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ジュニアアスリートの栄養バランス

参考文献
虎石真弥:基礎的な栄養バランスの考え方.臨床スポーツ医学.2024: 41,  272-282.

ジュニアアスリートの栄養

小児期(ジュニア期)は成長スピードが加速する時期であるため、日々の食事からエネルギーや各栄養素を十分に摂取することが重要である。

ただ、身体活動量は個人差が大きく、ライフスタイルや競技種目、さらに競技の活動状況によって大きく変動する。

このため、関わるジュニアアスリートの状況を十分に把握することが重要である。


以下にジュニア期の身体活動レベル別の推定エネルギー量を示す。

ジュニアアスリートの推定エネルギー必要量


ちなみに、活動量少ない成人の推定エネルギー量は以下の通りである。

成人女性 1400~2000kcal
成人男性 2000〜2200kcal

農林水産省HP

性別や身体活動レベルなどにより、一般成人を上回る値が必要である。このため、エネルギー不足に直結する「欠食」や「極端な体重調整のための食事制限」は避けるべきである。


エネルギー不足による健康問題

現在、スポーツにおける相対的エネルギー不足(RED-S:relative energy deficiency in sport)が発育・発達のほか、様々な身体機能へ支障をきたすことが示唆されている。

利用可能エネルギー不足を疑う状態
  ・成人:BMIが17.5以下
    BMI=Body Mass Index(体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m))
  ・思春期:標準体重の85%以下
  ・1ヶ月以内の体重減少が10%以上

万が一、利用可能エネルギー不足が疑われた場合は、エネルギー収支のバランスを改善することが基本的な考え方となる。

また、小児期は精神面においても配慮が必要である。競技成績や他選手の活躍など、様々な要因を視野に入れておく必要がある。


糖質摂取の重要性

ジュニアアスリートにとって、十分なエネルギーを確保することは、身体つくりおよび競技パフォーマンスを高めるうえで極めて重要である。

糖質は、主食(米、パン、麺類、など)を中心に摂取する。

また練習時間や強度によっても必要糖質摂取量が異なるため、計画的に摂取を行う必要がある。

アスリートの糖質摂取に関する国際的ガイドライン


上記ガイドラインの使用例を示す。
体重50kg、「非常に強度の高い運動」を5時間/日 実施した選手では、

8〜12g × 50kg = 400〜600g

の糖質が1日に必要となる。これをご飯で換算すると「ご飯(丼ぶり)4〜6杯」が必要となる。意識的に摂取を心がけないと、十分な糖質量を確保することが困難な量である。

糖質を多く含む食品



Lodgeらは、アスリートの相対的エネルギー不足の背景には、不十分な糖質摂取が潜んでいることを指摘している。このため、ジュニアアスリートに関わる指導者や保護者は糖質に対する正しい知識を習得し、適切な摂取が行える環境を整える必要がある。

ジュニアアスリートのうちから「食べる力」を養うことは、正しい発育・発達を促し、アスリートとしての可能性を飛躍させる手助けとなるだろう。

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