ロイヤル・ワラントって何だ?
上記のロイヤル・ワラント・マークは、英国王室御用達保持者協会(The Royal Warrant Holders Association)より。
ロイヤル・ワラントは「王室御用達」を意味する英語ですが、「王室」って言ってもいっぱいあります。皇室だって王室です。今回、注目するのは英国(UK)の王室。上記のマークの引用先の名前からわかるようにそれを管理する組織があります。詳しくは後ほど。
英国のロイヤル・ワラントは3つ
ロイヤル・ワラントとは、王室が「うちで使っているちゃんとしたものだぞえ」という保証のようなもの。英国王室の場合、「王室(Royal Household)」は3人。エリザベス女王(The Queen)、エリザベス女王のご主人であるエジンバラ公(The Duke of Edinburgh)フィリップ王配、そしてプリス・オブ・ウェールズ、チャールズ皇太子。それぞれにワラントマークがあります。
ここでいうAppointmentは、任命とか指定などというニュアンス。
ちなみにエジンバラとはスコットランドの首都。ウェールズはUKを構成する4つの国のうちの1つ。イギリスってなかなかややこしくて、正式名称が長い。
イギリスとは、グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国(途中で中断)
ロイヤル・ワラントの説明としては、余談になりますが、イギリスについて一度どんな国かをまとめておきたいです。というのもロイヤル・ワラントの表記をみるとThe QueenはわかるもののThe Duke of EdinburghやThe Prince of Walesってイギリスちゃうんかい!?と思いません? わたしはまあまあこんがらがるんで 自分のためにもまとめておきたいんです。ちなみにこのUK(こっちのほうがわかりやすいですよね、United Kingdomですもの。「団結した王国」ですもの。あ!複数ある国がまとまっているのかぁと理解しやすい)以外に、コモンウェルス(Commonwealth)という連合体もあるんです。日本語にするとまたちょっとややこしくなるんですが、日本では「イギリス連邦」と呼んでいます。
イギリス連邦とは
なぜ、ややこしいかというと1949年までは「イギリス連邦」と呼んで良かったんですが、このイギリスに相当するBritishという部分がこのとき外されたんです。しかし「連邦」と呼ぶともう何がなんだかわからなくなる。ガンダムか!って思う方も思うやも知れません。しかし機動戦士ガンダムの放映は1979年から。こちらの連邦のほうが古い。イギリス連邦の英語での名称は
Commonwealth of Nation
バカみたいに直訳すると「国民の連邦」みたいな感じかしら。イギリスが植民地にしていた国が独立後もまあつながっていましょうか、というゆるい連合体。しかもイギリスを宗主国としない国も参加しています。ゆるい!
もともとは
British Commonwealth
という名前でした。それで「イギリス連邦」と呼んでいましたが、1949年に名称が変わりました。イギリス連邦に参加している国によっては、国王を自動的にUKの王としています。なのでエリザベス女王は、いくつかの国の女王でもあるんです。その数16カ国!(忙しそう!)列挙すると:イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、ジャマイカ、バルバドス、バハマ、グレナダ、パプア・ニューギニア、ソロモン諸島、ツバル、セントルシア、セントビンセント及びグレナディーン諸島、ベリーズ、アンティグア・バーブーダ、セントクリストファー・ネイビス。(知らない国がいっぱい!)
ほんとに!?と思いません?!わたし思います。でも試しにウィキペディアでジャマイカを観てみると
女王:エリザベス2世
と表記されています。さてそろそろUKに話を戻します。それからさっさとロイヤル・ワラントの話にも戻ります。
イギリスとは、グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国(続き)
イギリスって一体なんやねん!というと、これまた英語のほうが直感的に理解しやすいです。イギリスという日本語の語源は、ポルトガル語経由の「イングランド」ですが、イングランドとは別にして扱っているんです(あ!気が狂う!)。
それをちょっと無視してUKって何かって言うと
United Kingdomですが、Unitedなんだから集まっているわけで、4つの国が集まっています。イギリスの正式名称は「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」ですが、
え?どうやって4つ?
って思っちゃいますが(わたしは思います)、地図で見ると分かる!
