第5講 読む編~物語文(小説)で意識すること③~
因果・心情は物語文の花形
皆さんどうも。田中(国語の先生)です。
さて今回は物語文で意識すること③「因果・心情編」をお送りいたします。
どうでもいいですけど、「因果・心情編」ってなんかマンガのサブタイトル見たいですね。
話し戻しまして、「因果」って何でしょうか。
「因果」とは「因果関係」の事で原因と結果の関係性を示す言葉になります。
なんでこれが大切かというと、そもそも国語で良く問われる
・「なぜ」
・「どうして」
・「どういう気持ち」
は基本的に因果関係をベースとした問題だからです。
『第1講 文章を読むときに注意してほしいこと』でも「なぜ」と考えながら読んでほしいと書きましたが、今回はこの「なぜ」という言葉を含む「因果関係」についてお話していきます。
①+or-をおさえる
まず一つ目にいきなりわけのわからないことを言い出しました。
なんの+や-をおさえるかというと、ずばり心情です。
よく、塾で心情語(気持ち言葉)を覚えましょうと指導され、たくさんの心情語を覚えていると思います。
心情語を覚えること自体、私はいいと思います。多様な語彙を持っているとそれだけ文章も読みやすくなりますし、記述の幅も広がります。
しかし、文章を読みながら、正確に心情語を当てはめていくのはなかなか難しいです。そもそも国語が苦手な子はそんな器用なことが出来ません。
大量にある心情語の中かからぴったりの言葉を選んで、当てはめるなんて芸当がこなせるのはごく一部の子だけです。
では、国語が苦手な子は指をくわえてみているだけでしょうか。
そんなことはありません。多種多様な心情語をあてはめることはできないけど、+か-の二者択一なら当てはめることも可能だと思います。
心情は大まかに+か-のどちらかに分類することが出来ます。
+系=うれしい、楽しい、大好き 他
-系=悲しい、苦しい、切ない 他
という形に分類することが出来ます(+系がなんか歌みたいですが・・・)。
正確な心情語は読みながら埋められないけれど、+か-かぐらいの判断ならつくというのであれば、該当箇所までの流れや、熟語や比喩表現などから心情を判断してみましょう。
正確な心情を考えるのは問題を解く際で大丈夫です。
ちなみにですが、
よく心情が記述されている箇所は以下の通りになります。
1:そのまま→心情語がそのまま書いてある。問いになる場合答えるのは原因・理由
↓
2:表情・行動→これが一番問いになりやすいです。答える際は表情や行動から心情を導きだしましょう
↓
3:セリフ→セリフをそのまま心情ととらえてはいけません。大切なのは「本音」と「建前」です
↓
4:情景描写→前回の内容を参照してください。
読むときも解くときも便利なので、覚えておきましょう。
②前後にある原因・理由を見つける
皆さん。
宝くじがあったたら、どんな気持ちになりますか。
大切にしていたものを失くしたら、どんな気持ちになりますか。
嬉しかったり、悲しかったり、人や状況によって人は様々な気持ちを抱きます。
そして、その気持ちを抱くためには必ず、原因・理由が存在します。
そうです。
物事の結果には何度も言いますが、必ず原因・理由が存在します。
当然問題もそこをつっこんできます。
そもそもですが、問題で「なぜ」や「どういう気持ち」と聞いている場合、傍線が引いてあるところは必ずと言っていいほど、結果の部分です。
そうでなければ因果関係を問うことはできません。
では、因果関係を問われたときは何を答えればいいか。
他の回でもお話ししましたが、原因・理由です。
であれば、例えば心情語を見つけたら、第1講でも説明したように「なぜ」と考えて読んでいくと、その原因を見つけることが出来ると思います。
心情語と対応する原因・理由を見つけることが出来れば、物語文はもっと読みやすくなるはずです。
必ず心情語と原因理由はセットで見つけましょう。
また、「傍線の原因は直前にある」
という解法を目にすることがありますが、半分正解、いや1/3正解といったところでしょうか。すべての問題が必ずしもそういうわけではありません。
もちろん、直前に書かれていることが原因。理由の場合もあります。しかし、それを問題にしてしまうとみんなが出来てしまうので、問題になりません。
きちんと論理的に文章を読めているかを検証するために、入試では、原因・理由は少し離れたところにあることが大半です。
例えば、心情語で伏線をはり、かなり離れたところにある回想シーンで明らかになる場合もあれば、前書き、あらすじの登場人物の説明を踏まえて答えなければならない場合なんかもあります。
という具合です。
文章を読みながら心情を見つけたら「なぜ」と考えて、原因・理由を見つけたら線でつなぐようにしましょう。
そうすると問題を解く際かなり楽になりますよ。
③「時間の経過」=「心情の変化」と疑う
皆さんは今どんな気持ちですか?
大まかで構いません。+でしょうか。それとも-でしょうか。
もう一つ質問です。
その気持ちは朝から同じでしょうか。
多分違いますね。
物語文の心情も同じです。
話がスタートした時の心情とゴールでは心情が異なります。
小見出しで時間の経過と書きましたが、物語文の中で時間が経過するということはつまり、何かしらの出来事が起きています。
この出来事が、心情を変化させる原因となります。
本文を読みながら心情の変化に注目してみると、より内容を把握しやすくなるのではないでしょうか。
また、時間の変化で注目してほしいのが
・過去を表す言葉(かつて/あの頃(時・日)/〇〇年前 他)
→今との対比。何かが変化している可能性大。
・日常を表す言葉(いつも/普段/今まで 他)
→今との対比。今が特殊な状況になっている。
になります。
これらを各作者にはどんな意図があるのでしょうか。
わざわざ時間を表す言葉使うことで「今」と対比させて、心情など目立たせようとしているというのが答えです。
テストの際も同じです。出題者も対比されていることがわかっているので、わざわざ出題するのです。
こちらも併せて覚えておくと、読解の手助けになるのでしっかり覚えておきましょう。
今回はここまでになります。
次回は苦手な人が多い、論説(説明・評論)文の解説になります