【論文】応用行動分析学は発達障害者の就労支援にどのように貢献しているのか?:米国文献

概要
 発達障害者の就労支援に関する応用行動分析学的な手法を用いた研究に関する文献レビューは、日本ではあまり見られないため、米国における報告について概観した。米国では、有効な支援方法を開発しようとする流れがある一方で、軽度発達障害者への取り組みや職業相談・職業評価等に関してはあまり応用行動分析学に基づいた研究が行われていないことが示された。

方法
 ERICを用い、web検索。発達に関する用語「developmental disabilities」「autism」「autistic」「mild handicaps」「mild disabilities」「learning disabilities」「ADHD」と、就労と関係する用語「employment」「job」「vocational」「transition」の組み合わせを用いた。
 選択された研究の中で応用行動分析学にもとづいているか判断。①独立変数や従属変数の明確な定義。②独立変数である環境操作によって直接的に従属変数が変化しているかを分析している(認知×)。③行動分析に基づいていないと筆者が明記している場合は除外。

結果
 発達障害者の障害者就労支援に関する研究として258本が該当した。指導・介入に関するものは 31本で、うちABAに基づくものは26本であった。

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考察
 応用行動分析学を狭い意味での「行動変容の技法」ととらえてしまうのは✖。行動は強化やスモールステップで変容するという技法ばかりに支援者が目を奪われてしまうと、支援者が障害者に要求する行動を何が何でも習得させようとしてしまうことがある。「習得させなくてはならない」ではなく、「習得にどのくらい時間がかかりそうか」「習得させようとしている行動は本人の特性に合致しているのか」さらには「本当にその行動を習得させる必要があるのか」という広い視野が必要。

感想
・外国では、積極的にABA的支援が行われているようである。日本でもABAに基づいた就労支援を増やしてほしいな。
・就労現場の新たなプログラムの報告は多いと思うけど、アセスメントはちゃんとやったか?それをどう継続させていくか?支援者の負担が大きすぎないか?ともっと研究ベースに考えられるとよいのかな、と思う。
・一般企業でも特例子会社でもできるところはちゃんとやっているけれど、やっていないところはやっていないよね、、大体こんな感じってゆるく生きている感じ??
・考察部分は自分にとても響く。忘れてはならない。(そのため太字にしといた。)常に客観的に。


文献情報
若林功. (2009) 応用行動分析学は発達障害者の就労支援にどのように貢献しているのか?: 米国の文献を中心とした概観 (< 特集> エビデンスに基づいた発達障害支援の最先端). 行動分析学研究, 23(1), 5-32.

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