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因縁のロシアとウクライナの対立―かつてウクライナは欧州最大の国家―

 ウクライナは、現在のロシアとの激しい闘いが報道されるまで日本人にとって馴染みの薄い国だった。面積は日本の約1.6倍。人口は約5000万人と東ヨーロッパではロシアに次ぐ大国である。首都はキーウ(キエフ)。 

 地理的には、東はロシア、西はポーランド、スロバキア、ハンガリー、南はルーマニア、モルドバ、北はベラルーシに面し、アゾフ海、黒海に沿った海岸線を持つ。森林や草原地帯が多く紀元前6000年時代から農業を始めていた。数万年前の旧石器時代の遺跡があり、さらに新石器時代の農耕集落跡は、東欧では最古といわれている。当時の住民はスラブ系民族の先祖とみられ、紀元前8世紀から同3世紀にかけてはイラン系遊牧騎馬民族などを中心とする歴史のある遊牧民国家で、スキタイ人とも呼ばれていた。紀元前7世紀から同4世紀のウクライナにはスキタイの遺跡が残っている。遊牧民のほか農耕のスキタイ人もいて穀物、豆、粟、玉ネギなどを栽培していた。

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