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コンフィデンスマン科学

学部時代のレポートでわりあい面白いことを考えていたので、今の自分の考えも加えつつ、書き直していこうと思う。
今日は健康科学のウソ・ホントについて。
※個人的見解に基づいています。


科学って面白いけど、難しいから…

科学、サイエンス、そう聞くとなんだか賢そう、難しそうと感じる人も少なくない気がする。
だから、できる人はすごい!
大学、医者、研究者、etc…直接的、間接的にかかわらず、彼らのおかげで日々わたしたちは快適な暮らしをしている。

でも、実は科学はそんなに敷居の高いものじゃない。
小学校の理科と似たようなもの(こんなことを言ったらお叱りを受けそう)と言える、本来はとても身近なものだ。

意外とみんなが難しく考えてしまっているせいで、色々と誤解が生まれている。
もっとよく知れば、身の回りの科学の「サッパリ分からない!」とか「思っていたのと違った……」とかを解消できるかもしれない。

一度騙されたと思って、食わず嫌いしていた世界に飛び込んでみよう!


牛乳を飲んだらいいことありますか?

小中学生の頃、給食があった人なら毎日飲んでいた牛乳。
牛乳を飲むと、身長が伸びるとか胸が大きくなるとか実は健康に悪いとか。
まるで常識かのようにまことしやかに語られるこの話題だが、疑問に思ったことはないだろうか?
毎日牛乳を飲んでいるのに背なんて伸びないぞ……と思ったことは?

ここで気が付くのは、「牛乳を飲む→背が伸びる」の2つの事象の間がすっぽり抜けていることである。
牛乳を飲むと、一体何がどうなって身長が伸びると言うのだろう。
少し科学的に見ていこう。


牛乳を飲むといいことがある、という話でもう一つ有名なのは、「骨が強くなる」だ。これは先に言うと、ホントである。
身長が伸びるためには、骨も大きく太くなる必要がある。そういう意味では、牛乳を飲む効果はありそうだ。

骨を作るのに必須のカルシウムは、人間の体の中で作ることができない物質のため、外から摂取するしかない。
でも、カルシウムだけでは骨は作られない。ビタミンDも必要だ。
実はビタミンDはかなり重要な役割を果たしている。
小腸の内壁から吸収されたカルシウムを血管へと通し、体中に運ぶ。
さらに、骨を壊す細胞から骨を守る。

骨は作ったそばから破骨細胞という細胞によって壊されていく。
これもこれで大事な役割(骨を更新する)があるのだが、行き過ぎると骨粗しょう症などになってしまう。
この破骨細胞をいい感じに遠ざけるのも、ビタミンDの重要な役割の一つだ。

ということで、カルシウムを摂取すると骨は成長しやすくなるが、それだけでは足りない。
もちろん、身長も同じくである。
「牛乳を飲むと身長が伸びる」はある意味ホントで、ウソなのだ。
ただし、身長が伸びるには骨だけでなく筋肉やその他の組織も成長しなければならない。
そのため、カルシウムだけではなく、まんべんなく栄養を摂取するのが最も効率のよい方法と言える。
必要条件ではあるが十分条件ではないということだ。
うーん、なんだかつまらない結果になってしまった。

ちなみに骨密度は大人になってから復活することはなく、現状維持が最高の対処らしい。
子どもの頃や成長期に牛乳を飲むのは、歳をとってから骨折に悩まないためなのかも。


コラーゲンはもちろん美容にいいんですよね?

どこでも見かけるコラーゲンは、もう美容の常識。
残念ながらこれも、ちょっと落とし穴がある。

コラーゲンとは何なのか、ご存じだろうか?
これは、タンパク質の一種である。
つまりプロテインと同じ、大袈裟に言えば鶏肉と同じ……。

コラーゲンを経口摂取すると、鶏肉などと同じように消化され、分解され、アミノ酸やアミノ酸が連なったペプチドになる。
これらは体を作るのに必要な物質だ。
でも、コラーゲンを採ったからと言って、それがまた体内でコラーゲンに作り変えられるかどうかは分からない。
もしかしたら肌のコラーゲンになるかも。関節の緩衝材になるかも。筋肉になるかも。

コラーゲンを摂取すれば、コラーゲンを作るもとは増える。
だから全く意味がないわけではないけれど、摂取し過ぎると他の部分によくない影響が出てしまう。
つまり、ここでも同じように、まんべんなく栄養を摂取するのが最も効率のよい方法と言える。

やっぱりつまらない。


コンフィデンスマン科学

効果のない健康・美容法のタネには、このような仕組みがある(こともある)。
実はこれらは、中学・高校の生物や化学の知識があればすぐに分かることで、意外と難しくない。
でも理科というだけで難しい!と感じてしまう人は多いので、よく仕組みを分からないままに信じ込んでしまい、やり過ぎることも。

健康や美容業界では、そういう人々がよいカモにされがちな商売が多い。
有名大学の教授や医者が言っているなら正しいだろうと思ってしまうのも仕方がない。
科学には信用があるんだもの。
それで正しい。科学は良心の上に成り立つという前提があるからだ。
でも、疑ってかかることも時には必要だと思う。
今まで絶対に正しいと言われてきたことが覆されて、常識が変わった例なんていくらでもある。

もちろん、本当に効果のあるものもある(今回紹介したものも、全く効果が無いわけではないし)けれど、どんな仕組みなのかよく調べてみよう。
これであなたも科学者だ。

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