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ドーナツを手に、前を向く。

飾り立てられたドーナツやパンというのは、どうしてあんなにもトキメキと夢が詰まっているのだろう。
鮮やかなピンク色のラズベリーグレイスは、童話のお菓子を思わせる可愛らしさ。
宇宙をイメージしたというブルー、ホワイト、イエローのグラデーションカラーのコーティングだってちっとも毒々しくない。むしろ楽しい。

そんなちょっとしたウレシイ食べ物を手にフードコートで休憩したり、家に持ち帰って引き続きワクワクした気持ちを堪能する。

そんなことをできてる自分、なんと恵まれているのだろう。




マンション工事で平日は家にいられないから、ショッピングモールのフードコートによく出没する。

客層の平均年齢イコールほぼ日本の高齢化社会。60代、70代とおぼしき方々が向かい合い、時にはグループで話に花を咲かせている。

その中に、買い物ついでに一人でランチとおぼしき50代くらいの女性、小さな子を連れたママさん、お仕事中の昼休み的なスーツ姿の男性にモールの店員さんらしき女性の姿がちらほら。

そんな風景に紛れ込み、PCで何か打っているわたし。
夕飯の買い物をするでもなく、子連れでも仕事中でもない。
いわゆるリタイヤした方々と同じような過ごし方で大丈夫かよ?と思いつつ、とりあえずこれでいいんだ、自分を大事に自分を労れ、それがモットーなのだとキーボードを叩き続ける。


ただただそんなふうに世の中を見ながら過ごしてるだけの自分、なんと恵まれているのだろう。




3年前、2年前とここで書いたものを見返すと、いかに自由な時間と自由なわたしを求めて苦しんでいたのかよくわかる。
そして、変えたくて変えたくて踠いていたこともよくわかる。

こうしてわたしはちゃんと変わることができた。
いつまでこんな暮らしなのか、定年までこうして当たり前のように働くのかと思ってたあの頃と比べたら、なんと気楽な過ごし方になったのだろう。


ここで働かなければならない、そうしなければ生きてゆけないという、何の根拠もない呪縛から抜け出せて、本当によかった。

暮らしに余白ができたから、ドーナツやパンの楽しさにも、日々を生きる人たちの健気さにも気付けた。
些細なことで幸せを感じる能力を取り戻せた。
この能力が、これからの自分が幸せに生き抜く糧になる。
それに気付かないまま、ため息で毎日を染めて自分の身体と魂を傷つけながら60歳まであそこで働き続けても、たぶん「よく生きた」とは思えない。
どうしてわたしがこの道を、と親を恨み続けるだけだろう。




苦しすぎる文章は消した。
これも断捨離のひとつ。

辛かったことは、過去に置き去りでいい。
楽しいことだけ持って生きてゆけばいい。

だから、苦しかったことを残しておく必要なんて、全然見当たらない。




「前を向いてほしい」
あの時、組織の偉い人が一見美しい言葉をかけながら、わたしが嫌がる仕事を押し付けようとした。
この言葉を逆手に取って、ここを辞めて前を向いてやると決断した自分を今でも誇りに思う。

今、向いている先に見えている未来は、楽しみなことしかない。





ここまで御覧くださった皆様、
貴重なお時間ありがとうございました!



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紫葉梢《Shiba-Kozue》
より良い日々の路銀にさせていただきます。いつかあなたにお還しします😌