134.読んでた?新潮文庫の100冊ほか読書
少し前に2024年の新潮文庫の100冊キャンペーンの既読本をチェックして、読んでいない本をいくつか読んでみようと思った。併せて、関連書籍や図書館で予約していた本なども読んだので、その記録。
まずコメントでおすすめされた中島敦さんの「李陵・山月記」を読んでみようと文庫を買ったらプレミアムカバーで、カラーの無地に箔押しのシンプルな装丁でいい感じだった^^ 中国の古典に着想を得たそうで、人名や地名が難しく、註解を確認しながらゆっくり噛み締めるように読んでいたら…このお話は読んだことがある!学生の時に読んだ記憶がよみがえった。教科書に載っていたのかな?作者は享年33歳の短命で二十編の小説を残してなくなったそうで、作家生活としては不幸だったのかもしれないが、浮気性?惚れっぽい?趣味も多くそれなりに面白い人生を送られた人のように思えた。
そして「山月記」が中国が舞台で、そこから連想してちょうど平積みになっていた「紙の動物園」(ケン・リュウ/ハヤカワ文庫)も同時購入。元々ハヤカワポケミスで持っていたのが、前の会社の部下に貸したが返してもらえなかったのだ。院卒の聡明な女性で読書好きなので、合いそうな本を読んだら貸してたのだけど、ある時から本を貸しても戻ってこなくなった。「ああ、私から本を貸されるのがイヤなんだな」と4冊借りパクされて(やっと)気付いて貸さなくなったのだった。気付くのが遅くてすみません。中国の作者の本は殆ど読まないし(「阿Q正伝」くらいしか読んだ覚えがない)馴染みのない作家の短編集もあまり手に取らないのだが、「紙の動物園」は本屋さんの店頭で何かピンとくるものがあって読んだのだった。
次に読んだのが矢部太郎さんの「大家さんと僕」。135万部売れたそうで、話題になっていたのは知っていたけど、新潮文庫の100冊に入っていたのは土井善晴さんとともに意外に思った。私もヘタウマなイラストを描くのでその辺のキョーミもあって読んでみた。大家さんがとてもチャーミングなのと、作者(主人公)の何かしら上手くいってなさそうな雰囲気とが相まって、いわゆるユーモアとペーソスを感じるというかw 続編の「大家さんと僕 これから」も読んでしまった。
そして、同じマンガ繋がりで、伊藤理佐さんの子育て家族マンガ「おかあさんの扉」「おかあさんの扉2」も借りました。オレぺに連載されていて、お嬢さんが大きくなってから連載を読み出したので、赤ちゃん時代から読みたいと思って。ダンナは吉田戦車さんで、「伝染るんです」が一世を風靡した世代であるので、吉田サンがかなり情けない状態で登場するのも面白い。「週刊文春」の読者のお便りページの1コママンガ「おんなの窓」も楽しく読んでていて結構ファンなのだ。
そして100冊から津村記久子さんの「この世にたやすい仕事はない」を読む。前に津村さんの他の本を途中リタイヤしてしまったので、どうかな?と思いながら読み始めたら、面白くなりそうで、なかなか面白くならず、今回もリタイヤしそうになったけど、なんとか読み終えることができた。終盤少し面白くなったけど、ちょっとゆったりというか、ハナシがなかなか進まずで。普段読んでいる次々殺人が行われたりどんどん白骨死体が出てきたり、というのとは趣が違うので仕方ないか。それでいえば、週刊誌の書評で見て、同時期に借りて読んだ「老いてお茶を習う」(群ようこ/KADOKAWA)もまだるくて退屈だった。タイトル通り70に手が届こうという著者がお茶のお稽古を始められるのだけど、失敗ばかりされてて、お茶を習っている人にはじれったい話だろうし、お茶をやってない私は、お茶室やお茶道具を具体的に想像しにくく、ミョーチキリンな決まりごと(「ここで蓋を開ける」とか「帛紗はこう畳む」とか)がいっぱいあって、本を読んで、「私は絶対にお茶は習わない!」という決心ができた。
さらに上二冊と並行して「英国一家、フランスを食べる」(マイケル・ブース/飛鳥新社)を読んでいた。これは10年ほど前にベストセラーになった「英国一家、日本を食べる」「英国一家、ますます日本を食べる」の作者のマイケルさんがフランスのル・コルドン・ブルーでコック修行をする話で、日本版とは趣が違って面白かった。三冊ともいつも書架にあるので、順に読んでみたのだった。
日本にもル・コルドン・ブルーがあり、東京校に林真理子さんが通っているとエッセイに書かれていた記憶(版画家の山本容子さんと)。「お茶を習う」でも思ったけど、私は人にものを習うのが苦手で、独学が性に合っている。だけどもこの年になると独学より人に習う方が上達が早い場合もあるとはわかってる。結局、教えてくれる人を信頼できるか、尊敬できるか、必要のないおかしな習慣を強要する人ではないか?というのにかかってくるような気もする。「ル・コルドン・ブルー」の伝統に価値を感じて習えるか、ということかな。
会社を辞める決意をしてからは図書館派で本を買っていなかったが、8月は毎日がお誕生日なので、冒頭の文庫を2冊と、昨日は野草の本「花と葉で見分ける野草」(小学館)を買った。野草の本は何冊も持っているのだけど、この本はほんとに身近に生えている草ばかりで、植物の名を調べても最近すぐ忘れてしまうので、手元に置いておくのにピッタリだと思って。もうすぐチガヤがフサフサになると思うのだけど、名前がすぐ出てこないw あと分類がゆるめで「〜のなかま」とされているのもいいな、と思って。タンポポとか、細かく分類されすぎて、見つけても中間の形質で同定できなかったりハテナななことが多いので、私のような植物散歩の愛好家にはざっくり「〜のなかま」でちょうどいい。
これはまだ読んでない本。
台風が来たら読もうと、台風を待っているのだけどなかなか来ませんね。忘れた頃にやってくるのかな?