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【リブリオエッセイ】パラレル・ライター(複・文筆家)の勧め

▼2024年7月 ふみサロ課題本

「成功する複業」後藤勇人

▼本文

パラレル・ライター(複・文筆家)の勧め

 今、私の周りでパラレルライターが増えている。パラレルライターとは複数のジャンルを並行して書き続けている人の事を指す造語である。当初は脳の切り替えが大変だと思っていたが、この問題はネット検索を活用する事により、一気に解消する事が可能になった。

 昔は「俳句するなら俳句一本に絞れ!」という考えが主流だったような気がします。句会に出られるレベルぐらいになるまでは、歳時記を買って季語を覚えたり、切れ字のルールを覚えたりしなければいけません。しかし、今は季語等の見分けは、検索すれば解決してしまいます。それよりも、俳句一本に絞る事によって短歌が作れなくなったり、長文が書けなくなる弊害等の方がよっぽど大きいのではないか?と、私自身は危惧しています。

 東京から帰ってきた時、地元には、句会をしているグループしかありませんでした。「俳句に専念するように!」と忠告する人もいました。しかし、私には受け入れる事は出来ませんでした。隣地区に「俳句と短歌を両方やっているグループ」も有りました。私は、そこには短歌のみで参加する決断をしました。詩の会は徳島市内にしかなかったので、迷わず参加を決めました。エッセイも辞めませんでした。こうして私は意図せずパラレルライターになったのです。また、徳島市内には他にも並行して書いている人がいるのが分かったので、ますます辞められなくなりました。

 歌集には短歌しか載っておらず、小説には物語しか載っていないのが現代では常識かもしれません。しかし、最古の歴史書と言われる古事記の原文の構造は、淡々と進んでいく神話の物語の中で何度も和歌が登場するのです。古事記・神代のストーリーは、神話と和歌のパラレル構造なのです。「二兎を追うもの一兎をも得ず」は、もう古い!「古きを尋ねて新しきを知る!」シン時代を切り開くカギは、パラレルライターに託されているのだと、私自身は感じています。(800文字)

▼今回の作品の執筆意図


 私は、正社員を辞めた45歳以降は、怒涛の複数の仕事・掛け持ちを経験しています。常勤アルバイト、日雇アルバイト、派遣アルバイト、個人事業主(業務委託、一人社長)等の複数の仕事の組み合わせについて書けない事も無かったのですが、今の私が書きたいテーマは、そもそも”そこじゃない”ので、そこについては、書きません。ふみサロは、あくまでも、本当に自分が書きたい事を軸にして、課題本の方を自分の方に寄せて書くのが鉄則です。自分が書きたいことを二の次にして、全く自分に経験のない事を課題本に寄せて書くと、駄作になってしまう可能性が大きくなります。今月は、出だしで、大谷選手の今年の活躍の話題に触れてから、やりたい事が複数ある場合は、絞らずに進めていくのが、これからの時代の鉄則という内容で書こうと思ったのですが、文字数制限で内容を削っていく段階で、大谷選手のエピソードを書いてしまうと、絶対に800字以内に収まらないと分かったので、そこは全削除しました。しかし、初回バージョンで書いてみた内容は、お気に入りの出だしだったので、幻の冒頭部分を、この部分に残します。

<カットした幻の冒頭部分>
今、時代は確実に変わりつつある。昔の常識がだんだんと通用しなくなってきているのだ。十年以上前から始まった「二刀流」論議に関しても然り。大谷選手の二刀流については、プロ野球を舐めている、球速160kmを超える投手は貴重なので投手に専念すべき等の意見もかつてはあった。しかし、今年の活躍を見る限り、大谷選手は投手のみに専念していなくて本当に良かった。医療の発達、食事療法の進化、トレーニング方法の改善等がヒトの進化の道筋を支えているのだと確信している。

▼エッセイの流れ


①「起・興味」今、徳島県では、パラレルライターが増えている。四国は、詩国。現時点で、私以外にも何人か見つけていますが、潜在的には、もっといるのではないか?と思う。「俳句」「短歌」「詩(歌詞)」「エッセイ」「小説」「コピーライティング」は、一人でも、脳味噌のギアをチェンジすれば、複数ジャンルが書き分けられる。

②「承・納得」俳句と短歌、どちらか簡単な方を選ぶとすれば、圧倒的に短歌の方が簡単です。何故なら、短歌には、季語や切れ字の縛りが、無いから。何となく始めてしまう人は、俳句が一番文字数が少ないので簡単そうと始めてしまう場合が多いようです。しかし、僕は一番難易度が高いのが俳句だと思ってます。しかし、俳句は作り手側にとってはスキマ時間で創作できるメリットがあり、メディア側にとっても、1行分のスペースを割くだけで掲載出来るメリットがある為、結果的に「文芸ジャンル」の中の「王道」のジャンルであり続けています。しかし、ジャンルを「俳句1本」に絞る事によって、長文が書けなくなってしまう人が、実際にいるのも事実では無いでしょうか?

