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忍耐のち歓喜のスペイン戦を振り返ってみよう。

日本vs.スペイン戦における両チームのボール支配率はなんと17.7%対82.3%。
この17.7%という数値は、W杯でポゼッション率の記録が残る1966年のイングランド大会以降、勝利したチームの中で最も低い値なんだそうです。

ポゼッションサッカーの権化、スペインが相手としてもこの数字はなかなか衝撃的ですね😅

ただ、シュート数を見るとスペイン6本に対して日本3本。うち枠内シュートはスペイン5本で日本が3本。
ドイツvs日本戦の時のドイツが25本シュート(うち枠内8本)だったのと比べると、スペインも圧倒的にボールを支配してはいたものの、数字からは意外とそんなにガンガン攻めていたという感じはしてこないですね。

とはいえ、ボールを持たれている間はひたすら守備をしなければならない訳で、特に前半30分ぐらいまでは失点シーンも含めいいようにパスを回され、イエローもらいながら忍耐を強いられる展開でした。

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ところでちょっとだけコスタリカ戦も振り返っておくと、日本vs.コスタリカ戦のボール保持率は56.8%対43.2%で拮抗していますが、シュート数は日本13本、コスタリカ4本。うち枠内は日本3本のコスタリカ1本(!)。
つまり本当に唯一のチャンスを決められてしまった訳ですね。

参考)サッカーキング マッチスタッツ
※めちゃめちゃ分かりやすいです!サカキンのスタッフさんありがとう!

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それが後半早々、三苫と堂安を入れると前半までが嘘のように前線がプレスをかけ始めます。
堂安の得点につながるプレーを確認すると、ゴール前から前田→三苫→鎌田→三苫→前田と立て続けにプレッシャーをかけ、キーパーがたまらず左サイドにふわっとパス(クリアでなく繋ごうとしたところがミソ)。
そこに伊藤がチャレンジ→こぼれたボールが堂安の前に転がり、ゴールに結びつきました。

日本が急に圧力をかけはじめたのに対し、対応が少し遅れたでしょうか。
スペインは前半、比較的楽にゲームを進めていたので、後半の入りもそのイメージをまだ持っていたのかもしれません。なまじ繋ごうとしたことが裏目に出ましたね。

そして「得点直後は得点が入りやすい」という言葉がありますが、その通り堂安のゴールからわずか3分後に追加点が生まれます。

リスタート後に権田が蹴ったロングパスが伊藤へ通り→田中→直前にゴールを決めた位置でボールを持った堂安にスペインの選手が3人吸い寄せられます。他のDFも堂安に注意が行ってしまい、三苫はフリーでゴール前へ。
ゴールラインを割るかと思われた堂安のパスを三苫がギリギリで折り返し、これまたフリーになった田中が押し込みます。

このシーンを見返すと、ゴールキックになるだろうと足を止めてしまったスペイン選手と、インプレーの可能性を信じて動き続けた日本選手とが対照的ですね。

ご存知の通りこのきわどいプレーはVAR判定でゴールが認められ、日本は逆転に成功します。
FIFA公式Twitterアカウントより↓

最終的にドイツがコスタリカに2点差で勝利したため、日本は引き分けではGLを突破出来なかったことを考えると、このVAR判定で認められた数ミリがまさに天国と地獄の分水嶺だった訳です。

世界中に配信された、AP通信のヨセク氏が撮影した写真(日テレニュースより)↓

いや〜、このカメラマンさん、GJです!

三苫選手のボールに追いついたスピードももちろんですが、目の前にいる前田選手に当たらず、キーパーの手も届かない、ここしかないという絶妙な角度のセンタリングも素晴らしかった。

しかしなまじ後半の早い段階で逆転したため、これほど残り時間が長く感じた試合もなかったかもですね。

後半もアディショナルタイムに入るとドイツvs.コスタリカの試合経過がピッチにも伝わったのか、得失点差に余裕のあるスペインは強引に攻めて来なくなったようにも感じましたが、とにもかくにも逃げ切った日本は下馬評を覆し、E組1位通過という素晴らしい結果を出してくれました。

シード国に勝った意義も大きいと思います。日本は過去のW杯本大会でシード国に勝ったことは一度もありませんでしたから。
※2002年の日韓大会では開催国シードだったため、第一ポッド相当の強豪国との対戦はありませんでした。

オシムが存命であったなら、「この結果は奇跡じゃない」と言ってくれたでしょうか。

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