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もっと考えて使おうよ! 2013年8月30日

 自称「やっぱり好きな女」神垣です。

 やっと、この本について

 書くことができます・・・


 今、私が最も注目する書き手
 それはネットニュース編集者の中川淳一郎さん。

 2009年に刊行した
 「ウェブはバカと暇人のもの」
 が彼の代表作ですが、

 今回、新刊を出すまで
 彼は数々の出版のオファーを受けながら
 「もはや書くことはありません」
 とかたくなにそれを拒否してきたと言います。

 しかし、ここにきて
 インターネットが「ごく当たり前」になったことで
 ネットの原理原則は変わらずとも
 何か別のことが書けるような気がした。

 そこで上梓したのが、
 「ネットのバカ」なのだとか。

 なんだか実もふたもないタイトルのような気もしますが
 タイトルのインパクトのせいか、売れてるみたいです。

 本書にある
 「ネットでウケる12ヶ条」の最後に
 「ジャズ喫茶理論」に当てはまるもの
 とあり、笑ってしまいました。

 「ジャズ喫茶理論」とは
 フェイスブックのように実名登録のツールでは
 自分の名前と行動を衆人環視下におくことで
 自分が“イケてる人”と思われたいがゆえに品行方正な言動をとる
 というもの。

 かつて、ジャズ喫茶が
 自称・ジャズ通が「違いの分かるオレ」という自己顕示欲をぶつけあう場所
 であったのと同じ状況がフェイスブックにも展開されているというのですが

 まさにまさに。
 だって、私も人に自慢したいことばっかり
 フェイスブックに書いてますもん。

 本書の終章で中川さんはこう述べています。

  私はフェイスブックでは何も情報発信しないし、交流もしていない。
  情報を知ることのためだけに見ている。
  というのも、どこかフェイスブックは気持ち悪いのである。
  それは、「イケてる自分」「いい人な自分」をなんとか見せることに
  皆が必死だからだ。

中川 淳一郎 著「ネットのバカ 」(新潮新書)

 そして、そのきわめつけな例として
 フェイスブックのイベント告知に対し
 「行けない」「参加できない」ことをいちいち発言している現象を
 挙げ、こう彼は述べています。

  行けないのであれば、「返事を一切しない」というのでも
  良いのではないだろうか? 
  「返事をしない」=「参加の意思なし」では

中川 淳一郎 著「ネットのバカ 」(新潮新書)

 これには本当に同感です。

 私もフェイスブックを使ってイベント告知をしますが
 「招待者」に対して強制するものではなく、あくまで告知なので
 不参加なら「参加しない」ボタンを押せば事足りるわけで
 わざわざ参加できない旨をコメントする必要はないと思うのですが
 「その日は仕事で行けません」といったコメントが入ります。

 不参加なら、「参加しない」ボタンを押してくれれば
 こちらは別に気にしないのに……
 と思うのですが、コメントがつけば返すことになり
 わずらわしいなと感じていました。

 このくだりを読んで
 よくぞ言ってくれた、中川淳一郎!
 と思わずうんうんと大きくうなずいてしまいました。

 イベントに行けないことまで
 人にアピールする必要はないわけで…。

 本書はフェイスブックをはじめとする
 ネットツールを全否定するものではなく
 もっと考えて使おうよ
 ネットのつながりだけがすべてじゃないでしょ
 という提言だと私は受け止め、面白く読みました。

 わずらわしさも、気持ち悪さもありますが
 フェイスブックでつながることで、日々、遠く離れた友人の近況を知り
 「達者にやってるんだね」
 「なんだか大変みたいだぞ」
 と感じ、思いやるることは無駄ではないと思うし

 リアルに対面するのは久しぶりでも
 ネットでつながっているおかげで、そうした
 時間的、物理的な距離を縮めることもできるわけですから。

 でも、本当の人間関係って
 リアルに会うことに尽きるわけで
 ネットのつながりはそれを補足するに過ぎないってこと
 なんですよね。

 なんか、結論をここで書いてしまった気もしますが
 第7章の「企業が知っておくべき『ネットの理論』」
 では、PRの現場で仕事をしてきた中川さんならではの内容で
 説得力があり、勉強になります。

 ネットのPRに迷える広報担当者は、ぜひご一読を!

 本書の終章のタイトル
 「本当にそのコミュニケーション、必要なのか?」
 は、ネット漬けの私には、非常に刺さるテーマで
 考えさせられました。

中川 淳一郎 著「ネットのバカ 」(新潮新書)

ネットオフ生活をしていた山の中の実家で読んだので、
「確かにねぇ」と感じることが多かったです。
(VOL.2019 2013年8月30日配信 メールマガジン あとがきより)


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