(Source:File:British Isles all.svg by CnbrbFile:United Kingdom countries.svg by Rob984Derived work:Offnfopt - United Kingdom countries.svg, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=39213409による)
右のでっかい島が「グレートブリテン」。これと左のアイルランドの上の部分が北アイルランド。グレートブリテンが3つに分かれて、それプラス1ということで4つ。
こまかいこというと長くなるんで、イギリスってことばをちょっと脳内で脇においてイギリスって言葉が出てきたらUK(4つの国の集まり)って捉えておくと少し楽になる気がします。なんでか? それは英国王室の御用達にウェールズの王子とかエジンバラ(スコットランド)の公爵って出てきても「はいはい」4つのうちのひとつだもんね!とこんがらがらないで受け入れられるから。ちなみに
UKの国旗も4つの国旗が重なってできているから
(パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=19488615)
スコットランドが独立すると
こうなっちゃうのかな。ちょっとずれているから直したいし、寂しいからいっそ新しくしちゃうかもしれませんね。
それではそろそろ英国王室御用達、ロイヤル・ワラントについて話を戻します。
ロイヤル・ワラントは現在728社
英国のロイヤル・ワラントは、15世紀から発行されるようになりました。「ええもんやからうち(王室)がそれを保証します」というもの。王室って、ビジネスに関わったりするのかーと不思議に感じたりしますが、UKにはエリザベス2世がオーナーの不動産とかあったりしますし、デンマークのロイヤル・コペンハーゲンというブランドは、もともと王室が経営していました。ということでよくあることです。
ロイヤル・ワラントは、銀行や新聞、雑誌などには発行しないことになっています。お酒から歯磨き粉までいろいろなものに発行されています。その数は現在728社。
検索したい場合は、The Royal Warrant Holders Associationのウェブサイトで出来ます。
3種類あるロイヤル・ワラント: エリザベス女王
(画像引用:The Royal Warrant Holders Association)
こちらは、エリザベス女王によるロイヤル・ワラント。エリザベス女王は、正確にはエリザベス2世(Elizabeth II)。1952年に即位されています。即位されたときには26歳。
エリザベス女王のファッションはいつもかわいくのですが、注目したいのがビニール傘。服の色に合わせていらっしゃる。興味があれば下記リンクをクリックすると服に合わせたビニール傘を使っているエリザベス女王の姿を見ることが出来ます。
このビニール傘は、フルトン(Fulton)というブランドの「Birdcage(鳥かご)」です。
Birdcageは、フルトン、正式にはFulton Umbrellasの創業者であるArnold Fulton氏に発明です。ということなんですが、ビニール傘の発明は、日本の老舗の企業ホワイトローズ(老舗感がない!)によるもののようです。
フルトンに話を戻しますが、もちろんエリザベス女王によるロイヤル・ワラントがあります。2008年からエリザベス女王(エリザベス2世)のロイヤル・ワラントを得ているわけですが、エリザベス1世のころからすでにロイヤル・ワラントを得ていました。
HMって何?
話をロイヤル・ワラントそのものに戻しますが、ロイヤル・ワラントのマークにBy Appointment to HM The Queenとありますが、このHMって何?
これは Her Majesty の略です。「女王陛下」という意味です。
エリザベス女王のロイヤル・ワラントは、フルトンを含めて609あります(現在)。728のうちの609なので83.6%です。
609もあるんで、例を上げればきりがありませんが、有名なところでは映画007に毎回出てくる(映画に商品を出してプロモートすることをプロダクトプレイスメントって言います)ボランジェもエリザベス女王のロイヤル・ワラントです。
エディンバラ公のロイヤル・ワラント
(画像引用:The Royal Warrant Holders Association)
HRMは、His Royal Highnessの略。エディンバラ公、フィリップ王配のロイヤル・ワラントは少なくて35社。他のロイヤル・ワラントと重ならず、エディンバラ公のロイヤル・ワラントのみののものは少ないんです。どんなところがあるかと言えば、世界最古の理髪店と言われるトゥルフィット&ヒル。
プリンス・オブ・ウェールズのロイヤル・ワラント
(画像引用:The Royal Warrant Holders Association)
プリンス・オブ・ウェールズのロイヤル・ワラントは、170あります。例えばサヴィル・ロウ(背広を作るテーラーがいっぱいある通り)のAnderson & Sheppard。HRMは、His Royal Highnessの略。
ロイヤル・ワラントを得ているその他のブランド
ちょっとだけ有名なロイヤル・ワラント・ホルダーをご紹介します。
ステーショナリーブランド スマイソン
3つロイヤル・ワラント全部を得ています。
ステーショナリーのブランドですが、バッグや財布なども扱っています。
レインブーツのハンター
おしゃれなレインブーツ、ハンターもロイヤル・ワラント。エディンバラ公とエリザベス女王の両方。
公式ウェブショップはこちら。
バーバリー
ご存知バーバリーもロイヤル・ワラント。エリザベス女王とチャールズ皇太子のロイヤル・ワラント。
ターンブル&アッサー
007でも使われる(プロダクトプレイスメント)シャツの老舗ブランド、ターンブル&アッサー。華麗なるギャッツビーにも使われていた気がします。
ジャガー・ランドローバー
ジャガー・ランドローバー(同じ会社なんすよ。っていうかインドの自動車会社タタ・モーターズの参加っす)は、3つのロイヤル・ワラントをすべて保持する唯一の自動車メーカー。
007にもジャガーは出てきます。
軽いまとめ
ロイヤル・ワラントそのものよりもUKまわりをちょっと深堀りしました。でもざっとしっておくとロイヤル・ワラントマークをみてもそれが何を意味するかわかって楽しくなると思いまとめてみました。
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