個性豊かな面々の不在と私たちのコピー機(古賀及子のエッセイ)
夏、あまりの暑さに家を飛び出した。
クーラーはある。熱中症にはぜったいになるまいと温度計と湿度計を設置して適温適湿を保つようにはした。けれど今年の夏は温度や湿度だけではない、圧のようなものがあった。
部屋にいると、じりじり壁を焼いて入り込んだ熱気が四方から迫る。押し込まれて波状になって、クーラーの冷気の隙間を縫うように人の服と肌のあいだに滑り込む。暑い。
パソコンに向かって作業をしていると、汗をかかないのにじりじり頭が熱っぽくなっていく。はっと驚き体温を計っても平熱で、