
社員のおすすめビジネス書⑫
こんにちは。志高塾です。
本日は、社員のおすすめビジネス書をご紹介いたします。
こちらは、9月21日に弊塾のHPで掲載された内容の再録です。
三浦のおすすめビジネス書『ずるい考え方 ゼロから始まるラテラルシンキング入門』
ラテラルシンキング、水平思想と呼ばれるその考え方は、課題解決のアイデアを考えるにあたっては必要不可欠なものである。ロジカルシンキングが順序を追って思考を深めていくのに対し、ラテラルシンキングは課題のポイントを抽象化して抜き出し、それに対して思考を広げていくものだ。その中で大切なのは、既存の思考を疑う力、物事の本質(要点)を見抜く力、そして「セレンディピティ」、偶然に起こったものの価値を見落とさない力だ。物を売るためにはどうするか、事故を減らすためにはどうするか…。その解決策は、何も既存の方法に頼る必要はない、というのが本書の述べるところである。サウスウエスト航空が「格安」を売りにしているからこそ座席を先着順にしたことや、かの有名なフォードが「速い馬車」として自動車に目をつけた、などの例は、どのようなアイデアがあるのか、なぜその発想に至ったのかがわかりやすい。
作文に通ずるところがある。日々の生活から「なぜ?」と疑問を持ち、題材の中のポイントを抽出し、そしてそれに対して、色々な角度から思い浮かぶ話題と繋ぎ合わせる。
ただひとつの感想としては、「結果」を求めることが肝心なのか、「過程」こそが重要なのか、対峙する壁に合わせて考えることも大切だろう、というのがあった。この本が要約サービスに取り上げられているのを見かけた。「内容を知る」ことがゴールなのか、「本を読みながら考える」ことに比重が置かれるべきなのか…。「ずるい」は使いどころ次第だ。
徳野のおすすめビジネス書『1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術』
上司や取引先に向けた大事なプレゼンテーション。時間をかけてシナリオを練り、言葉を尽くして伝えたつもりなのに、相手からの反応は「で、どういうこと?」だけ。そんな悩みを抱えている人が念頭に置くべきは「人間は他者の話を80%聞いていない」という事実だ。だからこそ、相手の左脳と右脳の両方を刺激しながら、1分で簡潔にメッセージを発する技術が重要になってくる。
まず、論理面に関しては、結論を最初に示してから根拠を3つほど並べる「ピラミッドストラクチャー」を構成するのが大前提である。その手法じたいは本著以外でもよく紹介されているが、伊藤氏は目的が「相手を動かすこと」にある点を忘れてはならないと強調している。例えば、上司に「営業部と連携して、欠陥品に対してより迅速に対応できるシステムを開発したいのです」と伝えるだけなく、そこから「営業部長の方にお話しいただけないでしょうか」と要望することで次に起こすべきアクションが明確になり、仕事にスピード感が生まれる。
だが、人の行動を変える上で難しいのは、感性に訴えかけることの方である。プレゼンテーションの場に限った話をすると、「具体的なイメージが湧くような資料や問いかけを準備しておく」「相手の反応を窺いながら声量と表情をコントロールする」といった工夫が生きる。同時に、様々な工夫を重ねた「1分」を結果に結びつけるためには、それ以前から長い期間をかけて相手と信頼関係を構築しておく必要がある。つまり、効率性および合理性が重要なことに違いはないが、短期的な「タイムパフォーマンス」に囚われてはならないということだ。そして、自分の利益を直接的に上げるための提案だけでなく、他者が抱える課題解決にコミットできる人物が仕事において信頼される。
竹内のおすすめビジネス書『不格好経営 チームDeNAの挑戦』
1999年1月時点ではマッキンゼーでコンサルタントとして働いていた著者。当時はまだ日本に存在していなかった本格的なネットオークションを立ち上げるべきだと大手プロバイダー会社の社長に提案した際、「自分でやってみたらどうか」と返されたことからDeNAは始まった。同僚2人に声をかけ起業の準備を進め、同年の3月4日に登記した。しかしシステム開発が自社ではまだ十分に賄えず他社に依頼する形だったことが仇となり、テスト予定日の前日にプログラムが実は仕上がっていなかったという想定外の事態に見舞われる。それが半年後の10月末のこと。この間にヤフーや楽天に先行されることとなってしまうが、5週間後の11月29日にPC向けのオークションサービスがついに動き出した。その後通信費の定額制が普及していくとモバイル向けに新たなサイトを構築し、ゲーム事業を中心に拡大していく。2011年のオフシーズンにはプロ野球に参入し、横浜DeNAベイスターズが誕生している。
ソーシャルゲームの人気が高まる中で生まれるユーザー間でのトラブルや社会への影響、流行を読めずに下がる売り上げ、他社との共同事業での大きなミスなど、起こる問題と確実に向き合い、解消に動くことで発展を遂げていった。初めてのサービスが始動するまでの紆余曲折の経験によって、同じ目標に向かって全力を尽くし、達成した時の喜びと高揚感を経営の中枢に据える、というビジョンのもとで企業の運営がなされている。
はっとさせられるのは、物事が進んでいく速さである。社内のみならず社外とも連携を取ってプロジェクトを動かしていくにあたって、決定、実行、修正を繰り返せるチーム力や個々の熱意は欠かせない。機会や優秀な人材を、逃さずものにするためには、スピードや時間に対する意識を当たり前に持っていなければならない。そうやってどんどん新しいことをやっていく組織は面白い。