ジュニアアスリートの栄養バランス
ジュニアアスリートの栄養
小児期(ジュニア期)は成長スピードが加速する時期であるため、日々の食事からエネルギーや各栄養素を十分に摂取することが重要である。
ただ、身体活動量は個人差が大きく、ライフスタイルや競技種目、さらに競技の活動状況によって大きく変動する。
このため、関わるジュニアアスリートの状況を十分に把握することが重要である。
以下にジュニア期の身体活動レベル別の推定エネルギー量を示す。
ちなみに、活動量少ない成人の推定エネルギー量は以下の通りである。
性別や身体活動レベルなどにより、一般成人を上回る値が必要である。このため、エネルギー不足に直結する「欠食」や「極端な体重調整のための食事制限」は避けるべきである。
エネルギー不足による健康問題
現在、スポーツにおける相対的エネルギー不足(RED-S:relative energy deficiency in sport)が発育・発達のほか、様々な身体機能へ支障をきたすことが示唆されている。
万が一、利用可能エネルギー不足が疑われた場合は、エネルギー収支のバランスを改善することが基本的な考え方となる。
また、小児期は精神面においても配慮が必要である。競技成績や他選手の活躍など、様々な要因を視野に入れておく必要がある。
糖質摂取の重要性
ジュニアアスリートにとって、十分なエネルギーを確保することは、身体つくりおよび競技パフォーマンスを高めるうえで極めて重要である。
糖質は、主食(米、パン、麺類、など)を中心に摂取する。
また練習時間や強度によっても必要糖質摂取量が異なるため、計画的に摂取を行う必要がある。
上記ガイドラインの使用例を示す。
体重50kg、「非常に強度の高い運動」を5時間/日 実施した選手では、
8〜12g × 50kg = 400〜600g
の糖質が1日に必要となる。これをご飯で換算すると「ご飯(丼ぶり)4〜6杯」が必要となる。意識的に摂取を心がけないと、十分な糖質量を確保することが困難な量である。
Lodgeらは、アスリートの相対的エネルギー不足の背景には、不十分な糖質摂取が潜んでいることを指摘している。このため、ジュニアアスリートに関わる指導者や保護者は糖質に対する正しい知識を習得し、適切な摂取が行える環境を整える必要がある。
ジュニアアスリートのうちから「食べる力」を養うことは、正しい発育・発達を促し、アスリートとしての可能性を飛躍させる手助けとなるだろう。