「短歌」「詩」「歌詞」は、大きな目で見れば似ています。常識や当たり前のことは詩にならないので、非日常的な感動や喜び、感傷等を575で上手く纏める練習をすれば、すぐにでも作り手には、なれると思います。それを、文字数制限を取っ払って自由律にすれば、詩になります。七五調の文章を4行作り、それが物語になっていれば、それは童謡詞(歌詞)に変わります。歌詞の場合、曲に言葉を乗せなければならない必要がある為、◯◯の状況をどうしても4文字で表現しなければいけない、5文字で表現しなければいけないという状況が発生します。そんな時に活躍するのが、ネット検索では無いでしょうか?季語を調べたり言い換えや類似、関連語句を探す際、ネットを駆使しながら創作すれば、調べるのにかかる時間を短縮する事ができます。

③「転・共感」現在、私が住んでいる美波町には、句会と短歌会しかグループがありません。詩の好きな人たちの集まるグループは徳島市内にしか有りません。なので、私は徳島市内の現代詩協会に参加しています。また、エッセイ好きの集まるグループは、徳島県内では見つける事が出来ていません。なので、私は「ふみサロ」も続ける選択をしています。自分の書いている文章が、上手なのか? 下手なのか? の議論については、私は、考えながら書き続ける事が一番の上達の近道だと思っています。一番良くないのは、結論が決まってないうちから書き始める事ではないでしょうか? 何故なら、何となく書き始めてしまった文章は、書き終わった後で、文章内に自分の意図が正しく反映されているかどうか?の検証をする事ができないからです。

④「結・信頼」古事記の原文を読んだ事は、ありますか? 千年以上の歴史を持つ日本人伝統の文学と言えば、何を置いても和歌です。私は、自分が書く文芸ジャンルを絞る気持ちがまったく無いので、今回は敢えて、チャレンジングな内容のエッセイにしました。

▼ここから下は、私の宣伝です!

これまでに私が書いてきた詩作品の中で、現時点での、海関連のベスト的な作品に追加して、「俳句」「短歌」「エッセイ」「歌詞」も追加した「海ベスト」的な電子書籍の「ペーパーバック版」が完成しました。
 先行リリースしていた電子書籍版とは異なり、ペーパーバック版では、紙版限定の詩作品1編、俳句1編、写真数枚を追加して編集し直しました。手にとって頂けると幸いです。


「うみにゆきたい」ペーパーバック版が完成しました!

ペーパーバック版「うみにゆきたい/縄文の子」
販売開始しました!

Q:「うみにゆきたい/縄文の子」とは、どんな本か?
サブタイトルは「阿波詩歌文芸図鑑」となっており、あわや詩朋(横須賀しおん)がこれまでに書いてきた詩、エッセイ、俳句、短歌、歌詞とともに、縄文の故郷、美波町を案内する書籍となっております。

(作品一部紹介)

金銀砂夜

 
月は銀色 この夜の闇は永遠
波は灰色の鏡 薄い光の色のみを乱反射する
 
僕は 一人で海を見つめている
静かな 波のささやきが聴こえてくる
こういうひとときも 僕にとっては永遠
 
ねぇねぇ! まんまるお月さんよ!
僕に答えてほしいのです
僕は今 何故ここにいるのですか?
 
真っ白い時間が流れる
この時間も すべて永遠

砂浜は金色 はかない生命体にとっては
この場所は永遠の砂丘 月夜の砂漠
 
はるかかなた 遠くの方まで眺めている
船上から洩れる薄明かりと水面の
向こう側で振り子細工のように
ひっそりと揺れている 揺らめいている
街の灯火だけが 人間社会の生命の営みを
この砂浜でたった一人の僕に 語りかけてくれる
 
今日は 波さんとお話ししたいのさ
ねぇ 僕の悩み事すべて 聞いてくれるかい?
 
砂浜にしゃがみこんで 
見つけだしたのは月光色の貝殻

僕は 手の平の中に それを
ギュッとしまいこんで
潮風に吹かれながら 
波の歌を唄っていました

その夜の事は もう
詳しくは 覚えていません

星は あまり
きれいではありませんでしたが
月の光だけは 
やけに健やかで 明るく明るく
水面を照らし続け 

僕の回想の記憶の中へと

しっとりと しっとりと 
しっとりと ゆっくりと 

まるで石清水のように いつまでも
しみいってくるのでありました・・・


中秋の名月と田井の浜
うみのうた

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