○○さん
今なら別のやり方もあったと思う○○

⑫も⑬も印象に残っているものを3つくらい挙げられるといいですね。


【作業4】これからの取組

最後はこれからの行動について考えます。未来の話です。

これからの行動は、ここまでで確認した自分の気持ちなどを活用しながら、以下のような問いかけに答えていきます。

⑭「心残り」のうち今からできることや誰かに託せること
⑮「不安・心配」のうち確認できること、確認方法、確認結果

⑭の「心残り」は、【作業3】の⑬で振り返った「心残り」について今からできることを探して、取り組んでみるための問いです。

【作業3】
⑬今の部署で心残りなことは何ですか?

私たち地方公務員の仕事は、最終的に住民のためになるなら誰の手を経てもいいはずです。もちろん「私」が自らできれば、私にとってはハッピーですが、それは住民の幸せとは関係ありません。
「このひとに引き継いでも、きっといい仕事にしてくれる」
そんなふうに引き継げたら報われる気がします。

引継ぎの中で想いを残していくのか、具体的な作業方針として部署に残るひとたちにお願いしていくのか、出来るところまで手を回しておくのか。

心残りが異動後に「呪い」にならないように、出来るだけ「成仏」させてあげられたらいいですよね。


⑮の「不安」については、【作業2】⑩で挙げた異動先での不安に対する処方箋です。

【作業2】
⑩異動先で不安なこと、心配なことはありますか?

上述したように「知らない」は「不安」の元で、知ることで不安を軽くすることができます。これは人間の脳の働きです。

⑩で不安や心配について内省し、自分の不安や心配を「これかな」と明らかにできたことで、既に少し不安や心配が軽くなっているかもしれません。

この⑮ではさらにその不安や心配について、3月のうちに確かめられることがあれば確かめてしまい、「知らない」ことによる不安をさらに小さくします。

例えば、「異動先にいるベテラン職員との人間関係が不安」と感じている(⑩で確認済)なら、職場の知人(【作業1】⑧で確認済)に、異動先のベテラン職員の様子を訊いてみます(⑮の確認方法)。
ベテラン職員が若手や新しく異動してきた職員にどのように接しているのか、本当に不安に感じるような態度があるのかもしれませんが、もしかしたら厳しくても別にイジワルをするわけではなく、日頃は優しいかもしれません(⑮の確認結果)。

これって部署の中の様子を知っているひとに訊いてみないと、これから異動するこちらの立場では分からないことですよね。直接訊いてみるって大事


さいごに

さて、ここまで人事異動の内示のモヤモヤについて、自分で向き合い、春以降の過ごし方についての不安を小さくするための「具体的な作業」をお伝えしてきました。

ここまでの作業を何かに書き出していただいていたら、ぜひその内容を最初から順に眺めていただきたいんですね。

どうでしょうか。

書き上がったものを見ていただくと、分からなかったことが分かり、手元にまとまっていることで、「知らない」による「不安」がところどころ「知っている」ので「安心」に変わったのではないでしょうか

また、具体的に調べたり、手を動かしたり、ときには自分の心の中に降りていって様子を確かめてみてそれをまた言葉に書き出してみたり。
この作業に取り組んでいる間は、モヤモヤや不安にあまり気持ちが向かわなかったのではないでしょうか。


最後に、ここまで作業をしてみて、今感じていることは何でしょうか?

このタイミングだから感じることのできている、そのお気持ち。きっと後々振り返るに値する情報だと思います。

ぜひここで最後に書き留めてみてください。


もしこの記事でご紹介した作業に取り組んでいただけるなら、私が制作している「春の人事異動準備ワークシート」(旧:モヤモヤと向き合いワークシート)で実際に手を動かして取り組んでいただけます。

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また、ワークシートを書いたうえでキャリアコンサルティングを受けていただくのもおススメです。もちろん私じゃなくてもいいので、キャリアコンサルタントに依頼してみてはいかがでしょうか。
キャリアコンサルタントとご縁がなければ、このワークシートを見せながら上司や先輩などに壁打ち相手になってもらってもいいかもしれません。

書く+対話によって、さらに効果が深まるはずです。


皆さんの、この春の人事異動が不安の中にも、何か楽しみや希望が見出せるものになることを祈っています。

そして、そのために私にできる支援を届けさせてください。


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2021年2月に初の著書を出させていただきました。

主に若手公務員を対象に「公務員が充実した気持ちでイキイキと働くことが、住民の幸せにつながる」という想いで、「自分の人生のハンドルは自分の手で握ろう」というメッセージを込めて書かせていただきました。

そのあたりのことは、こちらの記事でもお伝えしています。

よろしければお手に取っていただけたら嬉しいです。

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