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日本人が知らない欧文の常識「合字」

ビジネスに使えるデザインの話

ビジネスにデザインの知識はけっこう使えます。苦手な人も多いから1つ知るだけでもその分アドバンテージになることもあります。noteは毎日午前7時に更新しています


欧文のルール

日本人は知らない欧文(主に英語)のルールというものがあります。これは英語の授業でも教えてくれません。それゆえか翻訳者からの原稿にも、このルールに則っていないものがすごく多くあります。

知っておくと何かとアドバンテージになるので少しずつご紹介していきます。ご紹介した欧文のルールはこちらのマガジンにストックしていきます。


日本人はほとんど知らない合字

日本人だが、英語を話せる、書ける、読める方々(たとえば論文を読むし書く大学などの研究者たち)もしらないことが多い欧文ルールがいくつかあるのですが、合字はその中の一つです。英語だと「ligature」、もうちょっと正確にいうと「orthographic ligature」と言います。ligatureは、「ひもでくくること」という意味の名詞でorthographicは、「正字」つまり「ただしい文字の」という意味です。

具体的には、タイトル画面にも載せているように「f」と「i」とか「f」と「l」をくっつけた文字、これが合字です。タイプする場合も一文字になっています。

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これ以外にもffiとかfflとかも合字することがありますし、stとかctなど、装飾的に合時にすることもあります。

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Image: creative pro “TypeTalk: The Ins and Outs of F-ligatures


なぜ合字にするのか

合字にする理由はシンプル「醜い(見難い)から」。fの頭の部分とiの頭の部分が微妙に重なり、見づらい。fがつながると横棒が微妙に離れていて、くっついているのかいないのかはっきりしなくなるなど、fとiやffやflは見づらくなります。

この合字は、活版印刷の時代からのもので、そういう活字がありました。

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Image: creative pro “TypeTalk: The Ins and Outs of F-ligatures

sとtやcとtなどは、装飾的な意味で繋げることがあります。そうして抑揚のような役割を果たしています。それからデンマーク語、ノルウェー語、フランス語、ドイツ語では、ふたつの母音が重なった重母音を示すときは、ドイツ語特有の短いsと長いs(というのがあるんです)をつなげた合字があります。

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いつ合字を使うのか、使わないのか

事務的だったり個人的な文章の場合は、合字を使わないこともあります。また新聞を見ていると、ときどき合字を使っていないものを見かけます。しかし公的な、または広告的なもの、たとえばパンフレットなどでは、かならず合字を使います。ニュアンスとしては(ちょっと違うかもしれないけれど)口語体と文語体みたいな違いがそこにあります。

企業パンフレットで合字を使っていないと「ちゃんとしていない」という印象を与えてしまうでしょう。または「欧文のことを知らないなんだな」とか「欧文の制作にプロを入れていないんだな」という印象を形成するのではないでしょうか。

友だちにメールを送るときとか、簡単な報告などで使わなくても良いものの、パブリックに見せる場合は、合字を使うのが適切です


合字の入力の仕方

最近のopentypeという形式のフォントの場合は自動で合字になるものもあります。

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こんなふうに合字が使えるところを勝手に合字にしてくれるオプションが用意されています。

自分で入力する場合はこうです。

fi = option + shift  + 5

fl = option + shift  + 6

実際に打ってみるとこういう表記になります。

「え?見た目変わらないんですけど」

そうなんです。サンセリフの場合(ゴシック体のようなもので、文字のはじっこに飾りがない種類の書体)、合字を使っても見た目が変わらないものがあるんです。連結部分がないためなんです。サンセリフについてはこちらを参照ください。



重母音の入力の仕方

デンマーク語などを使うかたはご存知でしょうし、使わない方は入力する機会がほとんどないと思いますが、重母音の入力の仕方はこうです。

æ = option +*

Æ = option + shift + *

œ = option + q

Œ = option + shift +q

例:フランス語の「オードブル」

hors-d'œuvre


具体例

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image: firefly

イギリスの飲料ブランド、fireflyのロゴです。ばっちり合字を使っています。こういう飲み物です。

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image: firefly official website

オフィシャルウェブサイトはこちら。 


パッケージデザインしたのはイギリスのマイケルナッシュ アソシエイツ。


まとめ

日本で非常に有名なグラフィックデザイナーでも、このたぐいの知識が無い方がときどきいます。しかし英語表記する場合は、英語圏の方々に向けて制作されているはずです。なので、欧文組版の知識のあるブランディング会社やデザイン会社に制作を依頼するのが得策です。またはひとり欧文の校閲を入れたり、ディレクターを入れたりするだけでも違ってきます。

わたしの会社では、他国で使用するデザインの制作もしていて、このあたりは非常に気をつけて制作をしています。あまり気づいてもらえないのですが(笑)。


わたしの会社↓です。


まずは、

欧文には欧文のルールがあるということを知っている

ことが重要です。ときどき変わった漢字をタトゥーしている日本語圏外の方々を笑う投稿をネット上で見かけますが、日本語圏の人もまた欧文の基礎知識が欠けていると自分では気づかないまま、間違ってしまうことが多々あることになります。

ブランディングファームやグラフィックデザインの専門家でなければ、熟知している必要はありませんが、欧文のルールがあるぞ!ということを知っているだけでなかなか大きなアドバンテージになります。これはグラフィックデザインとはまた少し違う種類の知識だからなんです。欧文を扱うなら知るべき知識でもあるのですが、これ盲点なんです。それにこれは

英語を話せる、読める、書ける、ということとも別の知識

なんです。そして知れば知るほど、(意外に)みるものが楽しくなってくる知識でもあります。


参照


参照書籍




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