深澤直人がデザインしたPlankのサイドテーブル(2022)
『建築と家具のデザイン』マガジン
デザインがメインの #しじみnote ですが、建築と家具に関する記事はこちらのマガジンにまとめていきます。
深澤直人氏がデザインした、イタリアの家具ブランド、Plankのサイドテーブル、“TOテーブル”
深澤直人氏は、日本のプロダクトデザイナーで、ずいぶん昔の作品となりますが、携帯電話のINFO BARはわたしの大好きな彼の作品で、一番最初に想起されえるものです。
そんな深澤氏が、イタリアの家具ブランド、Plankのためにデザインしたサイドテーブル「TO Side Table」が発表されました。このサイドテーブルは、以前に深澤氏がPlankのためにデザインした「Land」という未来的な椅子に合うようにデザインされたものです。今回は、このシンプルなTO Side Table」と「Land」という椅子、深澤直人氏、そしてPlankというブランドを紹介していきます。
深澤 直人(ふかさわ なおと)
深澤直人氏は、1956年山梨県生まれ。1980年(24歳)、多摩美術大学プロダクトデザイン学科卒業、同年セイコーエプソン入社。先行開発のデザインを担当。1989年(33歳)渡米し、ID Two (現 IDEO)に入社。
シリコンバレーの産業を中心としたデザインの仕事に7年間従事した後、1996年(40歳)に帰国。IDEO東京オフィスを立ち上げ支社長として日本のデザインコンサルタントのベースを形成します。2003年(47歳)に独立し、NAOTO FUKASAWA DESIGNを設立。
現在は、イタリア、ドイツ、アメリカ、スイス、スペイン、中国、韓国、タイ、台湾、シンガポール、フランス、ポルトガル、スウェーデン、フィンランドなど世界を代表するブランドのデザインや、日本国内の企業のデザインやコンサルティングを多数手がけています。日用品や電子精密機器からモビリティ、家具、インテリア、建築に至るまで手がけるデザインの領域は幅広く多岐に渡っています。
人の想いを可視化する静かで力のあるデザインに定評があり、「行為に相即するデザイン」「意識の中心」「ふつう」「輪郭」「典型」など、自らのデザイン哲学をこれらの言葉で表わしています。デザインのみならず、デザインを通して対象の本質にせまる力、その思想や表現などには国や領域を超えて高い評価を得ています。
人間の意識していないときの行動の中にデザインのきっかけがあることを見い出し、それを深澤氏は、「Without Thought(思わず)」と名付けています。1999年(43歳)からはその名を使ったデザインワークショップを毎年開催し、書籍とともに発表を続けています。
東京、駒場にある日本民藝館の館長。多摩美術大学統合デザイン学科教授。21_21 Design Sightディレクター。良品計画デザインアドバイザリーボード。 マルニ木工アートディレクター。日本経済新聞社日経優秀製品・サービス賞審査委員。毎日デザイン賞選考委員。2006年Jasper Morrisonと共に「Super Normal」設立。2010年–2014年グッドデザイン賞審査委員長。 2012年Braun Prize審査委員。 20178年LOEWE クラフトプライズ 審査委員。ロイヤルデザイナー・フォー・インダストリー(英国王室芸術協会)の称号を持つ。2018年、「イサム・ノグチ賞」を受賞。
IDEO
IDEO は、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、中国にオフィスを持つデザイン・コンサルティング会社です。1991年にカリフォルニア州パロアルトで設立されました(Founderは、David Kelley, Bill Moggridge, Mike Nuttall)。700人のスタッフがデザイン思考のアプローチで製品、サービス、環境、デジタル体験をデザインしています。
1996年にスチールケースが過半数株式を取得しますが、独立した経営を続けていました。 2000年代初頭には、経営コンサルティングや組織設計にも進出。 2016年に日本の持ち株会社のKyu Collectiveが少数株式を購入し、スチールケースも引き続き少数株式を保有しています。
イタリアの家具ブランド、PLANK
PLANK社は、工業生産技術の徹底的な研究と、フォルムへの革新的なアプローチに情熱を注ぐイタリアのデザイン家具メーカーです。1953年の設立以来、コンスタンチン・グルチッチ(Konstantin Grcic)、深澤直人、ビアッジョ・シソッティ+サンドラ・ローベ(Biagio Cisotti + Sandra Laube)といった一流デザイナーとの密接なコラボレーションにより、時代を超えた象徴的な製品の数々を開発しています。PLANKのチェア、ラウンジシーティング、テーブルシステム、スツールは、世界中の住宅、公共スペースで見かけることができます。
PLANKの製品は、XXII Compasso d'Oro (MYTO chair) やiF Product Design Award, Gold (MIURA stool) など数々の賞を受賞し、ニューヨーク近代美術館(MoMA)、ミュンヘンデザイン美術館、シカゴ美術館などの主要美術館に所蔵されています。
深澤直人氏がデザインしたPLANKのラウンジチェア「LAND」
深澤直人氏がPLANKとコラボレーションをはじめたのは2012年からでした。このLANDという椅子は2018年にデザインされました。
TO サイドテーブル
深澤氏は、ドPlankのために、3つのシンプルな形から構成されるシンプルなサイドテーブル「TO」をデザインしました(2022年)。深澤氏がデザインしたラウンジチェア「LAND」や他の家具と組み合わせて、住宅から公共スペースまで、様々なシーンで使用できるようにデザインされています。
TOは、プランクのラウンジチェア「LAND」を補完するために作られました。O型の天板とベース、その間にT字型の支柱を配したシンプルかつ印象的なフォルムが特徴的です。「この構造は、伝統的でクリーン、そしてシンプルなデザインによってインパクトを与えることを意図しています」と深澤氏は解説しています(※1)。
テーブルは、丸いベースと天板をT字型の柱で接続されています。各パーツはスチール製で、厚さは4mm。このため、テーブルの外観はスマートで統一感があります。「このテーブルは、どんなシーンにも溶け込むシンプルなフォルムで、様々な用途にフィットし、気取らず、同時に印象的です」とPLANK(プランク)は述べています。(※1)
まとめ
日本では、深澤直人氏のこの新しいデザインの家具についての情報はあまり出回っておりません。アメリカとヨーロッパのほうがずっと多くこの家具について触れられています。ブランドがイタリアであり、市場もヨーロッパやアメリカであることがその主な理由でしょう。しかし、これは私見の域をぜんぜんでないものだと前置きしながらも、デザインに関するニュースを日本語ではあまり収集できない感覚があります。関心が欧米や他の国に比べて、高くないような気がします。それをネガティブに批判するというよりは、ブルーオーシャンのようにポジティブに感じています。デザインというフィールドの可能性は、商品、DX、サービス、経営などの多岐にわたったフィールドで(IDEOが実践するドメインのように)広く深く存在しており、そしてそれは市場としてだけではなく、ビジネスを拡張するという意味でも大きな意味を持つように思います。わたしは、そのモーメンタム(勢い)を強化したいと強く思います。
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参照
※1