においがわからなかった頃のお話。
新型コロナウイルスの症状や後遺症として「においがしない」という話が話題になりましたね。
においがしないという経験を昔したので、それを思い出しながら書いてみようと思います。
(本が読み終わらないので)
ちなみに原因はわかってません。
私が小学校2,3年生の時。
社会科見学でごみ処理場に行きました。
みんなでぞろぞろ列になり、ごみ処理場を見学していると
前を歩いていた男の子が後ろを振り返り、私に向かって
「やっぱりごみ処理場ってくせーな」と言いました。
その時私は、「別に臭くないけどな」と思っていましたが、
周りの子たちが彼に同調し、「臭いよね」と言っていました。
おそらくこれが一番初めに「においがしていない」と感じた出来事だと思います。
においがしないとご飯が美味しくなくなる、といった話はよく聞きますが当時の私には特に感じられませんでした。
いつからにおいがしてないのか、何が原因なのかはわかりませんが気付いたらにおいがまったくしなくなっていたのです。
ただ、日常生活において特に不便はありませんでしたし、
母に訴えてみたところ「鼻が詰まってるんじゃない」としか言われなかったので気にせず生活していました。
しかし小学校の高学年~中学生くらいになると様々な場面でにおいについての話題が出ます。
香り付きの消しゴム、イチゴの匂いのリップクリーム、新商品のシャンプーなど。
毎回適当に周りに同調していましたが、思春期の女子はそういったものが大好きなのでよく話題にのぼり苦痛に思っていました。
また、食事のにおいもわからないため、
母の出す「今日の夕飯はなんでしょう」といった謎のクイズも面倒くさかった記憶があります。(聞いてくるぐらいだからどうせにおいが強いものだろうとカレーなどと適当に答えていました)
時は経ち、高校3年生くらいの時だったかと思います。
急に、少しずつですが嗅覚が戻ってきたのです。
「あれ?何かにおいがする」と思ったのですが、においの知識がなさすぎてなんのにおいが全くわからず、ですが確実に感じとれました。
高校3年生くらいから20代前半くらいまで、知らないにおいばかりで興奮して
とにかく人に「今しているのはなんのにおい?」と聞きながら嗅ぎまわっていました。
においに教科書はなく、とにかく人に尋ねるしか知る方法はなかったのです。嘘を教えていた人がいたら許しません。
そして、一定のところで嗅覚はストップしました。
おそらく他の人ほど敏感には感じ取れていませんが、
カレー、豚骨、オリーブオイルとにんにくを炒めたようなにおい、しょうゆとかの和風っぽいにおい、ガソリン、生ごみ、キンモクセイ、バラ、柑橘系のにおい、香水やシャンプー、などの強いにおいは感じ取れるようになりました。
食事も以前より美味しく感じるようになった気もしますが、
苦手なにおいもわかるようになったので一長一短といったところでしょうか。
しかし、小説や歌詞などには多くのにおいが描かれており、今でも時々憧れています。
土のにおい、雨のにおい、汗のにおい、アスファルトのにおい、おひさまのにおいなど。
そういう繊細なにおいもいつかわかるようになるのでしょうか。
ただ大人になってからにおいを知るというのは結構面白い経験だな、と思います。
一度見についてしまった感覚や知識をリセットする事は難しいので、
10代後半にして幼児のような情報の洪水に陥ることができたのは珍しい経験だと思います。
ただ、もちろん後悔もあります。
サッカーの日本代表戦を見に行った際、当時大好きだった内田篤人が私のすぐそばまで来ていたのですが、なんのにおいもしなかったのです。
私は内田篤人の汗のにおいを胸いっぱいに吸い込みたいのに、なんのにおいもしなかったのです。
もしかしたら内田篤人が無臭の可能性もありますが、とても残念でした。
私以外の人はみんな内田篤人のにおいを吸い込んでいたのかと思うと、悔しい気持ちでいっぱいでした。
以上で私のにおいがしない話は終わりです。
嗅覚障害で調べてみると、原因は鼻炎などの鼻の病気、コロナなどウイルスが嗅覚を感じるところに影響を及ぼすパターン、脳の病気、などが原因とされていますが、
結局のところ病院にも行かずに10年近くほっといたら治っていたのでよくわかりません。
ですが、今でも知らないにおいを感じると興奮しているので
街中で「これなんのにおい?!」とはしゃいでいるアラサーがいたら私かもしれません。
優しく見守ってくださいね。
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