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RIZINの試合直前、朝倉未来選手と対戦する弥益ドミネーター聡志選手が『笑った』理由を知って、泣きそうになった話。
これは、TV Bros.のコンテスト『#テレビブロスマイベスト2021』の応募記事です。
元プロ野球選手の清原和博氏から花束贈呈があるとアナウンスされた瞬間、それまで険しい表情をしていた弥益ドミネーター聡志選手は、歯を見せてニカッと笑った。
実況しているアナウンサーも
「先ほどの弥益ドミネーターの表情は何をあらわしているのか? 」
と言い、弥益選手の真意をはかりかねていた。
試合のゴングが鳴る直前、朝倉未来選手と至近距離で対面した弥益選手は、再び、笑った。
その弥益選手の笑顔を見て、朝倉選手も負けじと余裕たっぷりに不敵に笑い返したように見えた。
それは、『人生をかけた』だとか『命懸け』だとか言われる格闘技とは思えない光景であった。
弥益選手の笑顔は、わざとなのか? 作戦なのか?
弥益選手といえば、RIZINで朝倉選手と対戦することが決まってから《筑波大学大学院修士課程修了の会社員》に焦点をあてられることが多かった。
一方、朝倉未来選手の格闘技やYouTubeを何度か観たことがある方ならご存知だと思うが、朝倉選手は、格闘家としても、YouTuberとしても、非常に分析力に長けていて、頭の回転が早い。
朝倉選手と弥益選手との対戦カードが決まってから試合直前まで、両者の豊富な語彙数と独特な表現による舌戦が繰り広げられた。
それは、すでに心理戦の始まりでもあった。
だからこそ、弥益選手の笑顔は、相手の戦意を喪失させるほどではないにせよ、背水の陣で臨む朝倉選手に何らかの影響を与える作戦なのかと思った。
試合後のインタビュー記事を読んだ。全然、違った。まったくの検討違いだった。何もわかっていなかった。
弥益選手は、純粋に嬉しかったのだ。
中学生のとき、勉強と卓球をしていた少年が一人で格闘技の試合を観に行った《さいたまスーパーアリーナ》に、客席ではなく、今、《リング》に立てている自分が。
朝倉選手も、弥益選手の笑顔の真意がわかっていたのだ。他のどんな人間よりもいちばん。
朝倉選手は、YouTubeでも常々言っている。
「(どの選手に対しても)《減量》だけで、尊敬です」
と。また、こうも言っている。
「自分がYouTubeを始めたのは、格闘技ファンだけでなく、格闘技ファン以外にも格闘技に興味を持ってもらって、格闘技を広めたい」
と。己の首を締めることをいとわず、試合前に互いに舌戦を繰り広げて、格闘技ファン以外にも注目されることを優先した二人。
試合直前の二人の《笑顔》には、《ビッグマウス》《プレッシャー》《減量》を乗り越えた上で、互いにさいたまスーパーアリーナのリングに上ってきたライバルへの《敬意》が込められていたのだ。
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