「愛」を語るのはとても簡単。でも・・・2012年6月8日
おはようございます。自称「ら~ららな女」神垣です。
「消臭力」を置いた部屋は
この本のように
さわやかなのでしょうか・・・
エステーの「消臭力」。
使ったことのある人も
使ったことのない人も
ミゲルくんが唄うあのCMは
よくご存じですよね?
そのCMの仕掛け人である
エステー化学特命宣伝部長
鹿毛康司さんの著書が
「愛されるアイデアのつくり方」です。
えらくさわやかなんです、この本。
読後、とてもさわやかな気持ちになります。
そのさわやかさがどこから来るのだろう
と考えました。
さわやかという感情が生まれるのは
さらさら風がそよぐ高原にいるときだけではありません。
炎天下、汗をだらだら流しながら歩き続け
たどりついた木陰で、すっと吹いた風に
身も心も浄化されるような
さわやかさを感じることがあります。
苦しさがあるから、気持ちいい。
ずっとエアコンの効いた室内にいると
気持ちよささえ当たり前になって
何も感じなくなってしまうものですが
暑さ寒さを肌で感じ、その過酷さを骨身にしみて知っていれば
一陣の風の清涼感は言葉に表せないほどのものでしょう。
本書を読み終えたあとに感じる
さわやかさは
鹿毛さんが通ってきた道の険しさの
裏返しにほかなりません。
第2章「現場を見た人と見てない人の『断絶』」の項で彼は
「調査会社から届いたレポートには
アイデアを生み出すタネはないと思っている」
と述べています。
マーケティングを本格的に学び、実務経験もあり
アメリカでMBAまで取っているプロが
「言葉」や「数字」だけでは、本質をつかみとれない
現場に身を置かなければ、コトの本質は絶対に分からない
と述べるにいたる背景には、
彼がエステーの前に勤めていた
雪印での食中毒事件によるお客様対応という
厳しすぎる状況下での経験があるからです。
本書のタイトルにもある
「愛」を語るのはとても簡単。
でも、本当の意味で愛を語ることができ
「愛する」「愛される」意味が分かるのは
数多くの「憎」の経験がなければ
その本当の姿を語ることはできない・・・
気がします。
あ~、だめだ。
私が感想を書くと、感情移入しすぎて
よく分からない感覚的な文にしかなりません。
ここはひとつ、中川淳一郎さんの評を借りことにいたしましょう。
「一見奇抜な人ほど実は考え抜き、ピエロになることを厭わない」
※リンク切れにつき、ご覧いただけません
・・・という本です。
本書には、あのミゲルくんのCM秘話ほか、
「玄関に滝が…」というひと言で始まる
「マイナスイオンプラグ」CM制作のきっかけと
相棒のプランナー西嶋さんとの出会い
など、エピソードとくくりきれない
数々の人間ドラマが潜んでいます。
「戦略」や「制約」を踏まえた戦略を持たずに、
野放図に考えることが「自由」なのではない。
(中略)
まず、自分の足元をしっかりと見つめたうえで、
どこを目指すのかを明確にする。
つまり、戦略を持つ。
そして、その目的に向かってどう進めばいいかを考える。
このときに、あらゆる束縛を解き放って、
自由にならなければならないのだ。
それこそ、本当の「自由」だ。
この記述、CM制作に限らず
仕事、恋愛、いろんなことに当てはまると思いました。
梅雨を迎えるこの時期
本書を読んで、さわやかな気分で仕事しましょう。
鹿毛康司 著「愛されるアイデアのつくり方」
本書には「お客様」で始まる文の記述が一貫して
敬語で記されています。徹底しているといってもいい。
平気で「お客」と書かれたビジネス書が多くある中
ここにも鹿毛さんの思いの深さを感じました。
(VOL.1738 2012年6月8日配信 メールマガジン あとがきより)