メンヘラが「ボーはおそれている」を見た 感想
ヘッダー画像はいつも通り、お借りしたもので、本文とは関係がありません。
アリ・アスター初見はミッドサマー
筆者はホラー映画は苦手であまり見ない
ショート映画の「ジョンソン家の奇妙なこと」も観ている
アリ・アスターの作物は正直好きだけど継承は見れていない
まず本編通しての感想。ファスト映画にならないようかなり省いて主観のみで書いています
本編の感想
第一幕
最初ボーに同情し「このおじさんの不安わかるわ」などとメンヘラ同士のシンパシーを感じていた。
特に寝坊するところや、家の荷物を慌てて支度している時に限ってうまく行かないところなど
寝付けない描写も良かった。あれは多分幻覚かな?と思うけど
入眠時の幻聴が私も著しく、凄まじい音量の音楽で起こされる(幻聴だとわからない。ゆめうつつだから)日がときどきある。
薬の副作用の一番起きなさそうなやつを見て心配になっちゃうのもわかる。
このシーンはとにかく幻か現実かわからないところが多く、なるべく「これは嘘」「これは本当」と考察せず、あくまでボー視点ではこうなんだなと受け入れるだけにとどめた。
第二幕
郊外でのシーン
どう考えてもボーに都合が良すぎてずっとビビっていた。
あの家族もどこかおかしい。隠していることが必ずある。特に母親のほうがまだ解せないことが多い。
トニはヤク中で、愛着障害で、でもあれは両親がトチ狂ってるからで、同情の余地があるんだよな。トニの怒りや嘆きはとてもよくわかる。
あの夫妻が何を思ってお母さんと内通してたのかわからないけど、とにかくあれも支配の一つであったのがわかった時は寒気がした
第三幕
森のシーン
徹底的に「家族とはなにか」みたいなところに焦点を合わせてくるアリアスター。アニメとの融合シーンは本当に幻覚を見ているようでなにがなんだかわからなかった。
助けてくれたお姉さんは妊娠中だし、劇の内容も出し、「母」「父」にずっと被せてきてるなと思う
また劇中劇が途中でアニメーションと合体し訳がわからなくなる。途中第二幕が正気寄りだったため、もう一度幻か現実かの考察をやめあるがままを受け入れ鑑賞するターン。
途中ボーがパパだと思った人について次の段落で触れる
第四幕
実家でのシーン
顔をすげかけて偽装死体を作るのはミステリの定石だったのに見抜けなくて悔しかった。が、メイドがいたことは最初の電話のシーンでしかわからなかったし、仕方ないのかなとは思うけど、死体を発見したのがメイドではなく宅配人であることは疑問に思うべきだった。迂闊
プールで会った初恋の人がボーの上で死んだ時思わず笑い声が出てしまった。最高すぎる
ただ母親が生きているのを分かった上でわざとベッドルームで行為に及ぶあたり正気ではない
モナの気持ちもわかる。モナは社会的強者で、自分が努力して父親なしで這い上がってきたわけだから、ボーが鍵無くしたとかうだうだ言って(他の日常的なことでもボーの障害で色々言い訳が積み重なってたと思う)また始まったとムカつく気持ちもわかるんだよ
でも、社会的弱者で、何も自分で決められない不安の強い人間がいるのも、わかるから
だけど、モナが自分がこんなに振り絞っても何もお前は返してくれなかった、憎しみしかない、お前はなんなんだと激昂する気持ちも、わかる
ただ過干渉の極みでもあるから、どちらが悪者でどちらが被害者とかはこの映画にはないとおもっている
屋根裏のシーンは私は父親と兄?弟?がいたと考察している
父親の世話をしていたのがあの森にいた男。本当に雇われて屋根裏の管理をしていたが、ボーに発信機がついていたのに気づいて冗談ということにした。
ボーには見えてなかったか、男性器モンスターと誤認したかはわからないけど、とにかくボーにとって父親は都合が悪いので脳が認識しない。ボーにとって都合の悪いことはこの映画では全て省かれている。
男性器を模したモンスターは自分の恐怖心とかで、最近一番怖かった元軍人がモンスターにあっさりやられる幻覚を見て恐怖を増したのかと思った(ここはかなり抽象的なシーンなので、色々な意見があると思う)
