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momoro66
ちっちゃなパンツ
娘と夫が朝ごはんを食べている。私は、食卓に背を向けて息子のオムツを替えていた。
「ねえ、お父さん見て。ちっちゃなパンツ」
夫は娘の言葉がよく分からず、「ん?」と聞き返した。
「ちっちゃなパンツがある」
娘が指をさしている壁を見てみると、ほんとだ、そこにはちっちゃなパンツがあった。
建物から出たばかりの朝日が、カーテンの隙間から差し込み、なぜか台形をひっくり返したような、まさにパンツのような形になって壁を照らしている。金色に輝く小さなパンツ。
「ほんまや、ちっちゃなパンツや。かわいいねえ」
「誰のパンツかな?」
ちっちゃなパンツは、太陽が昇るにつれ、みるみる大きく長く伸びていった。
「どんどんおっきくなる!」
ちっちゃなパンツは細長い光の筋になり、夫と娘を送り出し、私が朝ごはんを食べるころにはもう消えていた。
今朝の幸せなひととき。