文章を書くのは、何かを主張したいのではなくて、話がしたくて問いかけているようなもの
先日、ある方と対談をさせていただきました。
あるメディアで記事を書いている友人(対談相手とは異なる)から声をかけていただいて、実現したもの。
その対談の中で、テーマとはまったく関係ないのですが、私が書く文章の話になりまして。
「相手の胸元に剛速球を投げ込むような文章は書かないですよね」という評価をいただきました。
そのひとが言う「剛速球を投げ込むような文章」とは、「俺のこの球を受けてみよ!」と自分の主張を相手に全力で受け止めさせようとする文章。
島田の文章はそういう文章じゃないんですよね~と(いい意味で)。
また、別の言い方として、顔の前方斜め上の中空に両手でフワッとした丸を描きながら、「このへんに置いてあって、それを読み手が自分で手を伸ばして受け取る感じ」と、より抽象度が高い表現も。
実際、私の文章をどんなふうに皆さんが読んでくださっているのか、すべてのひとの受け取り方を私が知ることはできません。
ただ、うえのように言ってもらったことを、私なりに読み解くと、キーワードは「押し付けない」ことかもしれません。
これまでも何回か、書き手としての自分の考え方やこだわりについてnoteで書いてきました。
これらの記事で書いてきたことと、根底ではつながっている気がします。
私はたぶん、自分が興味を持ったことについて、皆さんとお話したいんです。
「2枚目の名刺を持つといいんだよ!」と伝えて、それを皆さんに理解してもらい、賛同してもらいたい……わけではなくて。
「2枚目の名刺を持つってこういうことなんだけど、皆さんはどう思う?」と皆さんに話しかけていて、皆さんが振り返って「うん、そうだね、私は……と思うかな」と応じてくれたらメッチャ嬉しい。
そういう感じ。
伝わるでしょうか?
話は変わりますが。
今の私は、独りでも全然大丈夫なひとです。
でも、思い返してみると、小学生の頃は遊ぶ約束がないのに友だちの家のチャイムを鳴らして嫌がられたり、高校生の頃は友人と一緒に帰りたくてわざわざ自転車通学にしてみたり、大学生の頃はキャンパスの中を友人を探してアチコチの学食を覗いたりしていました。
ひと恋しくて、誰か一緒に過ごしてくれるひとを探していたんですね。
ただ、一緒にいるからといって自分から積極的に話すわけではなくて、むしろみんなの話に耳を傾けて、たまに会話が途切れたところに「それってさ……だよね」とひと言だけ挿んで、またそれをキッカケにみんなの話が盛り上がる。そんな立場だったような気がします。
話を戻すと、文章を書くときの感覚が同じかどうか分かりませんが、そういう感覚で文章を書いているので、「私はこう思います。これは大変に正しい考えです。なぜなら……」と自分の考えが正しいという前提もありませんし、そう伝えるためのロジックも強く組み立てたりしません。
それは、とても対話的なたたずまいで、ある種ファシリテーター的な振る舞いとつながっているのかもしれません。対話の場で対話をするためには、自分の価値観を一旦手放し、評価を保留することが求められます。
文章を書くときも同じ。
自分が信じること(2枚目の名刺を持った方がいい)を一旦手放し、自分の考えに対する評価(2枚目の名刺のよさを伝えることは正しい)も読み手のに対する評価も保留する。
そして、「私はこのテーマについて、こんなふうに感じているけど、あなたはどう思う?」と問いかけるのです。
文章を書いている。
だけど、主張しているわけじゃない。
それは、いわば問いかけのようなもの。
だから、
「相手の胸元に剛速球を投げ込むような文章」にならず、「読み手が自分で手を伸ばして受け取る感じ」になり、「押し付けない文章」として読み手に受け取ってもらえるのかもしれません。
そうだとしたら、私がありたい在りように近づけてる気がするので、ちょっと嬉しいかも。
皆さんは、私が書くnoteをどんなふうに読んでくださっていますか?
皆さんは、ご自身で文章を書く際に、どんなことを考えていますか?
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