その後母親の首を絞め、倒れたところで正気に戻り「そんなつもりじゃなかった」と。今までもこのようにカッとなってなにかして、最後に被害者ぶるのは常套手段だったんだろうなと予想。トニのペンキのシーンもそう
最終幕
裁判のシーン。あれは完全に走馬灯だと思う
わたしたちが寝る前に反省会をするように、ボーは裁判をしていたんだと思う。自分を責める気持ちと、自分を弁護する気持ち、ああいうことを日々繰り返していて、しかも母親の支配下にあることから逃れられないのを分かっていた
あのシーンは自分が自分の弁護をしていたんだと思うんだけど 検事の方が雄弁に語り、声がでかく、たっぷり画面に映し出されてたのに、弁護人の方は声は小さいし誰が弁護してんのかもわかんなかったところや、墜落死になったところ、「最悪」でした
エンドロールの演出もすごくよかった
そしてこれはインターネットで見た感想で自分の考察ではないんだけど、「船が壊れた時、ボーは炎上するエンジンだけを見ていて、自分でオールを漕ぐことをしなかった。どのシーンもいつも人任せ、他責思考」と書いてあり、すごく納得した
確かにオールがあったのにボーが漕いでいたシーンは一度もない
あれが全てなんだろうな。
全体を通しての感想
一貫してボーは幼稚であり「どうしたらいいかわからない」という態度。母親は確かにヒスだし毒親だとは思うが、ボーに全く非がないか、嘘がないかと聞かれればそうではないと思う
ボーの鈍い態度や他責っぽいところに母親が腹を立ててイライラしていたのもわかるし、愛を注ごうとしていたのもわかる、ただボーと相性は悪かったとは思うけど
この映画を「親ガチャ」みたいな安易な言葉で済ませたくない モナから見れば「子ガチャ」でもあったと思う
モナは確かにやべーやつだけど、モナだけが100%悪いか?と言えば、そうではないと思うし、ボーは親ガチャハズレ可哀想😅毒親映画です!みたいな感想は流石にクレープ並に薄い。
点数をいつも映画につけるんだけど今回は点数はつけられない。そのかわり審査員特別賞
3時間椅子に座って悪夢を見せられ続ける
知らないユーザーが呟いていた「ボボボーボ・ボーボボ」は完全に誇張。そんな感じではない
シャッター・アイランド、ファニー・ゲームに似た味がした
私はこの映画でなにもわからなかった
誰が信頼できるかも誰が正しいかもわからないし、スクリーンに写ってる絵が正しいのかもわからんかったので。だから点数はなし
どこまでが本当にボーに襲いかかった怖いことなのかはわからないけど、ずっと起きもしないような不安を思って、家に急に人が入ってきちゃったらどうしようとか、そういうのに結構共感できるところがあったから、見てよかったなと思っています
ユダヤ版ロードオブザリングみたいなアリアスターの意見は鑑賞後に知ったので、そういった感想は特になし。
あと、これはコメディ映画だ!というお話もチラチラ見かけたけど、わたしにとっては「笑い事ではない」だった。
実際腹上死のシーンはわらけたし、全裸で走ったり、滑稽なシーンはたくさんあった。
ただ「3時間おじさんが理不尽な目に遭い続けて面白い」とは流石に思えなかったかな、自分がいつボーになるかわからない状況なので。実際このノートは明日新幹線に乗らないといけないからはやく床についたのに眠れなく、寝過ごしたらどうしようと不安を抱えているから書いているノートだし
なので、滑稽ギャグ映画、宗教的映画、とまではいかず、自分の中では「面白かったけど、言葉が出ない」ジャンルに属しました。つまるところシャッター・アイランドです。シャッター・アイランドを見てください。
新幹線に乗り遅れたらシャレにならないので流石にもうやめておきますが、「なんか話題になってるし行くかw」くらいの気持ちで行くと暗い気持ちになって終わるだけだと思うので、見たい人は見ればいいと思います。
おわり
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