『しゃべるピアノ』♯ショートショートnote杯
今世紀、世界中で広まった楽器がある。
ポンポンポン、ザック、ポポンポンポン、ザック、ザック。
今日も地球のそこかしこで、音楽が聴こえている。
畑から。工事現場から。砂漠から。雪国から。
畑を耕す老若男女は、大地の恵みを祈り、市場の安定を祈る。
日雇い労働者は、賃金値上げと生活の補償を憂う。
ゴミの山をかき分けるストリートチルドレンは、学校に行ったり、今日のご馳走にありつく夢を見る。
砂漠や雪に埋もれた家を掘り起こしながら、オアシスや春を願う。
柄の部分についた鍵盤をポンポンポンと弾いてメロディーを奏でる。
ザック、ザック。大きなスプーンに足をかけて、大地にシャベルを突き立てれば、メロディーに抑揚が生まれる。
世界中が『シャベルピアノ』で溢れている。
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