171.読書日記/一汁一菜、ホビット庄の料理、藤野千夜さん
予約していた土井善晴さんの「一汁一菜でよいという提案」が用意できたとの連絡をもらったので図書館へ。ついでに何か料理の本を借りようと書架を眺めていて「ホビットの料理帳」が面白そう、と手に取り、映画は見たけど原作は読んでなかったな、と思って「指輪物語」の1巻を借りてきた。
「一汁一菜でよいという提案」は、土井さんが文庫版あとがきでご自分でも書かれていましたが、本の内容はこのタイトルに要約できる。本を読むと、「日本人」と言うワードが頻出していて、少しゲンナリする。
以前に日本で活躍する(小銭を稼いでいる?)外国人たちがトーク番組で、「いつも画一的な反応(日本スゴイ!)を求められるのに嫌気がさすことがある」「日本以外にも四季はあるわ」と言っていたのが印象に残っている。
土井さんは「日本人の美意識」とか「〜〜がわかるのは日本人だけ」と書かれているけど、ホントにそうかしら?と思う。公園を散歩していて植え込みに捨てられたペットボトルを見たり、電車で髪をとかしている若い女性を見ると、なんだかな、と思う。何か悪いことがあると「外国人が犯人じゃないか」とSNSに書かれるが、九条ネギを盗んだのも、闇バイトの強盗も捕まっているのは日本人だ。
土井さんが見ている日本人と私が見ている日本人が違うだけなのだと思うけど。それでも、読み終わって素直に具沢山のお味噌汁を作っているw
最近よく作るのは、水500ccと顆粒だし小さじ2弱に下記の具を入れ、酒粕と味噌を大さじ2弱を溶く。3杯分できる。とても美味しくてシアワセだ。
・肉類/豚こまor鳥のつみれ
・芋類/さつまいもorじゃがいもor里芋orカボチャ
・キノコ類/シイタケorシメジorマイタケ
・根菜/ニンジン、大根
・その他野菜/小松菜
・豆類/豆腐or厚揚げor薄揚げ、エンドウor枝豆
・ねぎ
「ホビットの料理帳」(ロバート・トゥーズリー・アンダーソン著/原書房)は、何か作ろうかと読むのだが、美味しくなさそうか、材料が手元にないものばかり。「指輪物語」とレシピ、交互に読んでいる。
「指輪物語/旅の仲間<上>」(J.R.R.トールキン/評論社)の序章はホビットについてやホビット庄の歴史などでやたら人の名前や地名が出てきてつまらなく、挫けそうになったw 「小学生がこんなん読むんか?」と思いながらなんとか読み進め、本編が始まったら普通の物語調になった。そして本編は映画「ロードオブザリング」を何度も見ているので、イメージしやすく読みやすい。映画を見ていなければ、また挫けていたかもしれない。
少し驚いたのがフロドが50歳ということ。他にもビルボの性格的なことやガンダルフの扱いとか、映画のイメージと少し違う細々とした描写が面白く感じる。2巻は貸出中で、このまま全巻読むかはどうしようか考え中。映画の完成度が高かったからもう読まなくていいかも。
NHK BSのドラマ「団地のふたり」が終わってしまったので、原作でも読んでみるかな、と図書館の蔵書検索で見たら予約が300件以上入っている。作者藤野千夜さんの本で予約ナシのを借りてみた。
※ネタバレします
借りてからわかったのだが「編集ども集まれ!」(藤野千夜/双葉社)は藤野さんの自伝的小説だそう。20数年前に青雲社と言う神保町の出版社に就職し漫画編集者として働く小笹一夫と、現在の笹子の様子が交互に書かれる。
神保町には何度か行ったことがあり、他にも出てくるお茶の水や飯田橋とかも出版社まわりしていた場所なので懐かしく、雑誌名や作品・作家名はそのまま書いてあるので、途中で気になって検索してみた。そうしたらモデルの会社は私の神保町訪問の目的地、日本文芸社であった。とても懐かしい!
私の訪問時にはもうライザップの傘下に入っていて、藤野さんがお勤めになっていたビルではなかったけれど(一番最後に出てくる一階に喫茶店のあるビルでした)、そこに行く時は、最終訪問地になるようにして、シゴト終わりに古本屋さんを巡ったり、大きな本屋さんを見たり楽しんでいた。
私も中高は漫研だったけれど、藤野さんは5歳上なので、5年違うと読んでいるマンガも随分違うんだな〜と思いながら、もちろん知っているものもたくさん出てくるし、漫画の編集ってこんな仕事なのか!とか、あれこれ懐かしかったり新鮮だったり、面白いな〜と思いながら読み進めていると、ある時、小笹一夫が笹子になった!?え〜〜〜!?とびっくり!!笹子=藤野さんで解説者、小笹一夫が主人公でフィクション多めで性別を変えてお送りしているのだとばかり思い込んでいた。また慌ててネット検索してみると、藤野さんはトランスジェンダーさんなのだった。
「団地のふたり」の小林聡美さんから連想して、なんとなく群ようこさんみたいな地味目のオバサンをイメージしていた。とてもびっくりした。ネットにはご本人画像も上がっていて、なっちゃんとノエチよりかなりフェミニンな雰囲気で、でもなんか「地味」ってのは当たってるのかも。
本を読み進めると、スカートを履いて出社したことで会社をクビになり、ひと月6,000円の食費で節約して(この辺りシンパシーw)、1年10ヶ月後の1995年に海燕新人賞を取って作家デビューするのだ。2000年の芥川賞受賞の顛末も色々書いてあるのだけど、私も前の前の会社で忙しい時期で(残業も多かった)ニュースとか見ていなかったのかも。記憶にない。
いろんな文学賞を取って、本を出されていくのだが、雑多なメディアからの取材を断られているのは正解だった気がする。作家としては新人でナメられそうだし、当意即妙な受け答えとかも苦手そうで、削られた部数以上に傷つけられていたように思う。今は人気作家にもなられて、年齢も重ねて気も練れただろうし、世の中も変わっているし、もう少しメディアに出られたらいいんじゃないかしら?と大きなお世話だけど思ってしまった。
それにしても、会社を解雇されて食費削って小説書いて、って、私なら恨み言ばかりになりそうなのに、案外そうでもないのはスゴイな。「書くこと」が性に合って、恨んでるヒマなかったのかな?
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