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意味なんてもともとないんだ「ダンス・ダンス・ダンス 上 村上春樹」

ダンス・ダンス・ダンス
村上春樹

 札幌の街から主人公である僕の物語が始まる。ホテルを舞台に物語が展開されてやがて東京へ。東京では警察、学生時代の同級生、娼婦といった奇妙な人間との出会いの中で、僕の物語が進む。

 久しぶりの村上春樹。羊をめぐる冒険に続く物語だけど、それを知らずに購入した。内容を知らずとも村上ワールドに入ればそんなものは関係なかった。やはり今作もなぜかモテる僕はすぐに女と関係を持つ。やれやれだ。
 購入したきっかけは自分が書いた作品にハント・ハント・ハントと付けようとしたくらいにタイトルが好きだった。とても耳に残った。ユニクロでこの作品がTシャツになっていた。文化的でモダンな表紙だったのでユニクロとはいえ周りの人と被らないだろうと思って買った。街に出歩く度に文化的でモダンな表紙に出会った。文化的なモダンは自室の中で踊り続けている。

これから下を読み進める。年内に読み終わることを目標にしたい。


○気に入った文章

そして久し振りにじっと鏡の中の自分の顔を眺めた。大した発見はなかったし、別に勇気も湧いてこなかった。いつもの僕の顔だった。

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踊るんだ、踊り続けるんだ。何故踊るかなんて考えちゃいけない。意味なんてもともとないんだ。そんなこと考え出したら足が停まる。
→自分の心が弱っている時にひどく刺さった。今の仕事環境、業界、生き方、時間の使い方。「この生活に何の意味があるんだ?」意味などないのだと、ただ踊るのだと。そう考えるとすこしすっきりとした。

あんぁはたしかに疲れている。疲れて、怯えている。誰にでもそういう時がある。何もかもが間違っているように感じられるんだ。だから足が停まってしまう。

オンガクノツヅクカギリ

やれやれ、と僕は思った。そしてしばらく手に持った受話器。眺めていた。

「よう、懐かしいねえ」と彼はにっこりと微笑んで言った。握手したりしなかったので、僕はすごくほっとした。

「僕は昔は人間というものは一年一年順番に年をとっていくんだと思っていた」

「でもそうじゃない。人間は一瞬にして年を取るんだ」

示唆し、導く。

ダンス・ステップみたいなもんです。習慣的なものです。体が覚えてるんです。音楽が聞こえると体が自然に動く。回りが変わっても関係ないんです。すごくややこしいステップなんで、回りのことを考えてられないんです。あまりいろんなことを考えると踏み間違えちゃうから。ただ不器用なだけです。トレンディーじゃない

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